11 値段交渉ゲーム
僕が、キブン良くゲストシートを記入してると、
後ろから、聞き覚えのある声がした…
「泊マリマスカ?ヨカッタネ!」
…カトちゃん、まだ居たのー!?
僕から宿の紹介料でも、せしめる気なのかと思った。
けれど、彼は、
紹介料のハナシなんて、切り出してはこなかった♪
彼は、代わりに、観光のハナシを始めた!
まずは、自分のショルダーバッグをガサゴソ探って、1冊の手帳を取り出した。
それは、手帳サイズの手作り「ツアーガイド情報誌」だった(笑)
日本人が書いたと思われる、こなれた日本語で、
「メコン川ツアー 1day 100ドル」
とかなんとか、写真もいっぱい貼り付けて、かなり丁寧なモノだった!
そして、観光情報はそこそこに、
後ろのページは、日本人旅行者による、「感想ノート」で埋め尽くされていた!
「カトちゃんは、とても気さくでイイ人!
メコン川はデカくて…」
他の日本人からも、カトちゃんって呼ばれてんのかよ!!
…僕のツッコミどころは、ソコだった(笑)
中には、感想文に名刺を添える人も、いた。
超大手銀行の名刺なんかも、あった。
カトちゃんは、それを僕に見せて、
自分がいかに信頼に値する人物かを、得意げに、アピールしていた!!
僕は、性格的に、
そういうモノを見ればみるほど、彼がウサン臭いと感じた(笑)
…かと言って、
時間はまだ昼にもならず、
僕には、観光情報なんて、1つも無かった…
僕は、とりあえず、
彼のご自慢の「ツアー情報誌」を、ぺらぺらとめくった。
「メコン川ツアー」と「防空壕探検」に興味を持ったけれど、
後者は、時間が掛かり過ぎるようだった。
メコン川ツアーは、100ドルと書かれていたけれど、
僕は、値段の交渉をすれば、下がるだろうと思った。
そういう噂は、なんとなく、どこかで聞いていたからさ♪
…それにしても、
100ドルは高すぎると思ったよ!100ドルって、約1万円だぜ!?
そうやって文句を言うと、
「バイクニ乗セテ マンツーマン デスカラ 高クナイネ!安イネ!
行キ 帰リ ガソリン代モ インクルーズ(含む)ネ!」
結局、
僕は、値切りに値切って、40ドルまで下げることが出来た♪
半値以下に下がれば、まぁ、上出来だろう!フフン♪
僕は、この旅最初の「値段交渉ゲーム」に、
いたく満足して、上機嫌だった♪
『永遠の楽園』