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10 信じるココロ 『イーストエンドは西の果て』

10 信じるココロ

 …心臓が止まるかと思った!!!

 こんなにバクバクと高鳴るのは、トーゼンのことながら、人生初のことだったよ!!!

 「昨日までの僕」なら、こんなワケのワカンナイ雲には、飛び乗らなかっただろうさ。

 そもそも、「光るコブ」を登ることも、しなかったろうさ。とにかく、危険なコトは何一つ、しなかったろうさ。

僕が勇ましいのは、「テレビゲームの中」だけだったさ…

 …でも!!

 「今日の僕」は、違ったんだ!!何か分岐点に立ったならば、こう考えてみることにしたのさ♪


「こういう時、勇者なら、どうするだろう!?」


 僕は、勇者になりたかった。

 「本当のバカ」には、なりたくなかった。


 勇者になるためには、勇者とオンナジ言動を、取る必要があるでしょ?

 政治家の二の舞にならないためには、政治家とは違う言動を、選ぶ必要があるでしょ?何だカンだもっともらしい言い訳をして、政治家と同じように逃げるのは、もうゴメンだったのさ!!!


 「死にたくナイから、雲に飛び乗る」んじゃなくて、

 「死んでもいいから、雲に飛び乗る」覚悟を、持ったんだよ♪


 貝のかいんズたちは、変わり者だったけれど、たしかに、好意から、僕に雲を差し出してくれた。

 それなのに、僕の心にある「死への恐れ」を隠し正当化して、かいんズたちを悪者扱いしたり、雲に飛び乗ることを回避するなら…

 そんなのは、「卑怯」だと思った!!

 そんなのは、「政治家たちのやる正当化」とオンナジだと思った!!

 勇者は、そんなコトはしないと思った!!


 …今こうして僕が、このオハナシをベラベラと語っているということは…

 そうさ♪

 お察しだとは思うけれど、このピンクの雲は、僕の身体をちゃーんと支えてくれたんだ♪



 さっきまではウンともスンとも言わなかったピンク雲が、急にしゃべり出した!!

「おめでとう!!!

 キミは、『信じるココロ』をGETしたね♪」

 そう言ったかと思うと、雲の床から、「紫色のビー玉」が、スポンと飛び上がってきた!

 僕は、あわててそのビー玉をキャッチすると、しばらくまじまじと眺め、そして尋ねた。

「何コレ??」

「…うん。

 キミはどうやら、まだ7つ全てのビー玉をそろえたワケでは、ないようだねぇ。

 ってコトは、『体験入学者』なんだな。

 まぁイイよ♪

 『体験入学』の基準は満たしているようだから、ご招待しよう♪」

 言い終わるか終わらないかのうちに、ピンクの雲は、まぶしく光り始めた!!その光は、柱となって、一瞬で、天まで延びていった!!

 僕は、僕を包む「光の柱」の中で、天を見上げた。すると、僕の身体は、瞬く間に、半透明に透けていった!!!

「え?え!?」

 戸惑う僕などおかまいなしに、僕の身体は、その場から消えちゃった…


『イーストエンドは西の果て』

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