22 魔法のコトバ
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- 2023年3月2日
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22 魔法のコトバ
私がボーゼンと歩いていると、
ふと、目の前を、
緑のリュックを背負った背の高い男の人が、横切った。
イヤホンをしているらしく、大きな声で、
何か聞いたこともないポップスを、口ずさんでいた。
「だいじょぉぉーぶぅ、だいじょぉぉーぶぅ、
それはぁ、魔法のコトバぁ♪」
「…!?」
私は一瞬、その歌声にイラっとして、
しかし、
ただちに、捉え方が変わった…!!
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、
それは、魔法のコトバ」
…ヨシ!沖縄に行くぞ!!
その、何気ない一言が、
頭を覆っていたモヤを、完全に、吹き飛ばしてしまった!
今朝、ものすごい頭の回転でお母さんを押し切った時のような強さが、
私に舞い戻ってきた!!
「那覇」のAカウンターは、さっきよりもずっと空いていて、
すぐに、私の番が回ってきた。
私は、
今度は自身満々に微笑んで、チケットを手渡した。
「…はい。では、お荷も…あれ!?
…お客様…?
…『石垣空港行き』は、お隣、Cカウンターでの受付になりますが…」
「え!?
あ、はい!すみません!」
反射的に謝り、チケットを受け取り返した。
…何のことやらよくわからなかったのだけれど、
恥を上塗りしたくないがっために、すぐにカウンターから離れてしまった…。
「石垣…空港??」
私は、「那覇空港行き」のチケットを、選んだハズだった。
そのボタンを、押したハズだった。
…押し間違えたんだろうか?
きっと、そうだろう。
タッチパネルは、上下左右のボタンと押し間違えることが多く、
実際さっきも、
名前を入力する際に、何度もミス・タッチをしていた。
「っていうか、石垣空港って…何県…!?」
那覇空港のボタンのそばにあったなら、
きっと、南の島であるに違いない…そうであって欲しい。
よくよく考えて見れば、
「石垣」という名前は、
南国の田舎町を連想する趣が、あるではないか!?
…ある…よねぇ…?
私はもう、フッ切れた!
「どうにでもなれ!!」
ってなモンで、突っ切ることにした。
指定通り、Cカウンターに並び、
オドオドせず、笑顔で受け答えをした。
…私も、大人になったモンだ!
我ながら、感心してしまった!
「荷物を預けますか?」
と聞かれたけれど、手元から離すのは不安だったので、
「いえ、これは大事なモノが入っているので!」
と、力強く、言い切った。言い切れた。
「…では、Bゲートをくぐり、41番搭乗口から、お乗り下さい。
お気をつけて、行ってらっしゃいませ♪」
解りやすく「B」と「41」に、赤ペンで丸をしてくれた。
…お姉さんたち、プロだなぁ。感心してしまう。頭が良さそうだ。
「はい!わかりましたぁ♪」
と、気丈に答えてはみたものの…
どこに行けばよいのか、よくわからない…(笑)
まずは、
とにかく、「B」を探した。
…今手続きをした隣のカウンターも、「B」だったけど、
まさか、そこに行く必要があるとは、思えなかった(笑)
ウロウロ歩いてると、
壁の前に、大きなアルファベットが書かれているのを、見つけた。
それは、「D」だった。
私は、壁から大きく離れて、
右左、どっちに行けばアルファベットが若くなるか、見定めた。
左側に「C」が見えたので、その方向に、歩いた。
「知らないことでも、頭で考えて答えを推測する」
ということのコツが、掴めてきた気がした♪
『星砂の招待状 -True Love-』