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エピソード7 『かのんのノクターン』

エピソード7

かのんが呆然としていると、

不意に後ろから、優しく肩を叩かれた。

振り返ってみると、そこにいたのは、例の教師であった。

かのんにこの仕事をあっせんした、音大のジャズ理論の教師である。

「申し訳なかったね。辛い思いをさせただろう。」

教師は、遅刻してきた新入社員のような、気まずい表情で言った。


かのんは、たまらず泣き出した。

悲しみがこみ上げてきた。


教師は、かのんの肩を優しくさすった。

「申し訳ない。怒りがこみ上げてきたろう?」

「いえ。怒ってはいません。ただ悲しくて…」

「怒りは感じていないか。

 ならば、なおさらだな。」

「え?」かのんは教師の顔を見上げた。

「小関くん。君は、クラシックから反れたほうが良い。

 私は、そう思うんだ。」

「どうしてですか?そんなにへたくそですか?」

「違う。違うよ。

 技術力云々の話ではない。

 それよりも、性格的な問題だ。

 君はあまりにも実直すぎるし、真面目すぎる。」

「それはいけないことなんですか?

 プロのピアニストになるためには、真面目に打ち込まなくちゃ。

 努力しなくちゃ、報われるはずがないです。」

「残念だが、そうじゃないんだよ。

 この国では、努力がそのまま報われるとは限らないんだ。」

「え!?」


『かのんのノクターン』

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