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エピソード7 『お遍路さんの集まる喫茶店』

エピソード7

とまぁ、

「公認食い逃げ屋さん」の真意が、

「お接待」による、飲食の提供なのです。



順番が逆になってしまいましたが、

最後に、「仮眠室」も、お話しましょう。


「仮眠室」も、話の本質は、「公認食い逃げ屋さん」と同様です。

歩きお遍路さん方に、寝泊りする場所を、提供するのです。


これも、

通りがかるお遍路さんの全員ではありませんし、

飲食を提供する方の全員でも、ありません。



…恥ずかしい話、

これはもう、私の独断がかなり混じってしまっているんですが、

直感的にピンと来た方にだけ、

「今晩の寝床は、お決まりですか?」

と、声をお掛けするのです。


…あの、

ヘンなことを想像なさらないで下さいね!?


私の家にお泊めするわけでも無ければ、

私には、愛し合う(男前の!)主人も、おりますので…(笑)



私の店の裏に、

使い古しのミニバンが、捨てずに置いてあるのです。

中に、毛布などを置いてあるので、

簡易的な寝床に、使えるのです。


まぁ、このようなものですから、

お泊め出来るのは、

一日に1人か、仲良しな2人組で、もう限界です。



また、

私がピンと来るヒトというのも、

「男前」とか、そういう基準では、ありません。

基本は、お金を全く持っておられない方々です。

いくら、歩きお遍路に務めていても、

貯金が100万もある方ならば、「お接待」の必要性は、感じられません。



その辺りも、

「ビールっ腹の画商やアーティスト」と同じ按配で、

相手の体型や身なりを見れば、

だいたい、貧富の度合いは解ります。

お腹にいっぱいお肉を蓄えておられる方は、

銀行にも、いっぱい蓄えておいでです。


「お接待」

というお努めを楽しんでいると、

何気に、「人間観察力」というものが、養われて来ます。



あるお遍路さんが、

「与えることは、受け取ることだ」

といった名言を教えてくださったんですが、

なるほど、本当にそうだと感じます。


私は、「奉仕」すら、行っていないのです。


「お接待」を行っている過程で、

(無形の物を中心に)得る物が、多いのですから!



…そもそも、

「お接待」の歴史を紐解いていくと、

私たちのような、いわゆる「在家」者たちは、

お遍路歩きをされる「出家」者から、

食や寝床の代わりに、「教え」を頂戴しているのです。


近年の歩きお遍路さんには、

仏教の「ぶ」の字も知っておられない方も多いのですが、

それでも尚、

何らかの思想を、抱いておられます。


彼らの何気ない会話は、格言・名言に満ちているのです。

それが更に、実体験に裏付けられていることが多いので、

彼らのお話に耳を傾けることは、

とてもとても、有意義なのです!!



このようにして、

「知識」や「気付き」といった対価を頂戴しているので、

定食にコーヒーを付けようと、それにビールが付こうと、

「奉仕」とか「無償提供」とか呼べるものでは、無い気がします。

それは、余りにも、

歩きお遍路さん方に対して、失礼というものです!


『お遍路さんの集まる喫茶店』

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