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22 禅問答 『イーストエンドは西の果て』

22 禅問答

 ハイミーと話しながら、もう30分は歩いただろうか。らおすとやらは、どこにいるんだ?

 そもそも、人間タイプのヒトにも、ゼンゼン会わないんだ。

「ねぇハイミー?

 あとどれくらい歩くの?そろそろ、陽が暮れちゃうよ…」

「もう着くよ♪

 『西の谷』の人たちは、それぞれに小さな集落を作って、少し離れた場所に暮らしているんだよぉ。

 彼らは、『地方自治』について、探求しているんだぁ。」

「地方自治?自治って、町内会のこと?」

「そうだねぇ。町内会も、地方自治の1つだねぇ。

 地方自治っていうのは、国の中央政治に頼らないで、地域の人たちが自分たちで助け合うことを言うんだよぉ。」

「学校で言うところの、生徒会かな?」

「そうそう!そんなカンジだね♪」


 ようやく、小さな集落にたどり着いた。

 わらぶき屋根の簡素な平屋が、20個くらい点在していたよ。どの家にも、囲いという囲いは無くて、玄関は開きっぱだった。田舎のおばあちゃん家の風景が、なんとなく、近いかなぁと思った。

 メインの通りの外れに、人だかりの中心に居る、象の姿が見えた!!

 僕は、たまらず駆け出した!

「こんちわー!

 あなたが、らおすさん?僕、ぱるこって言うんだ!

 人間だよ。さっき、下から登ってきたばっかなんだ。

 ハグしても、イイ?」

 僕は、かいるのあいさつがエラく気に入ったから、マネしてみることにしたんだ♪

 チョっと恥ずかしかったけど、それでも、社交的に振舞えた自分が、なんだかカッコイイと思った!

「おぉ…!キミがぱるこ君か!

 まさか、こんなところにまで来るとは、思わなかったよ!

 もちろん、ハグしようじゃないか♪…そうだなぁ、この鼻にでも抱きついておくれ♪」

 僕は、らおすの立派な鼻に、抱きついた。土の匂いと太陽の匂い、そして、ほのかな暖かみを感じた。さむすんと同じように、ゴツゴツしていて、それでいて、柔らかかった。

 らおすは、およそ象らしくナイ色をしていた(笑)

 カラダが黄土色で、耳の辺りだけうぐいす色だった。カボチャみたいな色って言えば、イメージ出来る?

「…それで?

 人間クンは、迷子にでもなっちゃったかな?」

 らおすは、ゆっくりと、落ち着きのある話し方をしていた。その声を聞くだけで、安心しちゃうカンジだった♪

「イヤイヤ!

 さむすんに、らおすさんのこと、紹介してもらったんだよ♪

 藍色のゲームの、修行をしに来たんだ!」

「ほぉ!それで遥々、この村まで、足を運んでくれたのかな?

 それはそれは、とても光栄だよ♪

 ちょっと誰か、ぱるこ君に、お茶菓子でも持ってきてあげて?」

一人のお婆ちゃんが、にこやかに手を挙げて、自分の家へと引き返していった。

「…うん。たしかに、藍色の修行をしたいなら、私が打ってつけだろうなぁ。

 ココに集まっている人々も、藍色のチカラを付けるために、私に会いに来てくれているのだよ♪

 皆さん、今日は特別な客人があったようだ。悪いが、彼との対話を、優先させてもらっても、よいかな?」

 誰も、不満げな人は居なかった♪僕は、ちょっと安心したよ。

「皆さん、ごめんなさい、ジャマしちゃって。」僕は、丁寧にお辞儀をした。

「…おや?キミは日本人だね?

