21 空港初体験・その4
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- 2023年3月2日
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21 空港初体験・その4
私は、この文明が進みに進んだ現代日本の、
空調の利いた、最先端の建物の中で、
「自分が絶対絶命のピンチに陥る日」
が来るなどとは、思ってもみなかった…
…仮に、全く同じミスをやらかしたとしても、
そばにお父さんやお母さんがいれば、局面は全く違っただろう。
少なくとも、「帰宅するお金のアテがナイ」などということには、ならないだろう。
しかし、今の私は一人ぼっちであり、
クレジットカードやらキャッシュカードやらを、持っていないのだ。
もし、1ヵ月後だったら、
それも局面はゼンゼン、違った!
雑貨屋さんのお給料受け取りのために、
今週にもキャッシュカードを作成する予定になっていたし、
お給料ももうじき、
4月の分が2万円ほど入る予定だったのだから…
しかし、
ゴールデンウィーク明けすぐに飛び出してきた私には、
キャッシュカードも4月分のお給料も、どちらも、無かった…
私はとりあえず、
さっきの那覇行きのカウンターに、向かってはいたけれど、
その速度は、亀よりも遅かった…。
まだ、行くか止めるか、ためらいがあったのだ…。
頭はまだ、ボーっとしていた。
「打開策を練る」といった余裕は、無かった…
行く…帰る…行く…帰る…行く…帰る…行く…帰る…
私の頭の中で、振り子時計が揺れていた。
帰る…行く…帰る…行く…帰る…行く…帰る…行く…
私の頭の中で、花びら占いが行われていた。
『星砂の招待状 -True Love-』