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45 プロセス

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月2日
  • 読了時間: 2分

45 プロセス


私は、本当に、

夜明けまで、そこに居た。

ただただ、1人で、ぼーっとたたずんでいた。



…空が白み始めた頃、

私もサスガに、このシチュエイションに飽きてきていたので、

朝陽でも拝みに行こうと、思った。

私は空をじーっと眺め、

最もまばゆい光を放つ方角に向かって、歩き出した。

…最もまばゆい方角に道などナイ場合には、

それに近い方角に向けて、歩いた。


20分もあぜ道を歩くと、海岸に出た…!

私は、ようやく、

この旅初めて、ビーチというものにたどり着いたのだった。

…そもそも、

この旅の目的は、

ビーチで星砂を探すことであったハズなのだけれど、

すでに、私にとって、

それはあまり重要ではなくなっていた(笑)


それは、

私のこの旅の「プロセス」の中に、

面白いモノ、素晴らしいモノ、感動的なモノが、

いくらでも、存在していたからなのだ!

それらのうちの99%は、

ガイドブックでは取り上げようのナイ代物ばかりだった。

写真に残すことも出来なければ、

3行のスペースで紹介できるものでもなく、

その地の歴史とか名産とか、そうした「上っ面」とは、

ほとんど関係のナイものだった。



それでも私は、念のため、

朝陽を待ちわびる東のビーチにしゃがみ込み、

星砂探しに精を出した。

ヒマ人である私には、うってつけのゲームだった(笑)


30分くらいもしゃがみ込んでいたけれど、

それらしき砂粒は、1つも、見つけられなかった…

やはり、

特定のビーチに行かないと、見つからないのだろうか?



6時頃だろうか…

朝陽が産声を上げそうな時間になると、

集落のほうから、白いミニバンや観光バスが、幾つかやってきた。

一体この島に、そんな大きな乗り物が在るっていうことが、意外だった(笑)

そして、当然のごとく、

それらの車から、何十人もの人たちが、

ウジャウジャと、湧いて出てきた…。

昨日の昼間、

あれだけ歩き周っても、人っ子一人、見つけられなかったというのに、

一体彼らは、どこに潜伏していたのだろう!?


私は、

自分一人の感傷的な時間・空間を侵害されたことに、

少々キゲンを悪くした。

…かと言って、

彼らにクレームを申し立てるのは、お門違いもはなはだしい(笑)


私は、

少々、危なっかしかったけれど、

浅瀬の岩場を飛び石歩きして、

新たなプライベート・ビーチを求め、歩き出した。



『星砂の招待状 -True Love-』

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