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36 誰も居ない部屋 『イーストエンドは西の果て』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月21日
  • 読了時間: 4分

36 誰も居ない部屋

 僕は、楽しかった!!

 やっぱり、かっしーに会うことなんて、半ばどうでも良かった(笑)

 だって、かっしー以外の人たちだって、メチャクチャ魅力的で、ハナシが面白いんだもの♪♪


 僕はもう、「かっしーへの憧れ」なんかじゃなくて、ただ、みんなとの推理ゲームをエンジョイしてるだけだった♪そして、1つ1つ部屋に突入していく作業は、RPGにもよく似ていて、ワクワクした!!


 僕は、世界で最高のシアワセモノだった!!

 持ち物は、「5つのビー玉」それだけしか無かったけど、サイコーにシアワセだと、感じた!!

 シアワセってのは、「経験」なんだよ!モノとか場所とか資格とか、そんなんじゃナイんだ!!

 …この物語を読んでるキミも、覚えておいておくれよ?



 これまでとは打って変わって、意気揚々と、でもやっぱりドキドキしながら、3つ目のドアを覗いた…

「あり?

 誰も…いないのかな??

 すみませーん…?かっしーは居ますかぁ…?」


 しーん………

 部屋は、静まり返っていた…。

 この部屋の内装は、『シンプルな客間』というカンジだった。ビジネスホテルの一室と言ったら、わかりやすいかな?


「…かくれんぼは、してないハズなんだよなぁ?

 何か、特殊な藍色スキルがナイと、視えないのかなぁ…。」

僕は、ダメ元で、部屋中を見回してみた。


「!?」

 ベッドのサイドテーブルに、何かが置いてある!!

 僕は、急いで駆け寄って、まじまじと眺めた。

「ケーキ??」

 そこに置かれているのは、ブルーベリーのケーキだった。

「コレは、マイミーの手作りケーキだぁ♪」

 ハイミーが、久しぶりに口を開いた。

「まいみー??だぁれ?それ。」

「イヒヒヒ♪

 マイミーは、僕のガールフレンドさ!

 僕は、 マイミーの作るブルーベリーケーキが、大好物なのさぁ♪」


「…ってことは、この部屋は、マイミーの部屋なのかな?」


 僕は、今度は、細かいチリに目を凝らすような慎重さで、再び、部屋中を見回した…


「!!?

 アレかー!!??」

 クローゼットの横の、のっぽな電気スタンドの「かさ」の下辺りに、ピンク色の小さな光が飛び回っているのを、見つけた!!僕は、電気スタンドまで駆け寄っていくと、ピンクの光のつぶに、顔を近づけた。

「ミツバチだー!!それも、ピンク色!!」

「エヘヘヘ。見つかっちゃったぁ♪

 …てっきり、誰も居ない部屋ってカンチガイして、素通りしてくれると思ったのにぃぃー!

 誰も居ない部屋だったら、自由にスキなこと出来るって、思ったんでしょ?

 ケーキを勝手に食べちゃうとかぁ…(笑)」

「え??ケーキ食べちゃおうなんて、考えてなかったなぁ…

 僕もケーキが大好物だし、ブルーベリーも大好物だけど、

 ついさっき、夕飯をごちそうになったばっかりだからさぁ。」

 ハイミーが口を挟んだ。

「ミゴト発見できたけど、彼女はかっしーでは無かったねぇ?

 僕のガールフレンドのマイミーだもん♪

 ねぇマイミー?僕はケーキ食べてもイイ??」

「もっちろん♪

 ぱることハイミーと、二人のために、愛情込めて作ったんだもん♪♪」

 ハイミーとマイミーは、しばらく二人で談笑していた。


 僕は、何口かケーキをほおばった後、「マイミーが、実はかっしーである」という可能性について、1人でブツブツ検討をしてみた…

「しーんと静まり返った部屋…?

 誰も居ない部屋は、自由に出来る…?

 ブルーベリーのケーキは僕もハイミーも大好物で、ブルーベリーは、藍色…?

 光を頼りに飛び回っていた…?

 よく目を凝らさないと、姿が見えない…?」


 …覚えなくちゃいけないコトが、増えてきた!

 僕は、何かメモ出来る文具がナイか、部屋中を見回してみた。サイドテーブルにあったケーキ皿の横に、レターセットと羽根ペンが置いてあるのを発見した!

「マイミー?お取り込み中に、ゴメンね♪

 あのさ、サイドテーブルの上のレターセットなんだけど、メモ代わりに使わせてもらっちゃって、イイ?」

「あ、どうぞぉ♪

 この部屋にあるモノは、何でも自由に使ってイイからねぇぇ♪」

 僕は、レターセットと羽根ペンを拝借して、3番目の部屋の特徴を、箇条書きで書き込んでいった。

 ついでに、さっきの2つの部屋の特徴も、整とんして、ざっと書き込んでいった。


 あすらるの居た1番目の部屋は、他の部屋よりも大きかった。

 そして、キンキラ光る立派な調度品が、いくつも並んでいた。

 

 らおすの居た2番目の部屋は、この3番目の部屋とよく似ていた。

 けれど、ベッドは置かれていなかった。


「ハイミー?そろそろ、お話終わるかい?

 次の部屋に進もうと思うんだけど、イイ??」


『イーストエンドは西の果て』

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