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エピソード9

僕はその後も、

屋台のパニーニみたいのをほおばったり、

少年たちに拉致されて、ビリヤード対決でボロ負けしたりして、

旧市街の風情を、ふんだんに楽しんだ。


旧市街みたいなトコに来るときは、

なるべく、時間をたっぷり取っておいたほうがイイよ♪

たとえ、

ガイドブックに、「1時間もあれば、充分に周れる」とか書いてあっても、

それは、

爺さんにお茶に誘われたり、少年たちにビリヤードでボロ負けする時間は、

含まれていないからさ?

キミが、

好奇心たっぷりに、ニヤニヤ笑顔で旧市街を歩くなら、

予想外の出来事は、ぜーーーったいに起きちゃうよ♪

ビリヤードにボロ負けしたなんてエピソードはこのときの実際のことで、

でも、あんまり長々と書いたりするつもりはないよ。

なんていうか、たぶん、書いたってそんなに伝わらないんだよ。

でも実際には、すごく楽しい出来事なんだ。

ガイドブックに載ってるカルナック神殿を観光したことよりも、

こっちの出来事のほうがよく思い出すってくらいさ。

旅の魅力ってそういうモンなんだよ。

肝心なモノほど、人に伝えるのは難しいのさ。

だから、「ぶらり旅」の番組とか見て旅行した気になったって、

そんなのはテレビ画面のアイドルにチューするようなモンさ。

実際にやったほうが何倍も楽しいし、

実際にやってみないと、その真髄には気づけないさ。


そうして僕は、

15時頃には、宿に戻ってきた。

僕の泊まった宿は、屋上を上手く活用していて、

屋上に、部屋もあればラウンジもあった。

ラウンジには、

精悍な顔立ちをした二十歳過ぎの男の子と、

世界一周の途中だという、2人の女の子がいた。

…どちらも、日本人だよ?

彼らは、なかなか優秀な旅人だった♪

酒や恋愛に溺れたり、期待したりするタイプではなく、

純粋に、旅への好奇心から、旅をしていた。

そういう人たちは、

その知的好奇心が、他の分野にも向けられるから、

何かしら、一過言持っているよ。

そういう彼らと語り合うのは、ものすごく、面白い♪


男の子のほうとは、この日の夕飯も共にした。

なんか、ぜんざいみたいなエジプト料理を、

一緒に笑いながら食べた記憶があるなぁ。

彼とは、帰国後も、ミクシィで長いこと、繋がっていた。


女の子たちとの縁は、もっと深かった!

次の目的地が、同じ「西方砂漠」だったことから、

以降2日間ほど、一緒に行動するコトになったよ♪

僕は、基本的に一人旅を好むけれど、

こんなふうに、「数日間だけ、誰かと行動を共にする」ってコトは、

割とよくあるんだ♪

…でも、あくまで、

目的地や旅のスタイルが似通っている場合に限るし、

行き先が枝分かれしたら、潔く、バイバイしてしまう。



「優秀な旅人」というのは、

この、「一緒の期間は深く愛し合い、けれども潔くバイバイする」

っていうスキルが、ものすんごい高い!!


…「深く愛し合う」って、ラブロマンスのハナシじゃ、ナイよ?

「優しく、人情味がある」っていうような意味さ。

まぁ、「一夜の恋」みたいのが時々はあってくれてもイイけど、

ハナっから下心目的で行動を共にしようとするヤツらは、

「優秀な旅人」ではナイから、色々とストレスが絶えないだろうなぁ。



『導かれし者たち』

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