エピソード5
しかし、
私の幸せは、そう長くは続きませんでした。
タッ君は、若くして、他界してしまったのです。
享年9才です。
私は、彼の亡き骸と一緒にお櫃に入れてもらえましたが、
そのデートも、火葬場までの短いものでした。
彼の魂は、火葬場から、空へと飛び去っていきました。
私はしばらく、火葬場の焼却炉の中で、無数の灰に包まれていました。
しかし、やがて、
誰かの力によって、石のボディから引き離され、空へと上っていきました。
私の石としての生が、そこで終わったのです。
霊界に連れ戻された私は、タッ君の霊魂を探しました。
しかし、どうも、会わせてもらうことは不可能なようでした。
タッ君にはタッ君の転生計画があり、
私は私で、転生計画があるのです。
私たち石の精霊は、石としての生を終えると、
次は、植物に宿ることになります。
ごく稀にイレギュラーがありますが、原則としては、そうです。
植物は鉱物よりも、移動の可能性が大きく、
また、生のサイクルが短いです。
そのため、植物としての生を何度も重ね、知識や見識を増やしていきます。
『守護天使 -愛と奉仕の物語-』