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エピソード8 『マイウェイ -迷路の町のカロリーナ-』

マスターからゆずり受けた家は、近所の子供が秘密基地造っていたわ。

いいのよ。マスターが許可したらしいわ。あの人バカなのよ。それか天才だわ。

どっちなの?きっと、どっちでもあるのよ。

カフェテリアのマスターをやる人っていうのは、バカであり天才なの。

でもさすがに、秘密基地はおしまい。私たちが住むんだもの。

パパは、改修に取り掛かったわ。

町の工務店も呼んだけど、自分も手伝うんだって。

あの人、日曜大工が好きなのよ。渡し舟だって自分で造ったんだもん。覚えてる?

パパ、子供たちがこしらえていったブランコとか、そのままにしたわ。

ガレージくらい、ぐちゃぐちゃでもいいのよ。ガレージくらいはね。

ガレージにも滑車ロープがあったわ。

きっと、屋上で誰かが口笛吹いたら、子分がバスケット差し出してたのよ。

結局、同じ家には同じような人間が住むの。そういうもんなのよ。


そう。屋上にはなぜか、丸い屋根があったわ。半球っていうの?そういうやつ。

半球は、どこの家にもあるのよ。セントニールではね。

パパはそれを見て、「これは白じゃないな」って言ったわ。

それで、青色にぬり替えちゃった。とてもキレイな青よ。夏の空みたいに鮮やかな。

色を変えたのには、もう1つ理由があるらしいわ。

お出かけしたときに、まっすぐ帰ってこれるようにするためよ。

言ったでしょ?この町も迷路なの。

最初から住んでたなら迷路でも問題ないけど、

引っ越してきたなら、文字通り、迷路なのよ。道に迷っちゃう。

パパのおかげで、買い物行っても学校行っても、迷わないで済んだわ。


パパ、お仕事どうするつもり?

もちろん最初は、漁に挑戦したわ。アルバイトとして、色んな船に乗った。

でもいまいち、パパにはハマらなかったみたい。

パパあんまり、筋肉ムキムキじゃないしね。

パパ、焦らなかったわ。「貯金があるうちは、焦らずいこう」ってね。

それでパパ、日曜大工に逆戻り。

何やるのかと思ったら、また船造り始めたわ。

またタクシーやるつもりなの?

それはムリよ。海の場合、どれだけこいでも、家は無いもの。


真っ白い船、造ったわ。家と同じでキレイな白。

そして、青いマストを付けたの。ウチの丸屋根と同じ、鮮やかな青。

それを海に運んでいって、家族で遊んだわ。それだけ。

パパ、家族のレジャーために、船造ったらしいわ。あの人バカなのよ。それか天才だわ。

どっちなの?きっと、どっちでもあるのよ。

悪くないわ。楽しいのよ、クルージングって。

おかげで私も、ルチアーノでさえも、操縦を覚えたし。


それに、思いがけないことが起きたのよ。

「その船、かっこいいじゃないか!どこのメーカーだい?」

って、色んな人に声かけられたわ。

パパは答える。「僕が造ったんですよ。」ってね。

そしたらみんな、あきらめるの。「ふうん。日曜大工か。」ってね。

でも、あきらめない人もいるのよ。中にはね。

そればかりか、なぜか造り主を突き止められるの。

我が家まで来て、言うのよ。「あのカッコイイ船、お宅のだろう?造ってくれ。」ってね。

「何でウチだってわかったの?」って尋ねると。

「お宅の家とあの船、同じカラーリングじゃないか。」って。そういえばそうだわ。

パパは最初、ジョウダンだろうと思ってたんだけど、本気だったの。

100万リラも積む人が、現れたわ。

「やってみるか。」パパは、仕事として船造りをやってみることにしたの。



『マイウェイ -迷路の町のカロリーナ-』

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