トゥクトゥクが目的地に到着すると、料金を払うことになるのだけど、
いきなり、ドライバーが、
「60バーツ!」とか言い出したり、
「30『ドル』!」とか言い出したりすることが、ある。
「さっきは30バーツって言ったじゃん!」
などと、理詰めで応戦しても、「のれんに腕押し」にしか、ならない…。
彼らは、「ノー!ノー!」しか、言わない。
解決方法は、
事前に約束していた額だけを、相手に押し付けて、
一方的に、立ち去ってしまうことだ。
それでもしつこく追ってくる者は、ほとんど、居ない。
殴り飛ばしてくるようなことは、まず、無い。
チェンマイの旧市街に到着すると、独特の哀愁を感じるだろう。
ところどころ崩れ落ちた城壁が、郷愁をくすぐってくる。
一体、そんな町に住んでいた記憶は無いのに、
なぜか、郷愁をくすぐられてしまう…
チェンマイの旧市街は、
お堀の内と外で、趣が一変する。
お堀の外側は、
無機質な、「郊外都市の喧騒」が、広がっている。
僕がオススメしたいような場所では、ない。
お堀の内側は、一転、かなり静かで、
日本で言うと、奈良や鎌倉のような、古都の趣がある。
商業施設もあるにはあるけれど、基本的には住宅地で、
宗教信仰心の強い穏やかな住民が、多く集まっているようだ。
お堀の内側の安宿は、安い。
シングルでも、1泊2ドル程度で、泊まれるだろう。
たとえ、
10ドルの宿を探しても、テレビが付くくらいの差しか、ない(笑)
…かと言って、
テレビは付けども、言語はわからないし、
「旅人同士の情報交換スペース」は、消える。
バックパッカーたちにとっては、
「言語のわからないテレビが見られること」よりも、
「ラウンジでビリヤードでもしながら、
他の旅人たちと交流出来ること」のほうが、よっぽど、嬉しい。
「知らない人となんて、話したくないわ!テレビのほうが大事よ」
と、感じるのであれば、
あなたは、「旅人」ではない。「旅行者」だ。
パックツアーに参加していないとしても、「旅行者」だ。
…とにかく、
2ドルなどという、日本人には考えられないような安値でも、
一通りの設備と清潔さは、備わっているのだよ。
…どうしても信じられない人は、
タイという国の物価が、日本の1/10であることを思い出してもらえば、
合点がいくことと思う。
バンコク以外の田舎町であれば、1/10よりも、更に安いのだ。
その物価基準で換算するなら、
2ドルの宿は、2,000円程度ということになる。
日本にも、沖縄を中心に、
2,000円で泊まれる宿が、無数にある。
であれば、
タイに1泊2ドルの宿があることは、何の不思議でもない。
『首長の村の掟 -真実の物語-』