エピソード7 『アオミ姫』
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- 2023年3月31日
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エピソード7
「右の道は、泉の家に続いています。
左の道は、オレンジの町に続いています。」
フラミースは、立て札を読んであげました。
「では、姫様。
私は町に向かいますので、ごきげんよう。」
フラミースは、あっさりと歩き出しました。
「あーホラホラ!
貴重(きちょう)な救世主(きゅうせいしゅ)を、逃(の)がしてエェんか!?」
「は!!」
アオミ姫は、われに返りました。
「ちょ、ちょ、ちょっと!フラミーちゃん!
待ちなさ…待ってください!!」
「はい?
姫様、なんでございましょう?」
「あの…その…
やっぱり、アオミのそばにいてくれませんか?」
「あら!よろしいんですか?
姫様、私のことはキライなのかと…」
「そそそそんなこと、ぜんぜん無いのよ!!
さっきは、イライラしてて、八つ当たりしちゃったの。
ご、ごめんなさい…。」
「姫様!頭なんて下げないでくださいな!」
「え?フラミー、怒ってないの?」
「いいえ?どうして怒る必要があるのですか?」
「だって、私、
あなたに『役立たず!』って怒鳴(どな)ってしまったから…」
「えぇ。
私が姫様のお役に立てないのは、事実でしたから…。
特に、根に持ったりは、しておりませんわ。
悲しいことは、すぐに忘れてしまうのが得策(とくさく)ですの。
歌でも唄っていれば、すぐに忘れられますよ♪」
「…じゃぁ、
アオミのこと、また助けてくれるの?」
「えぇ!モチロンですとも♪
フラミース、困っているヒトは姫でも犬でも、お助けしますわ♪」
「どうもありがとう!…ございます。」
「姫様!ところで、
その敬語、どうにかしていただけませんか!?」
「でも、
私、フラミーに助けてもらう立場だから…」
「姫様?
世界っていうのは、常に、
誰かと誰かが助け合って、回っておりますわ♪
でしたら、
みーんな助けてもらう立場で、
みーんな助けてあげる立場ですから、
誰も、敬語は必要無いのでは、ないですか?」
「そうなの??」
「そうですとも♪わかっていただけましたか?」
「そういうフラミーも、
アオミに敬語ばっかりじゃない!きゃははは!」
「あ!そうだったぁ!?」
『アオミ姫』