25 オトナはアテにならない 『イーストエンドは西の果て』
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- 2023年3月21日
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25 オトナはアテにならない
翌日、僕が目覚めたときには、寝室には誰も居なかった。
どうやら僕、お昼近くまで、眠っていたらしかった。
アタマは疲れを感じていなかったけれど、カラダは疲れていたんだね(笑)
…なにしろ、一昨日の晩は、樹とにらめっこしながら夜を明かしたし、それから樹登りをして、ねむりあの大地を歩き回ったんだもんなぁ。
僕が起きたとき、男性は、もう家には居なかった。学校に行ってるらしかった。子どもたちも、学校に行っていた。
2人の女性たちは、居間でモノ作りをしていた。
若いほうの女性は、毛糸で洋服みたいなのを編んでいた。年配のほうの女性は、生花をドライフラワーに加工しているところだった。家の中が、ほのかにイイ香りだった♪
2人に「おはよう」と微笑まれたとき、僕は、1人で赤面してしまった!
昨夜の裸を、思い出したからさ(笑)
2人は、特に何も感じていないようだった。
もっちーの言っていた通り、ホントにココの人たちは、裸や性を恥ずかしいモノとは感じていないんだろう。
僕は、昼食をご馳走になって、それからこの家を出発した。
「またいつでも来ればいい」と、2人とも言ってくれた♪
僕は、何日くらい、ねむりあに居るんだろう??
それもこれも、禅問答の答えがいつ解るかに、掛かっているのかな?
「いや、そういうワケじゃナイよ?
らおすの禅問答が解けても解けなくても、キミは、今夜12時には、下の世界に戻らなくちゃいけないんだぁ。『体験入学』って、そういうモノさぁ!」
「そうかー!!
出来ればもう少し、この国に残ってたいなぁ…
また今度、来ることが出来るのかな?
7色のオーラをまとって、アセンションの条件を満たせば、またココに来れるんでしょ?
だとしても、海外放浪してからだから、10年後くらいかぁ…。」
「イヤイヤ!そういうワケにも、いかないんだぁ。
ぱるこがココに訪れるのは、今回が、最初で最後だろうなぁ。」
「えー!!なんでー!?」
「『魚座の時代」を生きていた人たちは、アセンションの条件を満たし次第、光のボディが与えられて、『神隠し』が起こって、最寄りの『謎の文明』に移行されるんだけどさぁ。
ぱるこたち『みずがめ座の時代』を生きる人たちは、アセンションの条件を満たしても、『神隠し』は起こらないんだよぉ。」
「なんで!?」
「『みずがめ座の時代』を生きる人たちにとって、アセンションとは、『地上に天国を築く』ことなんだぁ。
つまりさ?下の世界のどこかに、この『西の谷』の集落みたいな文明を、イチから築きあげることなんだよぉ。
「文明を、イチから築くの!?」
「そうだよ。
イチから築くって言ったって、今の地球は、原始時代じゃナイからさぁ(笑)
電動ドライバーもあれば、パソコンもあるし、太陽光発電パネルもあるでしょ?
共同体を、『物理的に』築くこと自体は、そんなに難しくナイよぉ。
でも、『物理的に』、ココみたいな共同体を築いても、それだけじゃゼンゼン、イミがナイんだよぉ…。
なぜだか、わかる?」
「……あ!
昨日の、『奉仕』と『資本主義』のハナシ?」
「ピンポーン!
仮に今、ぱるこやキミのお父さんが、資産をつぎ込んで、10棟くらいの集落を築いて、
『ココは、お金を介在しない共同体ですよ♪誰でもみんな、暮らしに来てくださいね♪』
って言ったとしても…」
「依存的な、ぐうたらなヒトばっかりが、集まっちゃう…」
「そういうことぉ!
ぱるこが、ココねむりあに導かれたのは、『謎の文明』の価値観を、体験と共に理解するためなんだぁ。
そして、いつか、もう少し大きくなったときに、くらむぼんが言ってたみたいに、文学や音楽やなんかの手法を使って、大衆に啓蒙していく使命を持っているんだよぉ。」
「大衆に啓蒙する使命!?
そんなの、僕に出来るかなぁ?」
「『啓蒙』っていうのを、そんなに堅苦しく考えなくてイイよ♪
それに、誰かを『説得』する必要は、ナイんだぁ♪『説得』は、上手くいきやしないんだよぉ。
ただ、さらりと、『こういう価値観・生き方もあるんだよ♪』っていうことを、『提示』してあげたら、イイのさぁ!」
「『提示』って、どうやるの?」
「そうだねぇ。
実話に基づいた小説でも、書けばイイんだよ。
たとえ、キミがココで見聞きしたモノゴトが、キミにとっての現実であったとしてもさ?
『これは事実です!ノンフィクションです!』
って言ってしまうと、キミはきっと、みんなから叩かれちゃう…」
「そうなの!?」
「過去の、数多のメッセンジャーたちが、そういう辛い目に遭ってきたんだぁ。
『キチガイだ!』『新手の宗教だ!』って、攻撃されまくっちゃうんだよぉ。
だから、『コレはあくまで、小説ですよー』って言っておいたほうが、イイんだよ♪
小説だろうとも、それに強く感銘を受けたヒトは、『同じような生き方をしてみよう!』って、アクションを起こし出すモンさぁ。
ぱるこは多分、音楽よりも、文学の手法を取ると思うよぉ。…音楽も、少なからずやるだろうけどさ♪
何で文学のほうかっていうと、 これだけ複雑なコトを説明するには、30行の歌詞よりも、300ページの小説のほうが、合っているからねぇ。」
「そうだよなぁ。
文章なら、チョっとは、書けそうな気もするよ…。」
「そんで、子ども向けの、いわゆる『児童文学』がイイと思うよぉ♪」
「子供向け!?
