27 依存心
「…ねぇぱるこ?りんきーの言わんとしていたコト、理解出来たぁ?」
ハイミーが、心配そうに僕の顔をのぞき込んだ。
「うーん。
『キミの願いを叶えてあげる』って言ってたのに、
『キミのために、何もしないから、早く立ち去れ』って、言ってたよなぁ…
りんきーは、僕にウソをついたってことかな?」
「…ぱるこは、どう思う?」
「うーー、
彼は優しそうなヒトだったし、正直そうなヒトだったよ。
…でも、優しそうに見えるからって、優しいヒトとは、限らない…
正直そうに見えるからって、正直だとは、限らない…
…そうでしょ?」
「まぁ、そうだねぇ。
『見た目や言葉遣いにだまされるな!』っていうのが、藍色ゲームのキホンだったよね?」
「うん。
けっきょく、りんきーには何をしてもらったワケでもなく、残り少ない貴重な滞在時間を、ムダにしちゃったってワケだぁ。
ハイミーは、滞在期限が今日いっぱいだってこと、誰よりも知ってる。なのに、僕に時間の浪費をさせるために、りんきーに会わせたのか??
もし僕が、あっさり輪投げを成功させてれば、問題ナシだったのか…??
…いやいや!
僕は別に、輪投げのスペシャリストでもナイし、誰にとっても難しいゲームだってことは、明白だよなぁ。じゃぁ、手こずるのは予想通りってコトでぇ…
それに、ハイミーが僕に無意味なコトをやらせるワケ、ないもんなぁ…」
「…ぱるこ、キミ、いつの間にか、禅問答が上手になってきたねぇ♪
そんなに色々と、冷静に、自分1人で導き出せるとは、思ってもみなかったよぉ!」
「そうなの?コレが禅問答!?
算数みたいに、順序だてて考えてる気がするけど…」
「そうだよ。
禅問答には、順序だてて考える『知性』も、たくさんたくさん、必要なんだぁ。
…そもそも、藍色のゲームっていうのは、他の6色全てのスキルをフル活用しないと、クリア出来ないんだよぉ。
中でも、黄色の『知性』は、イチバン重要だろうなぁ。
『本当のバカ』な人たちは、禅問答は解けないし、イミもワカンナイし、楽しめもしないよぉ。
つまり、『本当のバカ』だと、藍色はクリア出来ないさぁ。
順序立てて考えているうちに、いつの間にか、『飛躍した答え』が浮かんでくるんだよぉ。
他の人には見えない、『思考の階段(ステップ)』を、いつの間にか、2つも3つも超越できちゃうんだ。
そういうのを、『直感』って言うんだけどね♪」
「『キミのために、ボクは何もしない…』
『キミのために、ボクは何もしない…』
『キミのために、ボクは何もしない…』
…!!
解ったよ!!『父性愛』ってヤツだ!!
りんきーはやっぱり、ウソつきでもイジワルでもなくて、僕のことメチャクチャ愛しててくれてて…
そんで、僕に、『自分で経験する機会』を与えてくれたんだ!!」
「スゴぉい♪よく解ったねぇ!!
まったくもって、その通りさ!!」
「つまり、ハイミーが僕をりんきーに会わせたのは、やっぱり、時間のムダなんかじゃナイんだよ。
藍色のレベルを上げるためでもあったし、『父性愛』を、身をもって理解するためだったんだ!!
もし僕が、りんきーやハイミーに対して、『僕の貴重な時間を返せ!』とかって怒り狂ってたなら、僕は、『父性愛』のイミを理解出来てなかったってことなんだよ!」
「スゴいスゴい♪そこまで解っちゃったんだねぇ!」
「エヘン♪
…それはイイとして、次はどこに向かうの?
すっかり時間を食っちゃったのは、事実だよ…
僕まだ、らおすの禅問答の答えは、さっぱりワカラナイまんまだし…」
「どうしようかぁ?
ハイミーにも、コレと言って明確なプランがあるワケでも、ナイんだぁ。」
考えながら歩いているうちに、象のさむすんが居た集落に、逆戻りしていた。
僕らはとりあえず、さむすんの顔を見に行くことにした。らおすと会えたことを、伝えておこうと思った。
さむすんは今日も、公園のような場所で、子どもたちと遊んでいた。
「さむすーん!!元気だったー??」
「あらー♪その顔は、ぱるこちゃんじゃなくてー?
どう?らおすちゃんには、会えたー?」
「おかげさまで、無事に会えたよ♪
でもさぁ、らおすの禅問答は、まださっぱり、解決の糸口が見つかんないんだよ…」
「あらー?
それで私に、禅問答の答えを聞きに来たってことなの?コッソリと、カンニング??
それじゃぁ、禅問答の修業にはならなくってよー??」
「いや、答えを教わるつもりは、ナイんだけどさぁ。
らおすったら、ヒントの1つもくれないモンだから、どこから手を付けていいモンやら…
「…それで、
私に、答えは聞かないけど、ヒントは聞こうって魂胆?」
「んー?そうなのかなぁ?
ただ、たまたま通りかかったから、あいさつしとこうって思っただけなんだけど…」
「あらー光栄ですこと♪
…でも、じゃぁ私は、余計なヒントは与えないように、『だんまり』を決め込んでおいた方が、よろしくて?」
「え!?
…いやぁ、どうせだったら、何か助けてもらえたらうれしいなーって…
…思わなくも、ナイけど…」
「つまり結局ぱるこちゃん、私に頼りたいってことよねぇ?」
「う、うん…まぁ、そういうことになるかなぁ…
なにしろ、八方ふさがりだし、時間もナイし…」
「あらー、そうなのぉ…
…閃いたわ♪
『今のあなた』にぴったりなお友達、紹介してあげる!」
「ホントー!?」
「えぇ♪
だいすちゃんっていうのよ。占い師をやっている子なのー。」
「占い師!?じゃぁ、答えが解っちゃったりするカモね♪
そのヒトは、どこに居るの??」
「だいすちゃんも、大抵、『西の谷』に居るわよ♪
きっと、更に西のほうの集落に行けば、会えるわー!」
「そうかぁ!ありがとう♪
早速、行ってみることにするよー!」
『イーストエンドは西の果て』
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