エピソード8
そうなのです!
私が職を失ってから最初に取り組んだ事象とは、
「家族でログハウスを建てること」だったのです!
貯金をはたいて、
埼玉の郊外に、100坪ほどの土地を買いました。
国有地の雑木林に隣接した土地でした。
つまり、広大な雑木林も、私たちの庭のようなものです。
土地と一緒に、
「ログハウス・キット」というものを、980万円で買いました。
たくさんの丸太や窓ガラスなどが、セットになっているのです。
プロのログハウス大工に作業を手伝ってもらえるプランもありましたが、
妻・翔子も娘たちも、「自分でやりたい!」と言い切るので、
自分たちだけでやってみることにしました。
…子どもたちは、
「自分でやりたい!」と言ったところで、
建築作業に携われるのは土日だけなのですが…
そういうわけで、
私と妻・翔子とで、年がら年中、
「建築デート」をすることになったのです!
私たちは、
マニュアル本を頼りに、建築作業に取り組みました。
妻・翔子は、クリエイターの血がそうさせるのか、
「窓は丸くしたい!」などと、無理難題を言うことがありました。
さすがに、
そこまでのアレンジは、私たちだけでは不可能に思えたので、
大人しくマニュアルに従ってもらえるよう、なだめすかしました。
それでも、妻・翔子は、ずいぶんと働きました。
内心、私は、
ほとんど一人でやる羽目になると、覚悟していたのですが…。
妻・翔子だけではなく、娘たちも、
割り合いによく、手伝ってくれました。
「手伝う」というニュアンスよりも、
「楽しく遊ぶ」というニュアンスの中で、
不満も言わずに、作業に取り組んでいました。
みんなで作業をしながら、
「ここでカフェをやろう!」とか、「マッサージ・サロンがいい!」とか、
あれこれ夢を膨らませました。
果たして、商売の開業資金まで手が回るものなのか…
しかし、
実現する・しないに関わらず、
様々な可能性に創造力を膨らませることが、
彼女たちにとって、何より面白かったようでした。
私自身は、「ジャズ喫茶がやりたい」と提案したのですが、
「タバコ臭そうだからダメ!」
と、即座に却下されてしまいました…。
更に意外だったのは、
旧来の友人達もまた、
代わる代わる手伝いに来てくれたということです。
冷やかしだけで帰っていった者もありましたが、
大概みんな、楽しそうに手伝ってくれました。
家を一軒、最後まで責任持って組み立てるのは、やはり骨が折れます。
もう一度やれと言われたら、丁重に断りたいところです。
しかし、
娘たちや友人たちのように、
「時々顔を出しては、手伝っていく」といった程度であれば、
皆、とても楽しそうでした。
結局、
どんなに困難な作業も、みんなでやれば楽しいし、
時々やる分には、楽しいのです。
『リストラ後の7回裏で…』