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1 ヘンテコ・ミツバチ 『イーストエンドは西の果て』

1 ヘンテコ・ミツバチ 

「あら、ぱるこ。

 今日はミツバチのお世話、終わったの?」

「う、うん。当然さ!

 だからこうして、ノンキにテレビゲームやってられるんだよ♪」

「そう。良い子ねぇ♪」

 母さんは、キゲンを良くすると、洗濯カゴを抱えて2階に消えていった。


 母さんをダマすのは、カンタンさ。父さんは、こうはいかないけどさ!

 父さんは、自分で開業した養蜂場を僕と母さんに任せて、時々、旅に出ちゃうんだよ。

 お陰で僕は、ミツバチの世話やなんかを、引き受けなくちゃなんないのさ!

 とんだメイワクだよ!アイツら、ちょっと油断すると、すぐにあちこち、刺してくるしさ!


 父さんは、言うんだよ。

「ぱるこが素直な良い子になったら、あの子たちは、オマエを刺したりはしなくなるよ♪」

 なんてさ。

 今時、そんな迷信じみたことを信じる子どもが、どこにいるんだってカンジさ!

 父さんは、アタマがイイようで、どっか抜けてるんだよ。

 アタマの中にもお花畑があって、ハチの飼育でもしてるのさ。チョウチョかもしんないけど。


 さっき母さんにあんなことを言ったけれど、トーゼン僕はまだ、今日の分の仕事なんて、終えちゃいないんだよ。今やってるRPGがいいトコだったから、先にクリアしておきたかったんだ。

 僕は、ミツバチのようなザコと戦ってる場合じゃナイのさ♪


 ラスボスを倒して、エンディングも見終えたから、そろそろ仕事に取り掛かることにするよ。

 僕は、開け放たれた玄関から飛び出して、河川敷に駆け上がっていった。

 僕の家は川沿いにあって、ミツバチ巣箱は、河川敷のあぜ道の向こう側にあるんだよ。

 あぜ道の脇には、アカシアの木が立派に茂り、並木道を作っていた。たくさんの白い花を咲かせて、甘い香りを漂わせていた。

 …実は、コレは、アカシアではナイんだよ。「ニセアカシア」って種類なんだ。

 それなのにみんな、この木のことを、アカシアって呼ぶんだよ。

 オトナたちってのはたいてい、アタマが悪いんだよ。木にダマされてるくらいだから、もう救いようがナイさ(笑)


 あぜ道の向こうに渡り、河川敷の藪を抜けていくと、ウチのミツバチ巣箱が並んでいるんだ。20箱くらいだよ。

 昔はこの10倍くらいあったらしいけれど、今時、国産のハチミツを買う人なんて、政治家や地主くらいしか居やしないのさ。

 つまり、「本当のバカ」が、買っていくんだよ(笑)


 …アイツら、お金や金色の宝石が、大好きだろう?甘味料だってゴールド色していないと、禁断症状が出ちゃうんだよ(笑)

 アイツらのために、僕は仕方なく、ミツバチの世話をするのさ。

 っていうのも、母さんの家系が金持ちで、遺産を継いでいるから、我が家は別に働かなくたって、暮らしていけるんだ。すると、僕は、「禁断症状が出ちゃう政治家や地主たち」のために、奉仕活動をしてあげているってワケさ!


 仕事着を手早く身に付けると僕は、端っこの巣箱から順に、ハチミツの収穫を始めた。

 こんなの、僕にとっちゃぁ朝メシ前なんだよ。母さんの半分の時間で、済ませられちゃうんだからさ!


 …それなのに、この日は、あんまり上手くいかなかった。


 最後の箱になって、1匹のミツバチが、ヤケに暴れまわって、仕事のジャマをするんだよ!!

 ヤツ、しまいには、僕の鼻の上に、のうのうと停まりやがった!!僕はムカついて、叩き殺してやろうと思った。

 …ミツバチを殺すことは、トーゼン、父さんからキツく止められているよ?

 でも、僕の仕事をジャマした挙句、鼻の頭に停まるなんて暴挙を働いたんだから、殺されたって仕方ないんだよ。そうでしょ?


 僕は、いったんカラダを静止させて、ミツバチが油断したところで…右手で勢い良く、自分の鼻の頭を引っ叩いた!

 バチン!!

「痛ってぇーー!!!」

 このミツバチときたら、マヌケそうなツラをしてるクセに、間一髪のところでヒラリと交わしやがった!!

 そして、そのままひらひらと舞い上がって、藪の奥に、飛び去っていくじゃないか!!

 僕は、あんなヤツのことなんか、放っておこうと思った。家に帰って、クリア後の隠しダンジョンでも、探索しようと思ってたんだよ。

 でも、一瞬にして、気が変わったんだ。

 なぜかって?


「やーい、ウスノロ!

 ミツバチにも勝てない『へっぽこ勇者』ぁ!!」

 たしかに、僕の耳にはそう聞こえたんだ!!嘘かマコトか、知ったこっちゃナイ!

 僕はカチンときたから、作業着を素早く脱ぎ捨てて、そのミツバチを追いかけ始めたんだ。


『イーストエンドは西の果て』

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