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エピソード5 『首長の村の掟 -真実の物語-』

トゥクトゥクが目的地に到着すると、料金を払うことになるのだけど、

いきなり、ドライバーが、

「60バーツ!」とか言い出したり、

「30『ドル』!」とか言い出したりすることが、ある。


「さっきは30バーツって言ったじゃん!」

などと、理詰めで応戦しても、「のれんに腕押し」にしか、ならない…。

彼らは、「ノー!ノー!」しか、言わない。


解決方法は、

事前に約束していた額だけを、相手に押し付けて、

一方的に、立ち去ってしまうことだ。

それでもしつこく追ってくる者は、ほとんど、居ない。

殴り飛ばしてくるようなことは、まず、無い。



チェンマイの旧市街に到着すると、独特の哀愁を感じるだろう。

ところどころ崩れ落ちた城壁が、郷愁をくすぐってくる。

一体、そんな町に住んでいた記憶は無いのに、

なぜか、郷愁をくすぐられてしまう…


チェンマイの旧市街は、

お堀の内と外で、趣が一変する。

お堀の外側は、

無機質な、「郊外都市の喧騒」が、広がっている。

僕がオススメしたいような場所では、ない。


お堀の内側は、一転、かなり静かで、

日本で言うと、奈良や鎌倉のような、古都の趣がある。

商業施設もあるにはあるけれど、基本的には住宅地で、

宗教信仰心の強い穏やかな住民が、多く集まっているようだ。



お堀の内側の安宿は、安い。

シングルでも、1泊2ドル程度で、泊まれるだろう。

たとえ、

10ドルの宿を探しても、テレビが付くくらいの差しか、ない(笑)

…かと言って、

テレビは付けども、言語はわからないし、

「旅人同士の情報交換スペース」は、消える。


バックパッカーたちにとっては、

「言語のわからないテレビが見られること」よりも、

「ラウンジでビリヤードでもしながら、

 他の旅人たちと交流出来ること」のほうが、よっぽど、嬉しい。

「知らない人となんて、話したくないわ!テレビのほうが大事よ」

と、感じるのであれば、

あなたは、「旅人」ではない。「旅行者」だ。

パックツアーに参加していないとしても、「旅行者」だ。



…とにかく、

2ドルなどという、日本人には考えられないような安値でも、

一通りの設備と清潔さは、備わっているのだよ。


…どうしても信じられない人は、

タイという国の物価が、日本の1/10であることを思い出してもらえば、

合点がいくことと思う。

バンコク以外の田舎町であれば、1/10よりも、更に安いのだ。


その物価基準で換算するなら、

2ドルの宿は、2,000円程度ということになる。

日本にも、沖縄を中心に、

2,000円で泊まれる宿が、無数にある。

であれば、

タイに1泊2ドルの宿があることは、何の不思議でもない。


『首長の村の掟 -真実の物語-』

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