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エピソード7 『碧い鳥 -最高の医療は何だ?-』

エピソード7

そしてすぐ、隣の部屋のドアをくぐりました。

今度の部屋は、整体院みたいです。

施術ベッドが幾つか並び、カーテンで区切られています。

一番左のベッドでは、白衣の二人がマッサージをしています。


「マッサージ、ですか?」陽菜は、自分から尋ねる。

「そう。日本で言うと整体かな。」

「整体も、効果が無いんですか!?」陽菜はビックリしてしまった。

「ははは。効果が無いっていうことはないんですよ。

 何にせよ、何かの効果はあります。

 ただ、求める結果を得られるかどうか…そこが重要ですよね。」


「整体に、期待するような効果は無いんですか?」

「えぇと、順に説明していきましょうね。

 整体というと、

 一般的に、強い圧をかけてマッサージしますよね。

 それで、そういう施術に皆さん、どういう効果を期待します?」

「肩コリを和らげるとか、筋肉痛を和らげるとか…?」

「ははは。であればやはり、

 整体はあんまり、役目を果たしていないと言えますなぁ。」


「そうなんですか!?どうして!?」

「強い圧でマッサージを行うと、神経がブチブチと切れてしまうんですよ。」

 それは、筋トレを行うときと同じ筋肉状態を引き起こします。」

「つまり、ますます筋肉痛になっちゃうってこと?ですか?」

「そうそう。お察しの通りです。

 整体マッサージをしても、筋肉痛の痛みは和らいだりしないんですよ。

 むしろ、悪化と表現してもおかしくないかもしれない…。ははは。」



「でも、整体してもらうと、気持ち良いって感じますよ?」

陽菜は、秀樹の肩を揉みながら言った。

「そうですか?

 まぁ、気持ちよいと感じるのも、ウソではないと思います。

 人間は、適度な痛み刺激を、『気持ちよい』と感じるものなんですよね。

 それに、施術を受けている人間の心理からすると、

 それが痛みであれなんであれ、実感を伴うことが、嬉しいのです。

 だから多くの人は、痛みの強いマッサージを好む。

 でも、それが筋肉痛の緩和に繋がるかというと…逆効果でしょうなぁ。」

「えー!整体が逆効果なんて、信じられない…」


「整体も、上手く活用すれば効果的ですよ。

 筋肉痛にならないようにするには、どうすれば良いと思います?」

「えーっと…?」

「筋トレをいっぱいこなせば良いんですよ。ははは。逆説的ですね。

 であれば、圧の強いマッサージも、毎日毎日行えば良いのです。

 すると、1ヶ月も続ければ、筋肉がついてきます。

 その体であれば、最初は痛いと感じられた圧のマッサージに、

 あまり痛みを感じないことでしょう。

 専門家すら忘れ去っていますが、

 整体というのは、もともと、そんなふうに行われていました。筋トレの代わりだったのです。

 しかし、現代社会は、施術を受けるにはお金が掛かります。

 日本でいうなら、1回に5,000円くらいは掛かるでしょう?

 それを毎日続けたら、破産してしまいますなぁ。ははは。

 だから現代人は、整体というものを、せいぜい1ヶ月に1度くらいしか受けません。

 となると、ただ筋肉痛を繰り返すだけで、ほとんど全く、意味がないのです。」


「えー。何か、良い解決案は無いんですか?」

「ありますよ。

 単発的にしか受けられず、また、筋肉痛やコリを和らげる目的でやるならば、

 弱い圧で行えば良いのです。ネコに指圧されてるみたいに、弱い圧で。

 すると、神経が切れたりはせず、血流の促しだけが起こります。

 このような施術であれば、皆さんが求めているような効果が得られますよ。

 ただ、整体師を名乗るような人間で、このような施術を意図的に行っている人は、

 まだほとんど、ゼロでしょうなぁ。

 誰も気付いていないし、誰も考えていないのです。」

「東洋医学って、死んじゃってるんだ…」

「ははは。そうですよ。

 東洋医学も完全に、お金に目がくらんでしまいました。

 そのため、誰も、本質に目を向けようとはしないんですね。

 だから、『東洋医学はうさん臭い』と批判されても、仕方ないと思いますよ。」


『碧い鳥 -最高の医療は何だ?-』

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