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6 「パスポートを預かります。」

6 「パスポートを預かります。」

 車は、30分も市街地を走ると、一軒のホテルの前に停まった。

 このホテルは、

僕が、日本で、航空券と一緒に予約しておいたモノなんだよ。


 僕、今回の旅はさぁ、

ほとんど丸ごとノープランだったから、

宿も、現地でテキトーに見繕いながら、さすらっていこうと思っているんだけどさ。

 でも、サスガに、

生まれて初めての海外で、現地到着が真夜中の11時だっていったら、

そこから、何の手掛かりもナシに宿を探すっていうのは、キツいだろうなぁと思ってさ。

 1泊目だけ、予約しといたのさ。


 このホテルは、かなり古くからある老舗のようで、

建物の作りは、古いなりに、とてもしっかりしていたよ♪

 気の優しいレセプション(受付カウンター)のお兄ちゃんが、

真夜中の到着にも、ちゃーんと、愛想よく対応してくれたしさ♪


 通された部屋は、フツウの、ビジネスホテル程度の設備だったよ。

 ただ、洋服ダンスやベッドやなんかは、

調度品って言うのかなぁ、上等な作りのモンだった。

「エアコンが点きますよ♪」

 って、ベル・ボーイのお兄ちゃんが教えてくれたから、

寝る前に、点けてみたんだけどさ。

 ガーーーーーー!!

 って、やたら大きな音を立ててんのさ!!

 カキ氷でも削って涼しくしてんのかと、思っちゃったよ(笑)

 とにかく、年代モノらしくてさ、

デリケートな温度管理なんて、出来ないらしくて、

朝起きたら、凍え死にそうになってたよ(笑)



 あ、そう言えばさぁ、

このホテルに泊まるとき、僕、イキナリ、慌てちゃったんだ!!

 …なぜかって言うと、

レセプションのお兄ちゃんが、「パスポートを預かります」って言うからさ!!


 …旅慣れた今となっては、

宿の受付でパスポートを預けるなんてことは、

日常茶飯事だから、驚かないよ?

けど、生まれて初めての海外でさ、

右も左もわからない、カナブン臭い国でさ、

強引に引っ張っていかれた白タクに乗った後でさ、

人気のナイ、しかも、ほとんど真っ暗なレセプションで、

「パスポートを渡せ」って言われたら…


 それこそ、命綱を手渡しちゃうようなモンだぜ!?


 僕、最初のうちは、

その要求に対して、必死に抵抗しちゃったよ!!

 「なぜ預かるんだ?」とか、「いつ返してもらえるんだ?」とか、

険しい顔して、しつこく問い詰めちゃった。

 そしたら、他のスタッフも駆けつけて来てさぁ、

「おぉ、田舎モンがゴネてて、困ったもんだぁ」

 みたいなカンジで、苦笑いして、アタマ抱えてんのさ(笑)


 僕の粗末な英語力じゃ、

質問したところで、相手の答えがあんまり理解出来ないし、

どうにもみんな、悪どい顔なんてしていなかったから、

僕は堪忍して、パスポートを預けることにしたんだよ。

 結果的に、ずいぶんとみんなを煩わせちゃったけど、

誰も、イヤそうな顔をしたりは、しなかったさ♪


 ちなみに、

このホテルは、シングル1泊30ドルだったんだ。

 この金額、チョイと覚えといてね♪



『永遠の楽園』

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