32 スキなことを、スキな時間に
パーティのお片づけが終わってしまうと、
みんな、てんでバラバラのお部屋に、行っちゃった。
ドリルを開いて、漢字や算数のお勉強をしてる子も、いた。
お裁縫してる子も、いた。
お庭で缶ケリしてる子も、いた。
なんと、テレビゲームをしてる子まで、いたの!!!
るなは、今日は、「見学デー」なんだって。
のもこと手をつなぎながら、みんなのようすを、見せてもらうの。
のもこは、先生なのに、
るなと手をつないでくれるんだよ♪
どの部屋にも、大人の人が、いなかった…
子どもたちは、自分で考えてお勉強するか、
それとも、年上のコに、教えてもらってた。
お裁縫なんかは、小学生のコが、中学生のコに、教えてた!!!
どーなってんの!?
るながいた学校とは、ぜんぜんちがう…!!!
「ねぇ、のもこ?ココは、学校だよねぇ?」
「んー。
『フリースクールの一種』とも言えるだろうけど、
ワタシたちは、ココを『学校』とは、呼んでないなぁ。」
「じゃぁ、何て呼んでるの??」
「『交流館』って呼んでるよ♪
…まぁ、もともと、
このたてものの名前が、『青年交流館』っていうものだったから、
そのまま、略して『交流館』って呼んでるだけだけどねぇ(笑)
美学とか、イミとか、あんまりナイと思うなぁ。」
「ねぇ?時間割は、決まってないの??」
「うん。決まってないよ♪
それぞれ、スキなことを、スキな時間に、するんだよ♪」
「でも、そんなことしちゃった、
ずーーーーっとテレビゲームとか、ならない???」
「あはははは!!
ワタシも最初、そう思った思った♪
それに、
ココに来たばかりの子は、
たしかに、最初は、
テレビゲームばっかり夢中になる傾向は、あるなぁ。
…でもねぇ?面白いモンなのよぉ。
大人が何の注意もしなくたって、
とことんテレビゲームをやって、飽きてくると、
自分から、他のコトに、興味を持ちはじめるんだよー♪」
「ほんとー!!??」
「あはははは!!
ワタシも最初、信じられなかったの!!
るなとオンナジ質問をしたし、同じふうに、うたがったよ(笑)
でも、
スタッフの人に、『まぁ、見ててごらん♪』って言われたから、
そわそわしながら、毎日観察してたら、
まったくもって、その通りだったワケさー!!!」
「へぇー!!
のもこに言われても、まだ、信じられない…」
「でも、みーんなそうよ?
テレビゲームやおもちゃには興味のナイ子でも、
手芸ばっかり、ずーーっとずーーっとやってた子とか、いるの。
でも、何も言わないで、そーっと見守っておくの。
そしたらやっぱり、
3日もしないうちに、缶ケリしたりドリル開いたり、し始めるんだよー!!
…たとえばさ?
るな、一番スキなこと、なぁに?」
「え?るな??
うーーん、
もっと小さかったころは、お人形さん、スキだったぁ。」
「じゃぁ、朝から晩まで、お人形さん遊び、できるー??」
「えー?
…
…できない!!!
だって、飽きちゃうもん!!」
「そうなんだよー♪
みんな、何がスキだとしても、どれだけスキだとしても、
長々やってたら、飽きちゃうモンなんだよー(笑)
…それなのにね?
フツウの大人たちは
そのコが飽きちゃう前に、その遊びを、取り上げちゃうでしょ?
ヒトって、フシギなもんでさぁ、
『ダメ!』って言われたり、取り上げられたりしちゃうと、
よけいに、しがみついちゃったり、中毒しちゃうモンなのさー!!!」
「あ…!!!」
るなは、ママのことを思い出したの。
「おまたいじり」のクセの話、覚えてる??
るなね、パパやばぁばに、「止めなさい!!」って言われちゃうと、
よけいに、ムズムズして、さわりたくなっちゃったの。
でも、ママが、
「スキなだけ、さわってイイのよ♪みーんな、それがスキなのよ♪」
って言ってくれてから、
あんまり、やらなくても平気になってきちゃった!
…今でも、少しは、やるけどさぁ。
…るなのママも、
こういう仕組みを、知ってたんだぁ…!!!
『世界一大きなおもちゃばこ』