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28 ピンコーン!

28 ピンコーン!


…私の苦難は、更に更に更に、尚のこと、続いた…

まぁ、生死に関連するようなものでは、なかったのだけれども。


飛行機が離陸すると、

みんな、ヘッドホンをして、音楽を聞いているようだった。

隣の男の人も、手馴れた手つきでセッティングを済ませていた。

私も、暇つぶしをしたいので、

ヘッドホンをセッティングしようと思うのだけれど、

一体、どこの穴に差し込んで、何を押せば音楽が聞けるか、

サッパリ、解らなかった!

…今思えば、

解らないことは、素直に質問すれば良かったのだけど、

いかんせん私は、恥をかき過ぎていた!

これ以上、恥をかきたくナイので、

自分で何とかしようとするのだけれど、

それがことごとく、裏目裏目に出てしまって、

結果、

更に大きな恥を、上塗りするハメになってしまうのだった…(笑)


そうなのだ。

私は、「少々のことで壊れたりはしないだろう」と踏んで、

テキトーに、ボタンを押した。

…音楽は流れてくれず、

頭上の読書灯が、誇らしげに、光った…(笑)

この朝の早い時間に、読書灯が灯っていたのは、

言わずもがな、私の席だけだった…(笑)


私は、

メゲずに、次のボタンにチャレンジしてみた。

「ピンコーン」

おや?何が音が鳴ったぞ♪

…しかし、それは、

どうにもポップスっぽいものではナイし、

どうも、イヤホンの外から聞こえた気がした…

「…お客様、いかがなさいましたか?」

…さっきのお姉さん!

私は、気まずくてしょうがなかった!

そもそも、

「いかがなさいましたか?」と聞かれても、呼んだ覚えが、無い…

私は、お姉さんの勘違いだと思って、

「いえ、他のお客さんじゃないですか?」

と、自信を持って、言い切った。

お姉さんは、

一旦、頭上のランプをチラっと確認すると、

「…いえ、やはり、

 B席であるヒサドミ様のコール・ボタンが、押されておりますが…?」

お姉さんは、起きていることの全てを、理解していたと思う。

…し、予測もしていたことだろう。

必死のプロ根性で、吹き出し笑いしてしまうのを、こらえていた!

「え?ボタン??

 あ!コレですか?」

「はい。さようで御座います。そちらをお押しになられると、

 私ども客室乗務員が、お席まで伺(うかが)いに参る仕組みでございます。」

「あ!そうだったんですか…!

 すみません!

 無意識で、ヒジが当っちゃったのかも…。」

お姉さんは、必死で笑いをこらえながら、

「さようでしたか。では、失礼いたします。」

と、丁寧に話し、どこかに戻っていった。


私は実際のところ、

「音楽の聞き方がわからなくて、困っていた」ワケだけれど、

自分からそれを言い出すことは、出来なかった…



『星砂の招待状 -True Love-』

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