エピソード7
そして翌日の昼番組では、
見事、彼の音源を校内の全員に聴いてもらうことに、成功した!
DJは「トモちゃんステキー」と言ってくれた先輩で、
彼女は気を利かせて、「スゴいミュージシャンを発見したの!」と、
ハデなトークでお膳立てしてくれた。
…ビックリだ。
昼の放送が終わる前から、もう、放送室に問い合わせが入ったのである。
「あのミュージシャン、誰?」と。
翌日。例の先輩は、さらに機転を利かせてくれた。
「昨日レコメンドした曲あるでしょ?
あれ、お問い合わせが殺到したんですよー!
だから、皆さんのリクエストに応えて、今週1週間、パワープレイ決行します♪」
…実際の問い合わせは1件に過ぎなかったのだが、
先輩はそれを上手く膨らませて、パワープレイの道を敷いてしまったのだ。
1週間も流していると、
さらにちらほら、問い合わせが入ってきた。
私は、問い合わせに応じるために、
パンを買いにいく時間すら、作ることができなかった。嬉しい悲鳴だ。
私はさらに、簡単なフライヤーを作った。
次回のライブ案内と、CDの案内。
そしてもちろん、彼のプロフィールを載せた。
印刷は、放送室のコピー機を使わせてもらうことが出来た。
ので、調子にノって300部も刷ってしまった。
さすがに、学校での問い合わせ者に配るだけでは、あり余ってしまった。
私はそれを、彼の路上ライブに持っていくことにした。
『私の彼は有名人』