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エピソード9 『ミシェル2 -世界の果て-』

エピソード9

忘れてみようと思ったの。

仕事を熱心に打ち込んで、ピアノの教室も始めてみたりして、

レオのことは忘れてしまおうと思ったの。それが無難でしょう。

だって、すれ違っただけの人を追いかけてどうなるっていうの?そんなのバカげてる。

どこに住んでるかも知らない、年が10コも離れてて、貧乏で、

そもそも今どこにいるかもわからない…。そんな恋に飛び込むのはバカげてる。


でも私、どんどん元気がなくなっちゃった。

笑顔がつくれないし、元気が出ないのよ。

「人生にハリがない」って思ってたときより、さらに元気がないの。

秘密基地に行ったって楽しくない。

ゴスペル歌ってても楽しくないし、ピアノは全然上達しないの。

どれも頑張ってるけどね。でも元気がないの。

なんか私、「普通の大人」になってしまったのよ。そう感じたわ、自分で。

でもしょうがないじゃない?レオを追いかけるなんて、出来もしないことだもの。



結局、引き金になったのはウィリアムスさんだったわ。

秘密基地でうなだれてる私を見て、彼は言ったのよ。

「死んだ魚みたいじゃないか?ミシェル。

 ハリがなきゃ人生じゃない。そうだったろ?

 キミ、僕が出した宿題、忘れちゃったわけじゃないだろうな?」

「宿題?」

「哲学の宿題さ。」

「は…!!」

哲学の宿題。そして「愛」の宿題。


ウィリアムスさんは、私が死んだ魚みたいになっている理由が恋わずらいだって、

きっと察しているの。

でも恋の話なんてすると私が嫌がるのわかってるから、ハッキリ言わないのね。

ひょっとしたら、リリルから「ウィリアムスさんに相談しちゃダメ」って言われてることすら、

察してるのかもしれないわ。だから「恋愛の話」にしなかったのよ。


「愛とは何か?」

哲学の宿題。半年前に出された、哲学の宿題。

そしてこれは、人生で一番難しいゲームよ。愛のゲーム。


『ミシェル2 -世界の果て-』

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