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41 天使か悪魔か…

41 天使か悪魔か…

 ザーーーーーーー!!!!!!!


 石のゲートをくぐると、

急に、集中豪雨に襲われた!!!

 つい3秒前におじさんの笑顔が塞いでくれた傷は、

あっさり、踏みにじられてしまった…


 なんでこんなに、ドラマみたいに都合よく、集中豪雨に見舞われるのか、

納得がいかなかった(笑)


 かっしーが、天気を操作したんだろうか…?

 …いや、

守護存在たちは、天気を瞬間的に操作することは、出来ないよ(笑)



 僕は、数十メートル先に見えている東屋に向かって、一目散に走った。

 東屋に着いても、

雨を払い落とすようなココロの余裕は、無かった。


 東屋には、幾つもの木のテーブルが置いてあり、

その上には、「入国カード」と鉛筆が、散在していた。

…入国カードというのは、入国審査の際に必要な、

名前や住所や渡航目的などを記入する、重要書類のことさ。



 この、「入国カード」というのが、

旅の初心者や英語が不得意な人たちには、

なかなか厄介なシロモノなんだ!!!

 現地の言葉と英語で、記入事項が刻印されているのだけれど、

何なのかよくワカラナイ項目も、

4つ5つ、混じっていたりするんだよ!!

キミ、「Occupation」とか言われて、わかる!?


 僕が、入国カードの記入に苦戦していると、

音もなく、迷彩服の兵士が、僕のそばに立っていた。

 彼の気配に気付いて、僕は、ビクっとした!!

 …けれども、今度の兵士は、

ヘルメットも、ライフルも、隆々の筋肉も、

威圧的な表情も、「そうび」してはいなかった。

 それどころか、

とても穏やかで、優しい笑みを浮かべていた。


 彼は、僕の入国カードの記入を、手伝ってくれた。

…というか、ほとんど、代筆してくれた。


 僕は、感謝の言葉と共に、

ビザがまだ取得できていない旨を、伝えた。


 迷彩服の天使は、

すぐ10mほど向こうに構えられた、石造りのカウンターを指差し、

「あそこでGETできるから、行っておいで♪」と、微笑んだ。



 雨は、まだまだ降りしきっていた。

 僕は、濡れることを完全に諦め、ビザのカウンターまで走った。

 カウンターは、

スタッフ側は屋内で、雨には降られないけれど、

旅行者側は、「ひさし」すら、ほとんど存在していなかった…。


 僕が駆け寄ると、

スタッフはぶっきらぼうに、「30ドル」と呟いた。

 …ん?

ホーチミンの「コケシのお姉さん」は、

「ビザは25ドル」って言ってたような…??

 僕は、この無愛想なおじさんにボッタクラれていると思ったけど、

もう、言い争ったり交渉したりする元気は、残っていなかった…。

 それよりも、少しでも、濡れたくなかった。


 ビザを取得すると、

もうビショビショになってしまって、果たして有効なのかもわからない書類を持って、

更に、奥にある石造りの門に、走った。


 どうやら、コレが、

「カンボジアの入国ゲート」のようだった。

 …けれども、

当時の僕には、どのカウンターが出国で入国なのか、

そんなことを客観的に把握する余裕は、まるで、無かった。



 入国のスタンプが押されると、

更にその30mほど先に、質素な東屋が見えた。

 僕は、そこに向かって、再び走った。

 雨は、相変わらず、「集中豪雨」のままだった…!!!

リュックの横ポケットに入っていた、懐中電灯やなんかが、

走る衝撃で飛び出し、どしゃ降りの地面に、落ちてしまった。

 ツイてないときは、とことんツイてないモンさ。

 東屋に到着する直前で気付き、止む無く、引き換えした。


 再び東屋に向かって走る僕を、

東屋の屋根の下から、

家族のごとく同じような顔をした、4人の大人子どもが、

ビニールの雨合羽を振り回しながら、

「早く来い!早く来い!」

 と、ゲラゲラ笑いながら、待ち構えていた。

 僕は、「何の嫌がらせだろう」と思って、気分を更に悪くした。


 僕のHPは、もう、2くらいしか残っていなかった…



 僕が東屋に辿り着くと、

なんと、彼らは、

そのシワクチャの雨ガッパを、3ドルで売りつけようとしてきた!!!

 薄気味悪く嘲笑する彼らから、それを買いたくは、なかった。

 …けれども、

折り畳み傘しか雨具を持っていなかった僕にとって、

今この状況のためだけにでも、雨ガッパは必要に思えた。

 僕は、止む無く、彼らから雨ガッパを買った。


 彼らは、

お金を受け取ったかと思うと、4人掛かりで、僕に雨ガッパを着せた。

 ケラケラと、楽しそうだった…!!



 雨ガッパを羽織った僕は、

「次は、どこに行けばいいんだ?」

 と、その彼らに尋ねた。

 彼らが指差したのは、

その東屋のすぐ横にある、トタン屋根ガレージの、簡素な喫茶店だった。


 そこに行くために、雨ガッパなど、必要では無かった…!!!


 僕は、

「完全に、ハメられた!!」と思った。

 …ムカついたし、悔しかったけれど、彼らには、何の感情も見せなかった。

怒っても、何の得にもならないことくらいは、解っていたからさ。


『永遠の楽園』

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