30 究極の禅問答 『イーストエンドは西の果て』
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- 2023年3月21日
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30 究極の禅問答
ハイミーと反省会をしながら、さむすんの居る集落のほうへ、歩いた。
自分のココロに巣食う『依存心』に気付き、退治出来たのは、たしかに大きな収穫だったけれど、失った代償も、大きかった…
もう、すっかり夕暮れさ。
1時間掛けてさむすんの集落に戻ったら、あちこち歩き回るほど、時間は残されていない…
それなのに、らおすの禅問答の答えは、手がかりの1つも、見つからなかった…。絶望的だ。
ハイミーは、心配そうに尋ねた。
「どうする…?もう、あちこち出歩く時間は、無さそうだよぉ。
それに、そろそろお腹が空く頃じゃない?
この集落で食事を摂っていたら、真っ暗になっちゃうだろうから、もう他所に出歩くことは、出来ないだろうなぁ…」
「お腹は、たしかに減ったけどさ、それは、なんとかガマンできるよ。なにしろ、赤いビー玉、持ってるからねぇ♪
だから、この集落でタイム・アウトを待つだけってのは、ナンセンスだと思う。
最後に、もう1ヶ所、どこかに移動出来ないかな?
「『西の谷』の集落のどれかなら、たどり着けるとは、思うけど…
一か八か、らおすのところに、行ってみる?
向かってる間に、答えがヒラメくかも!」
「そうだね!とにかく、らおすのところに向かってみよう!!」
僕らは、東に向かって歩き始めた。
歩きながら、アレやコレやと、思考をめぐらせてみた。
「…えっと、『一番暖かい』んでしょう?
ダウンジャケットより暖かいのが、世界のどこかに、ありそうだしなぁ…
エスキモーの人たちのコートとか?
でも、その格好で、らおすの前に行かなくちゃなんないんだよなぁ…
すると、ねむりあでも手に入る上着だよなぁ…
でも、この辺はそんなに寒くナイからなぁ、『西の谷』の人たちは、大した防寒具を持ってナイ気がするなぁ…」
「…ねぇ、ぱるこ?
さっき反省会したとき、どうしたら答えが浮かんできたんだっけぇ??
禅問答の答えって、どういうふうに、出すんっけぇ??」
「…そうか!アレコレ考えてたら、ダメなんだ!!
アタマをカラッポにして、答えが『浮かんでくる』のを、待つんだよ!!
…ようし、考えるのは止めて、歩きながら深呼吸することにしよう♪」
僕はもう、焦ってはいなかった。
『最善を尽くす』ことは心掛けていたけれど、『結果には、執着しない』ことにした。
…なにしろ、かっしーに会えないとしても、この2日間はものすごく濃密で、楽しかったからさ♪この2日間のことを思い返していると、楽しくて、顔がニヤついてきちゃった♪
気付けば、鼻歌なんて歌っていた。これまでに聞いたコトもナイ、デタラメな歌だった(笑)
すると、フシギにも、全く新しいアイデアが思い浮かんできた!!
「わかったーーー!!!!!
ハイミー!進路変更だよ!!!
かっしーの住んでるトコに、向かうんだ!!!」
「えー?禅問答の答えが、解ったの!?
でも、それだったら、らおすのところに行かないと、イミが無…」
「一番暖かい服が何かは、ワカンナイ!さっぱり、ワカンナイ(笑)
けど、『究極の禅問答』の答えなら、ヒラメいちゃったー♪♪」
「…どどどどういうことー!!??」
「今さぁ、この2日間のみんなのハナシを、思い返していたんだよ。
かっしーに会うには、藍色のビー玉をGETしなくちゃなんない。そうだろう?」
「うん。そうだよ?」
「ぶぶー!!ハイミーくん、不正解です♪♪」
「え!?」
「たるともハイミーも、そうは言わなかったよ?
別に、藍色のビー玉を持ってなくても、かっしーには会える可能性があるんだ♪」
「なんで??」
「かっしーは、エラそうにふんぞり返ってるようなリーダーでは、ナイんでしょ?
部屋のドアにカギを掛けたりもしてないし、警備員が追い返したりも、しないんでしょ?」
「うん。そうだけど…」
「藍色のビー玉が、かっしーの部屋の鍵になってたりするんだったら、僕は完全にアウトだったよ。仮に今、禅問答の答えが解ったとしてもさ?らおすに証明しに行って、藍色のビー玉がもらえたとしてもさ?もう真っ暗だから、かっしーの家には、行けないさ。
…つまり、『らおすの集落に向かったら、アウト』なんだよ!」
「そうだねぇ…
もう、かっしーに会うのは諦めることになると、思っていたけれど…」
「まだ、諦めなくてイイんだ♪
会えないカモしんないけど、会える可能性は、まだ、あるよ!!」
「どうやるのぉ??」
「たるとやハイミーの言ってたコトのニュアンスを、信頼するならば…さ?
かっしーに会うために必要なのは、
『藍色のビー玉そのもの』じゃなくて、
『藍色のビー玉をGETするほどの、藍色スキル』さ!
仕組みはよくワカンナイけど、かっしーの部屋は、藍色のレベルが高くないと、見つけられないか、入れないか…そういう仕組みなんだよ!
だから、『ぶっつけ本番』で、かっしーの家で、僕の藍色スキルを試せばイイんだよ♪かっしーに直接、藍色のビー玉をもらいに行くつもりで、さ♪」
「ほぇぇぇー!!!ものすんごいコト、考えたねぇ!!
そんな名案、キミのハイヤーセルフであるハイミーでさえ、思いつかなかったぁ…!!
たしかに、『本質を見極める眼力』や、7色の総合力が充分にあれば、かっしーに会える可能性は、あるやぁ♪」
「だろ!?行こう!ハイミー!!かっしーの家は、どっち!?」
「この辺からだと、だいたい真南だよ!
30分も走れば着く距離だから、最後のチカラを振り絞って、走ろう!!」
「おっけー!!道案内を、頼むよ♪」
『イーストエンドは西の果て』