エピソード7
座席に座ると、
後ろの通路のビデオカメラ・スタッフのヒトの、
すぐ近くに位置していた。
しばらくすると、2人のスタッフが配置に着き出して、
カメラをセッティングしながら、何やら小声で話し込んでいる。
「いやぁ、今回はお客さん、ずいぶん入りましたねぇ。」
「ホント、良かったねぇ。ほとんど宣伝してないのに、冥利に尽きるわなぁ♪」
「あの、ステージ奥のカメラは?」
「あぁ、あれは、コンダクター(指揮者)用の固定カメラです。
オーボエのソリストが立ち上がっても、コンダクターが隠れないように、
ゲネプロ(リハーサル)に立ち会って調整してます。バッチリです♪」
…耳をそばだてて聞いていると、
明らかに、音楽シロウトの会話ではナイ!
普通は、コンサートの撮影なんてのは、
音楽には精通していない一般の撮影業者が請け負うよ。
明らかに「ヤッツケ仕事」で、稚拙な画しか残らないことが、多い…。
それなのに、5万も10万も払う必要があるのだ(笑)
でも、後ろに立っている2人のカメラマンは、
明らかに、普通の撮影業者じゃない!
ロビーの受付スタッフと同じように、
団員の友人知人辺りから、音楽と撮影の両方に長けた人に、
ボランティアを仰いでると思われる。
しゃべり方がとても優しくて、穏やかだった。おそらく、当人もクラシックをやっている。
…考えてみれば、
今時、ビデオカメラを使いこなせる人間など腐るほど居るのだから、
何万も払って専門業者に委託するのは、効率が悪いよね(笑)
『クラシックの革命児』