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39 切なさ

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月2日
  • 読了時間: 1分

39 切なさ


私は、

道行く人に尋ねながら、離島桟橋とやらを目指した。

20分ほど掛かってしまったけれど、

無事、そこに到着出来た。

竹富島行きのフェリーは、

2つの会社から出ているようだった。

無知な私は、比較材料を持たないので、

単純に、先に出港できるほうを選んだ。

10分も待てば、もう出港できた。


フェリーは、

地下に客室を持っていて、30人程は座れそうだった。

私は地下には降りず、

甲板の手すりに捕まって、

潮風に髪をたなびかせながら、遠ざかる石垣島を眺めていた。

港が見えなくなるまで、ずーっと、眺めていた。


昭和のポップスや演歌などには、

このような風景を、短調のメロディに乗せて哀愁たっぷりに歌うものがある。

これまでの私は、

「なんて昭和臭い、古臭い感性なのだろう」

と、半ばケイベツ気味に感じていたのだけれど、

なるほど!

自分がそのシチュエイションに立ってみると、

「哀しみ」とは似て非なる「切なさ」といった感覚が、

15歳の私でも、良く理解出来てしまった。

やはり、何事も、

実際に経験してみないと、わからないのだ(笑)



私は、いったん地下の客室に座ったのだけれど、

酔いを感じて、すぐまた甲板に戻ってきた。

風に当っているだけで、全く、酔いを感じずに居られた♪



噂通り、

30分も船に揺られていると、竹富島なる新天地が、見えてきた。



『星砂の招待状 -True Love-』

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