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エピソード5 『自由の空へ』

エピソード5

そうして、

大学に入ってからも、心理学を夢中で勉強しました。

大学生の9割は、勉強などロクにしませんが、

私は一人、講堂と図書館を行ったり来たりし、

ホワイトボードとノートに右往左往しました。

ラットを使った臨床実験は、

テキストの説明だけでは物足りなく感じました。

先生に相談し、紹介状を書いてもらい、

わざわざ佐賀にある研究所まで赴き、

ラット実験を観察させてもらいました。

その費用のためにアルバイトも増やし、

連日3~4時間の睡眠で、半年くらい過ごしました。



「翔子あなた、

 最近やつれたんじゃない?」


私がふと我にかえったのは、

そんな母の一言がキッカケでした。

私は、心理学という生涯の友を見つけてイキイキしてるつもりだったのに、

周りから見た私は、やつれて青ざめていたらしいのです。

「お母さん、私、元気だよ?

 心理学、想像以上に面白いし!」

私は、あわてて反論しました。虚勢を張ったつもりもありませんでした。

「ははーん。

 あなた、心理学にはまりすぎたのね。」

「はまり過ぎた?」

「そうよ。心理学フリークは、

 たいていみんな、同じような落とし穴にハマるんじゃないかしら。」

「落とし穴?どういうこと?」

「『ミイラ取りがミイラ』っていうか…まぁ、そういうようなことかな。

 知ってる?

 メンタルカウンセラーって、たいてい、

 患者よりも病んだ顔してるのよ。

 目にクマ作って、ひきつり笑いで…。」

「お母さん、心理学をバカにするの!?

 全ての病気は、心をケアすれば治すことができるんだよ!

 科学医療よりも心理学のほうが、健康の役に立つんだから!」

「まぁまぁ、落ち着きなさいよ。翔子らしくもない。

 そうだわ。

 ちょっと、気晴らしも兼ねて、小旅行でもしてきたら?

 あなたもうすぐ誕生日でしょ?旅費も母さんが出したげる。」

「小旅行?何よ、いきなり?」

「お母さんのダンスのお師匠、

 大分にいるの、知ってるでしょ?」

「エミコ先生のこと?」

「そう、エミコ先生。彼女昔、心理学もかじってるのよ。

 会ってきたらどう?勉強になるかもよ?

 エミコ先生のスタジオ、別府だから。ゆっくり温泉でも入ってくればいいじゃない。」


『自由の空へ』

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