 その仕草は、日本人の伝統だった気がするが…」

 利発そうな男性が、そう言った。

「そうだよ。おじさんは、どこの国の人?」

 たいていみんな、黒い髪と黄土色の肌をしていた。

 日本人のような気もするし、そうじゃナイような気もした。

「私は、…というか、この小さな集落に住む人たちはみんな、カンボジアという東南アジアの小国の出身だよ。小さな国だから、知らないだろうなぁ。」

「カンボジア!?遺跡があるところ!?」

「まぁ、遺跡は大抵の国にあるが、カンボジアには世界有数のアンコール・ワットが、あるねぇ。」

「さっき、かいるの話に出てきたよ!

 かいるって…いるかさんのことなんだけどさ。

 『旅するなら、カンボジアがオススメ』って、教わったんだ♪」

「そうかそうか♪

 たしかに、日本の若者にとって、カンボジアという国に訪れることは、非常に興味深い体験になるだろうなぁ。

 …おっと!私がお国自慢をしている場合では、なかったね(笑)」


 さっきのお婆ちゃんが、ナンのようなパンと紅茶のような飲み物を持って、僕が話し終えるのを待ってくれていた。

 僕は、笑顔でお礼を言うと、お盆を受け取り、早速ナンをひとかじりさせてもらった。

「甘い!甘くて美味しいよ♪おかわりしちゃうカモ!?」

 自分が初対面の人に対して、フランクに話し、ジョークまで口を付いているのが、僕は信じられなかった(笑)

「どうぞ♪いくらでも、おかわりして下さいな。」

 お婆ちゃんは、にこやかに答えてくれた。


 らおすが、場を仕切りなおした。

「さぁ、食べながら、話をしようね♪

 …それと、正座なんて、要らないからね?フランクに接してくれれば、うれしいよ。

 『らおすさん』じゃなくて、呼び捨てでカマワナイんだ♪」

「えー??お坊さんって、礼儀に厳しいんじゃナイの?竹刀で叩くんでしょ??」

「わははは!そういうのは、旧いタイプの仏教僧だよ。黄色のオーラが、未熟なのさ。

 知ってるかな?

 黄色のビー玉を授かるほどになると、敬語での会話やなんかで、窒息死してしまうんだよ!(笑)」

「ユーモアとフランク!?」

「ご名答!どこかで勉強してきた様子だね?」

「つい今さっき、ハイミーに教わったんだよ。『一夜漬け』さ(笑)」

「なるほど!そうきたか!!

 キミは、ユーモアのセンスがあるぞ!コレは、有望株が現れたなぁ♪

 それで、 ハイミーの弟子だって?そりゃぁ納得だ!

 …そうか、だからみんな、キミのうわさをするんだねぇ…。」

「ん??」

「イヤイヤ、何でもナイさ♪

 時に、ぱるこ君。

 キミはなるべく、『敬語や礼儀に厳しくナイ人たち』と、一緒の時間を過ごしたほうがイイ。礼儀作法に厳しすぎる連中は、キミの珠玉のユーモア・センスを、台無しにしてしまうからなぁ。

 やがてキミが、大人になって働く際も、黒いスーツを着なくても済むような仕事が、良いだろうなぁ。」

「うん。僕、真っ黒いスーツは着たくないって思ってたよ。

 アレは、個性を失くしちゃうんじゃないかなぁ。ネクタイは、犬の首輪みたいだしさぁ…」

「はっはっは!ご名答♪

 黒い服は、スーツに限らず、あんまり、着ないほうがイイ。

 お察しの通り、黒とは、個性を殺してしまう色なんだ。冬でも、なるべく明るい色を着ていたらイイよ♪

 …で、何だったかな?藍色の修行だったか!

 つまり、『禅問答』の練習をしに、来なすったな♪」


「ぜんもんど!?」

「わはははは!若人(わこうど)には、耳なれぬ言葉だろうなぁ。

 禅問答とは、…まぁ、トンチ・クイズだな♪なぞなぞだよ(笑)」

「なぞなぞ!?僕、なぞなぞしに来たの!?」

「そうさね♪

 でも、ただのなぞなぞでは、ナイぞ?

 禅問答は、『イジワル・クイズ』ばっかりなのさ(笑)」


『イーストエンドは西の果て』

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