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エピソード9 不思議の国はどこにある?

エピソード9 不思議の国はどこにある?


キャロルの笑顔は、長くは続かなかった。

この兄妹(きょうだい)に流れている血なのか、

じきに進学した小学校は、キャロルの肌には合わなかった。

それ以上に悩ましいことに、

キャロルは、クラスメイトからいじめにあったのだった。

「ぬいぐるみとおしゃべりしている」などと知って、

キャロルをいじめない子はいなかった。

キャロルは学校でのみならず、家でも笑うことができなくなった。

表情を使い分けるほど器用な子ではないのだ。



いつぞやの魔女のことを、

ミシェルは、あちこちで話して聞かせた。

しかし、およそだれもが、

「そんなのウソだ!」といぶかしげるのだった。

「名前はヒミツだ」というと、ますます信じてはもらえなくなった。

くやしいミシェルは、サイラスに頼んで車を出してもらった。

再びあの森の中を走ってみたが、

なぜか、あの古ぼけた立て札は見つからなかった。


「どうしてなの!?私がウソをつくはずないじゃない!

 私がウソをつくのは、サプライズバースデーするときだけよ!」

ミシェルはぷんぷんしながら、てん末をウィリアムスに相談した。

「はははは!

 魔法とかファンタジーとかっていうのは、そういうものなのさ。

 入り口を見つけるのは、とても難しいんだ。

 いいかい?世間がうわさしてる神秘現象のほとんどは、ペテンだよ。

 でもね、ほんの少しだけは、本当の不思議があるんだよ。

 神隠しとかね。昔からあちこちで、そういう伝説がある。

 だれも信じちゃくれないけど、それで良いんだよ。

 それは、キミだけの宝物だよ。」


ミシェルの魔女話を、信じてやまない者がいた。とても身近に。

キャロルだ。

キャロルはだれよりも、姉が正直者であることを知っている。

キャロルもまた、魔女とやらに会ってみたかった。

少し怖いが、それでもやっぱり、その目で見てみたかった。

そうして、サイラスに頼んで再三度車を走らせたが、

やはり、あの立て札を見つけることはできなかった。

妖精のリビングもアンジェリカの小屋も、見つけることはできなかった。


キャロルは、どうしても魔女に会ってみたかった。

森の中に立て札は無かったが、

それでも会える気がしてならなかった。姉がウソつきだとは思えなかった。

なにしろキャロル自身、ぬいぐるみと会話しているのだ。

この世に不思議が存在していることを、だれよりも知っている。


そしてキャロルは、姉に負けないくらい本を読むようになった。

古今東西のおとぎ話の中に、そのヒントを見出そうとしたのである。

友達のいないキャロルである。本を読む時間は山とあった。

「わかったわお姉ちゃん!

 不思議の国に行きたいなら、大人に頼っちゃダメなのよ。

 子供だけでがんばらなくちゃいけないの。

 それに、どこか危険なところを冒険しなくちゃダメなの。

 おうちのリビングにも学校の職員室にも、秘密の入り口は無いんだわ。」

「その通りだ!」ミシェルは思った。

「だれでも不思議の国に行けるってわけじゃないんだわ!」



『ミシェル』

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