エピソード9
脱線ついでに、
今度は、主人について、簡単に触れておきたいと思います。
私たちは、恋愛結婚でした。
私が、あの人に見惚れた感が、強いです。
主人は、
結婚をする前から、
喫茶店の経営を夢見ていました。
また、
フランスやイエメンを旅したいという夢を、持っていました。
(一体、フランスとイエメンが、どうやって繋がるのでしょうか 笑)
市長や県長をやりたいという夢も、持っていました。
夢の多い人間なのです。
更に、困ったことに、
生活感のあまり無い人間でした。
カップラーメンだけで、生きていけてしまうような、人なのです。
お金を稼ぐということには、ほとんど興味が無く、
ましてや、
貧しい人を騙してまでして、お金を欲しがる人では、ありません。
つまり、
とても、精神性の高い人間でした。
なかなか男前ですから、
ワガママに振舞っていても、
衣食住をなんとかしてくれる女性は、尽きないと思います。
しかし、彼は、
「与え続けること」を、貫き続けるのです。
そして、
自分自身に対しても、社会に対しても、
とても高い理想を持っていました。今でも、そのままです。
若き日の私は、
「この人の夢や理想を、一つ残らず叶えてあげたい!」
と感じて、一緒になったのです。
私たちは、
バブル全盛期の人間ですが、
私には、ウェディングドレスも興味が無かったし、
外車も、高層マンションも、必要無かったのです。
…女の子ですから、
グルメやオシャレには、それなりに、興味がありますよ?
しかし、
グルメやオシャレへの欲求というものは、
自作することによって、格段に安いお金で、満たせてしまうものです。
既製品の1/10くらいの値段で、済んでしまいますよね(笑)
まぁ、四国の女というのは、
大概、似たり寄ったりです。
「尽くす恋愛」というものが、
祖先から脈々と、受け継がれているのです。
「尽くす恋愛」をしている女性たちは、概ね、幸せそうです。
自信に満ちていますし、自立的です。
しかし、都会の女性たちは、
どうも、そのことに気付けないようですね…。
私たちは、
共働きをして、お金をイチから貯めました。
普通の仕事です。
私に美貌があったならば、
少しくらい、水商売に手を染めても、良かったとも思いますが、
残念ながら、
そのようなパーツは、ポケットには入っていませんでした(笑)
結婚をして一年経って、息子も授かりました。
主人の血なのか、
あまり、ワガママを言う子では無かったので、
お金も手も、あまり掛かりませんでした。
平凡な子ですが、優しい子です。
私は、
男性において、「優しさ」や「穏やかさ」といったものが、
最も偉大なスキルであるように、感じています。
ですから、
わが子の成長具合としては、100満点を付けても良いくらいです。
…親バカで、申し訳ございません。
『お遍路さんの集まる喫茶店』