エピソード5 『伝説の教師 -金八さんのその先に-』
- 2023年3月21日
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エピソード5
初めて降り立った沖縄は、思ったより暑くなかったのを覚えています。
7月の10日なら、千葉のほうが暑いのかもしれません。
那覇空港からモノレールに乗り、バスターミナルに向かいました。
そこから、名護行きのバスが出ているのです。
先にそば屋で腹ごしらえをし、それからバスに乗りました。
走りはじめてから30分も経つと、
いつの間にか、乗客が僕一人だけになっていました。
ぽつーーーん。
僕は、急に不安になってきました。
僕一人だけ、ルートを間違えてしまったような気になったのです。
一人ぼっちなのですから。
とっさにバス前方の案内表示を見ましたが、名護行きで間違っていません。
いや、そういう意味とも違うんだと思います。
もっと大局的な意味での「ルート」を、間違えている気がしてきたのです。
…そうだよ。
今頃みんなは、教員試験に向けて、最後の追い込みをしているんだ。
真面目に、一生懸命に、勉強に励んでいるんだ。
それなのに僕は、ノン気に沖縄観光か!?
いや、観光じゃないもん!
観光じゃないにしたって、誰かにすがりつきに行くんだろう?
………僕は、何も反論ができません。
僕の頭の中で、誰かと誰かが会話をしています。押し問答をしています。
僕は、極力何も考えないように、
イヤホンで耳を塞ぎ、そして車窓から景色を眺めていました。
『伝説の教師 -金八さんのその先に-』



