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29 ユーモアのセンス 『世界一大きなおもちゃばこ』

29 ユーモアのセンス

お腹いっぱい、ごちそうを食べると、

「自己紹介タイム」になった。

…これも、今日の「お勉強」の1つなんだって♪

自分の名前だけじゃなくて、

自分が生まれた県のとくちょうを、かんたんに、紹介するの。

ひゃー!できるかなぁ!?


るなは一番最後で、

おとなりのコから順番に、自己紹介が始まったよ。

北海道のコも、沖縄のコも、千葉のコも、大阪のコも、

みんな、バラバラだった!

大阪のコが、少し、多かったかなぁ。

あと、学年も、みんなバラバラだった!

一番小さいコは幼稚園の年中さんで、一番大きいコは、高校3年生!

お友だちは、ぜんぶで24人もいたよ。るなが、25人目。


とうとう、るなの番!!

おたんじょう席に立つと、みーんなの顔が、見えた!!

うわーん、どうしよう…

「えーっと、

 さとう るな です。

 おたんじょうパーティ、うれしかったでした。…あれ?なんかヘン。

 えーっと、

 るなは、千葉県から来ました。

 千葉は、東京のおとなりです。

 千葉は、落花生が名産品です。…落花生って、ピーナッツのこと。

 なのに、 ママが買ってくるピーナッツの袋には、

 いっつも、『中国産』って書いてあります。」

「クックククク!」

「ップププ!!」

中学生や高校生のコたちは、るなの言葉で、くすくす笑ってたけど、

小さいコたちは、ぽかーんとしてた。


「のもこー?

 このコ、ユーモアのセンスがあるんじゃね?」

高校3年生の男のコが、そう言ってくれた。

「ユーモアのセンスって、なに??」

小さな男のコが、質問した。

「ジョークが上手いってことかなー!

 日常生活にあるものを、

 みんなとはちがった目線で、見れるのねぇ。

 るなは、そーとー、面白いコよっ!!」

テヘヘ。ほめられちゃったみたい♪


「…ねぇ、

 るなちゃんは、しゃべれないんじゃなかったっけ??」

「あ、そうだ!!」

「どうなってんの?」

みんなが、ざわざわしてきた。

のもこが、ざわめきをさえぎって、口を開いた。

「どーする?るな?

 せっかくしゃべれるようになったから、自分で、説明してあげる??」

「う、うん。

 あのね、沖縄に着いたとたんに、しゃべれるようになっちゃったの!!」

「…そういうことねー♪

 ストレス性の、言語障害ってヤツだったんだぁ。

 るなの、…って、呼びすてでイイかな?るなのママは、きっと、

 『沖縄に来たらすぐ治る』って、わかってたと思うよ♪」

また、高校3年生の男の子が、話してくれた。

ママはやっぱり、

げんいんも、かいけつ方法も、わかってたのかぁー!!


「るなの周りには、

 おこりんぼうの大人が、いっぱいいたでしょう?」

高校3年生の男の子が、話し続けた。

「うん。担任の先生が、おこりんぼう。

 それと、パパが…優しいけど、時々、おこりんぼう。」

「ホラ見ろー!

 教師と親におしつぶされたら、ムリもないよ!

 るなー?

 久高島なら、もう、一生、

 声が出なくなることは、ナイよ♪」

高校3年生の男の子は、優しくて、力強かった!!

紺色リュックのお兄ちゃんを、思い出しちゃった。


『世界一大きなおもちゃばこ』

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