20 ひこうきには、まだ着かないの!? 『世界一大きなおもちゃばこ』
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- 2023年3月16日
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20 ひこうきには、まだ着かないの!?
お姉さんがるなに言った、最初の言葉…
「おじょうちゃん、走るよー!!!」
「え?え??」
何も考える間もなく、
お姉さんに手をひっぱられながら、るなは、走りだすことになったの!!
「…そういえば、
『時間がない』って、お兄ちゃんが言ってた!!」
るなは、それを思い出したから、
お姉さんにめいわくをかけないように、
めいいっぱいの速さで、走ったよ!!!
うさ子も、赤いポーチも、
あっちゃこっちゃにあばれ回って、上手く走れなかった!!
るなはまた、赤いポーチを、Tシャツの中に入れた!!
どこに向かってるのか、さっぱりわからなかったけど、
とにかく、お姉さんといっしょに、めいいっぱい走ったの!
お姉さん、本気で走ってたよ!!!
本当に、時間がなかったみたい!!!
他の人たちが、荷物のけんさをするために、大行列を作っていたのに、
るなは、最前列に、ずるこみさせてもらっちゃった!!
「ごめんなさぁーい!!」
って、みんなに言いたかったけど、やっぱりまだ、声は出なかったよ。
るなが、四角いゲートをくぐると、
「ブー!!!」ってブザーが鳴って、
赤いランプが、ぴこんぴこん光ったの!!!
「るな、何か悪いことしちゃったの!?
ひこうきに間に合わなかった、合図なの!?」
るなはまた、
わきの下に、ジトーーって汗が出てきて、
ムネがドキドキしてきて、
頭がクラクラしてきちゃった…
お姉さんが、るなの体をつかんで、ゆさゆさ揺らしたから、
ハっと、われにかえったよ!!
「おじょうちゃん!
おサイフか何か、ポッケに入ってる!?」
あれ?あれ??
キュロットのポッケには、ティッシュしか入れてないハズだったけど…
るなは、あわてて、ポッケの中をぐるぐるかき回したよ!!
ティッシュ以外には、小さな水色のボタンが、入ってるだけだった…。
お姉さんは、
あわてて、るなの体に、あっちこっちさわってきたよ。
それで、お腹のところのカタマリに気づいて、
「コレだ!!」ってさけんでた。
るなは、「あ、ポーチだ!!」って思い出して、
首のところから、ポーチを取り出したの。
それで、もう1回、四角いのをくぐったら、
今度は、「しーーーーーん」だいじょうぶ♪
るなは、うさ子をしょって、赤いポーチを首にかけて、
またまた、お姉さんといっしょに、走ったよ!!!
あっちに走って、こっちに曲がって、かいだん下りて…
マラソン大会よりも、ずーっと、ずーっと、大変だった!!!
いくつも、おかしを売ってる売店の前を、通り過ぎたけど、
どうやら、おかしを買ってる時間なんて、無さそうだった…
ザンネンだったけど、
るなが失敗しちゃったせいだから、あきらめたよ…。
やがて、
電車の改札口みたいのが、1つだけあるところで、
お姉さんが、急ブレーキ!!
るなも、急ブレーキ!!
ひこうきは?
もう、飛んじゃった!?
「おじょうちゃん!チケットは、どこ!?」
お姉さんは、まだまだ、あせってる!!!
るなも、あせる!!!
えっと!あっと!どこだっけ!?
るなは、また、キュロットのポッケを、ぐるぐるかき回した。
…ていうか、チケットって、どんなの!?
何を探してイイのかも、わかんなくて、
でも、しゃべれないから、質問もできなくて、
泣きたくなって、地団駄ふんじゃってたら、
お姉さんが、うさ子の中を、のぞきはじめた!!
「ちょっとごめんね?」って早口で言うと、
うさ子の中の着がえを、ぜーんぶ、ほっぽり出しちゃった!
るなのパンツも、見られちゃった!!
「ナイ!!!しからば…」と言うと、
お姉さん、今度は、るなのTシャツのお腹をめくって、
赤いポーチを、パカっと開いたよ!!
「あったー!!!」ってさけぶと、
白い、細長いふうとうを取り出して、
そこからさらに、細長い紙切れを、取り出した!!
お姉さんは、紙切れの右の部分を、ベリっと破いて、
「これは、また、ポーチに入れておくね?覚えてね?」
と言って、がさごそしまってくれた。
着がえも、うさ子の中に、ゴチャゴチャに押しこんでた。
「きたなくしちゃって、ゴメンね!!」
お姉さんは、るなに謝ってくれてた。
るなは、改札みたいなのを通ると、
また、ちがうお姉さんに連れられて、
うす暗い、トンネルみたいなところを、くぐった!!
「ひこうきには、まだ着かないのかな!?
さすがにもう、行っちゃったのかな!!??」
『世界一大きなおもちゃばこ』