子どもに教えたって、共同体作りは出来ないんじゃん??」
「読んだ子どもたちが大人になるまで、気長に待ってればイイのさぁ♪」
「えー!!
じゃぁ、共同体を造るのは、20年くらいは先のことになりそうだなぁ…。」
「もっと、掛かっちゃうかもしれない(笑)
残念だけど、今の日本人の『貨幣崇拝』は、メッチャクチャ深刻なレベルだからねぇ…。
オーストラリアのウルルとか、アメリカのホピとか、そういう古風な暮らしを営む土着民族なら、そんなに難しくはナイだろうけどさぁ。」
「そっかぁ…」
「それと、『結婚をせずに、複数の異性をシェアし合う』っていう恋愛システムも、日本とかの先進諸国に根付かせるのは、手こずるだろうなぁ…。
『ターバンの地域』なら、難しくナイだろうけれど…。」
「…ってことは、『ターバンの地域』の、『物々交換の人たち』だったら、共同体造りも上手くいくのかな!?」
「まーったくその通りで、昔から、アセンションの達成者は、ターバンの地域…つまりイスラム教の人々に、圧倒的に多いんだよぉ♪
けれどもさ、ぱるこがイスラム教徒に啓蒙しても、イミがナイんだぁ(笑)彼らはすでに、『西の谷』に近い価値観を、持ってるからさぁ!
あくまで、日本をはじめとした先進諸国の人たちのココロを揺さぶるのが、キミやキミのお父さんの使命なんだぁ。」
「じゃぁさ、子どもじゃなくて、大人向けの本を書いたら、10年早くなるんじゃん??」
「オトナたちは、アテにならないのさぁ…(笑)」
「なんで!?」
「ぱるこがいつも言ってる通りだよ。
オトナたちは、政治家や地主じゃなくたって、『本当のバカ』ばっかりなんだぁ(笑)
『資本主義は最善のシステムではナイ』ってことを発信したヒトは、これまでにも、けっこう居たんだよぉ。
でもさ?
12歳のぱるこにでも気付けて、理解出来た事柄が、オトナたちは、さっぱり理解出来ないんだ…
モチロン、時々、理解出来るオトナも、居るよ?
けれども、オトナって生き物たちは、アタマがカタいんだぁ。
アタマがカタいから、慣れ親しんだ生活習慣を、手放すことが出来ないんだ。
『そのシステムは、たしかに素晴らしい!!
…しかし私は、今の家族から離れることは出来ないし、賃金労働を手放すことも出来ません!』
って、なっちゃうんだよぉ…。
「じゃぁ、正社員にならなくても困らない、女の人たちに期待すればイイんじゃない?」
「女性たちは、賃金労働を手放すことは出来ても、家族を手放して移住してくることが出来ないし、一夫多妻制みたいなあの恋愛観を受け入れることが、出来ないんだよ…。
すると結局、まだ価値観や柔軟な子どもたちに期待するしか、ナイのさぁ。
ぱるこの本を読んだ子どもたちが、中学か高校を卒業したくらいのタイミングで、新しい価値観の共同体作りに名乗りを挙げるのを、期待するしか、ナイのさぁ。
でも、共同体は2~3人じゃぁ成立しないからねぇ。20~30人ほど同志が集まるまでは、適度なアルバイトとか海外放浪とか経験しながら、待っててもらうしかナイねぇ…」
「…無謀な気がしてきた…(笑)
すでにそういう共同体が出来上がってるなら、高校卒業と同時に参加するヤツも、居るんじゃないかとは、思うけど…。
けど、仲間が何十人も集まるまで、アテもなく、何年も何十年も待ち続けるヤツは、居るかぁ…?」
「全く、その通りさぁ。
ぱるこの推測通りなんだよぉ。
地球は、1つの行き詰まりに、陥ろうとしているんだよなぁ…
このまま、奪い合いとだまし合いの資本主義経済が続けば、地球人のエゴに耐えきれずに、地球は滅びちゃうだろうねぇ…。」
「それって、『地球温暖化』のこと?」
「温暖化は実は、人間のせいだけではナイんだけど、まぁ、環境破壊は、人類自滅の爆弾だねぇ。」
「まだ、他にもあるの?」
「アトランティス文明の、二の舞にならなければイイんだけど…。」
「それって、『科学力の誤用』って言ってたヤツ?つまり、核戦争のこと??」
「そうだねぇ…
戦争もモチロンだけれど、戦争以外にも、『科学力の誤用』はあるんだよぉ…。
『原発の爆発』なんてのも、その1つだよねぇ。」
「そうかー!!
やっぱり、お金の社会は終わりにさせたいし、『西の谷』みたいな暮らしのこと、みんなに知ってもらいたいなぁ。」
「そうでしょ!?
だからぱるこには、『上手くいかなくてもイイや!』って開き直ったキモチで、啓蒙をしていってもらいたいんだぁ。」
『イーストエンドは西の果て』