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エピソード9 『小さな大ちゃん』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年4月6日
  • 読了時間: 1分

エピソード9

女に溺れて、「縁の下の力持ち」を止めたオレは、

ボロボロな大人になった。


セックスがあっても、人生が楽しくない。

セックスをすればするほど、人生が虚しく感じられる。

人生に対する罪悪感や焦燥感が、抜けない。

酒でも、抜けない。一瞬忘れられるだけだ。



結局、オレは、

「反面教師」にしかなれなかった。



「いや、今からでも遅くはない!」

そう、何度も思った。

「縁の下の力持ち」の大ちゃんに、戻りたかった。


しかし、

セックスやパチンコやマージャンや酒で繋がる仲間たちから

抜け出してくることは、非常に難しいのだ!

脅迫まがいな方法で、ヤツらはオレを引き止めてくる。

オレが居るだけで、女が寄ってきたりするからだ。


オレは、完全に、利用されている。悪用されている。

こんなのは「友情」でも何でもない。


ヤクザは、いったん成ってしまうと、足を洗えないというけれど、

セックスやギャンブルにまみれた人間関係も、ヤクザと同じだ。

亡命でもしない限り、ヤツらから逃れられそうもない。



オレは、ある意味では、

ヤツらにとって、「役に立っている」人間とも言える。

「縁の下の力持ち」を、計らずとも、生きている気がする。


しかし、オレは、

出来れば、「もっと素晴らしい人間たち」のために、

体を張りたかったと思う。


『小さな大ちゃん』

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