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19 空港初体験・その2

19 空港初体験・その2


コンビニでチョコ菓子とジュースを買うと、

近くの鉄のベンチに、腰を下ろした。

周りには、旅行者が大勢いた。


私が、ぼーっとチョコ菓子をつまんでいると、

お爺さんお婆さん世代の団体旅行客が、

赤いチェック服の添乗員さんに従って、ずらずら並び始めた。

「はーい!

 沖縄行きブルース・ツアーの皆様、こちらにお並び下さーい!」

…添乗員さんが、そう言い出す前に、

すでに全員が、綺麗に並び終えていたようだった(笑)

人は、年を取ると、素直になるのだと思う。


私は、

「コレに着いて行けば、沖縄行きのカウンターを突き止められる!」

と察した。

「ゆっこちゃん、冴えてるーぅ♪」

鳴りもしない「指パッチン」をカマして、少し上機嫌になった♪

…私の機嫌や体力は、

本当に、本当に、

些細なことの数々で、増えたり減ったり、していた。

厳密に言えば、ジュースもチョコも、あんまり関係ナイようだった。

「ジュースやチョコのように、上機嫌にしてくれる何か」があれば、

それだけで、充分なのだ。



お爺ちゃんお婆ちゃんたちの3メートルくらい後ろを、

そしらぬ顔して、着いていった。

添乗員さんが止まったのは、

「那覇行き 8:30」

と書かれた、Bのカウンターだった。

「あれ!?那覇?沖縄じゃナイの!?」

私は、頭が混乱してしまった。

お爺さんお婆さんがカンチガイをすることはあるとしても、

添乗員さんがカンチガイするとは、考えられない…

私は、思い切って、

一番後ろに並んでいた深緑チャンチャンコのお爺さんに、

「すみませーん…」と、話しかけてみた。

「あぁ?はい、はい?

 おぉ、ヨシコちゃんかぁ?

 なーんで?見送りに来てくれたんかぁ?」

「え?いや…私、ユキコですけど…」

「おじいちゃん!ヨッチャンじゃありませんよ!

 姪(めい)っ子が、なーんで見送りに来るんですかぁホントにもぉ。」

「おぉ、そーかそーか!コリャ、失敬失敬。

 ワシ、おじょうちゃんの足でも、踏んでしもうたか?」

「…いえ、違うんですけど…

 あの、このカウンターは、沖縄行きですよね?」

「はぁ?そのはずじゃがぁ。

 ワシ、違う添乗員さんに、着いていってしもたか!?赤い人じゃぞ?」

「おじいさん!慌てないでくださいな。

 おじょうさん?

 ココは、沖縄の那覇空港行きで、合っていますよ♪」

「あ、ありがとうございます!」

私は、エラく赤面しながら、お礼を言った。

那覇って、沖縄のことだったのかー!

自分の無知が、恥ずかしかった…。

そして、

「無知であることは、

 人生をずいぶんと不便にし、遠回りさせてしまうものだ」

と、強烈に、強烈に、痛感させられた!!

インテリが偉いとは、思わないのだけれど、

それにしたって、私は、無知すぎるようだ…

一般常識くらいは、みんなと対等に話せるように、なるぞ!



20分くらい、その列で待ち続けた。

さっき買ったジュースは、もう、無くなってしまった…。

それに、

暇つぶしになりそうなものは、何一つ、持っていなかった。

私の両親は、15歳の娘には、ケータイを持たせはしなかった。


ようやく、私の番になった。

「チケット拝見しまーす」

と、受付のお姉さんが言ったのだけれど、私はよく聞き取れていなかった。

私は、オドオドしないように、気を付けて言った。

「大人1枚、お願いします!」

「…は?なんでしょう?」

「…え?

 大人1枚、お願いします!」

オドオドしないぞ。私は、大人だぞ。

「えーっと…、

 何を、差し上げればよろしいでしょうか…?」

…ようやく私は、

会話が噛み合っていなかったことに、気付いた!

冷や汗がどっと吹き出してきた。

「え!?

 あ、あの…、沖縄行きのチケットを、大人で、1枚…」

「プッ!」

お姉さんは、不意に、吹き出してしまった!

しかしすぐに居直ると、プロの顔に戻り、

「お客様、まことに申し訳ございませんが…

 航空券は、あちらのカウンターにてお買い求めいただくか、

 奥のATMのような機械で、お求め頂けますでしょうか…?

 そちらをお持ちの上で、

 再び、当カウンターまで、お越し下さいませ…。」

バカな私にも解るように、

お姉さんは、丁寧に上品に、説明してくれた。

「あ、どうもすみませんでした!」

私は、大げさにお辞儀をすると、そそくさと逃げ出した!



『星砂の招待状 -True Love-』

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