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8 スナフキンを守りましょう 『トモコのセキララ恋愛講座』

8 スナフキンを守りましょう

次に取り上げるのも、またまた、

バンドマンに恋した女の子。

22歳ネイリスト カズエちゃん。

ハナシを聞く限りだと、ゆっこちゃんやチアキちゃんとの接点がみられないので、

あのコたちの直接の友人ではないのかもしれないわぁ。

私の名声、どこまで広がっちゃってるワケ!?


「…それで?

 カズエちゃんあなたも、

 バンドマンの彼がモテモテで、嫉妬しちゃってるワケ?」

「え!?私は別に、嫉妬心とかは薄いんですけど…」

「あらそう!じゃぁ、何に悩んでるワケぇ?」

私はチェッカーテーブルにヒジなんか突いて、もはや偉そうなモンだわぁ。

「彼は…ムカイさんは、就職してくれないんですよ。

 正社員になってくれないんです。」

「へ?それの何が悩みなの!?

 だって、夢追いミュージシャンなんでしょ?」

「私、出来れば、いつかはムカイさんと結婚したいんです。

 それくらい魅力ある人です。

 でも…」

「結婚するなら、高収入安定収入が良いと!」

「そ、そうですぅ…」

「あなた、子供みたいな顔して、

 ずいぶん現実主義なのねー!

 そもそも、結婚も遠い未来かもしれないわよぉ?

 ミュージシャン諸君なんて、結婚したがらないの多いからぁ。」

「…そうです。

 ムカイさんも、結婚にはあんまり興味ないらしく…」

「じゃぁ、結婚を望んでるのはアナタだけじゃない!?

 そりゃいよいよ、望み薄いわねぇ…」

「でも!『カズエと会ってから、結婚も良いかもって思うようになった』

 って、言ってたんですよ!?」

「そういう気持ちもあるのかもしれないけど、

 現実問題として、どうでしょうねぇー。うーん。

 っていうかあなた、結婚願望強いんであれば、

 すでに正社員で安定生活してる人を当たればイイんじゃないの?」

「そうですけど、でも…彼がイイんです。」



「ちょっと、ハナシを整理しましょうよ。

 彼のフリーター生活が気に食わないのに、彼じゃなきゃイヤ。

 …どういうこっちゃ!?

 あなた、彼のどういう部分にホレてるわけ?」

「ムカイさんは、仙人みたいな人なんですよ。」

「仙人!?」

私は、お茶を噴き出しちゃったわよ。

ロリータフェイスと爺さんが、付き合ってるワケ!?

「あ、いや。哲学者みたいなカンジって言えばいいのかな。

 思想があるんですよ。美学があるんです。」

「あー、つまり、スナフキン?」

「あー!スナフキンです!優しいし、旅もスキらしいし。

 自由に生きてて…まさにあんなカンジです。」

「え??あなた、彼の自由さにホレてるってことなのよね?

 それなのに、正社員を強要するの?

 そこらの七三分けのオッサンみたいに所帯じみちゃって、いいワケ!?」

「えー!それは困ります!

 クリエイティブなことしてないと、ムカイさんらしくないし…」

「はぁあ。

 カズエちゃん、だっけ?あなた、自分の願望が矛盾してるってこと、気づいてる?

 彼がスナフキンたる所以(ゆえん)というのは、

 周りになんと言われようとサラリーマン生活を避けてる、その美学にこそ、あるのよ。

 彼がサラリーマンとして生活するなら、

 あなたがスキなその詞とか哲学とかいうのは、出てこないワケ。

 スナフキンみたいに小鳥さんとおしゃべりしながらハーモニカ吹いてる時間も、

 作れないワケなのよ。

 あなたの言う通り、彼には『美学』があるのよ。

 正社員に『なれない』んじゃなくて、『ならない』んでしょうよ。

 お給料も少ないし、親戚にも説教されるし、女子にも嫌われちゃうけど、

 そういうリスクをぜんぶ承知のうえで、彼はスナフキンを貫くのよ。

 25ン時の私に、ソックリだわぁ(笑)

 だから彼は、そんな不安定な身分じゃ結婚責任を負えないこと自覚してるから、

 結婚なんてしたがらないんでしょうよぉ。」

「はぁ…。」

カズエちゃんはまだイマイチ、腑に落ちないらしい。


私は、姿勢を変え、ハナシを変える。

「あなた、自分では働かないの?家事手伝いなの?」

「いえ、働いてます。バカなんで労働とかニガテなんですけど、

 頑張って資格とって、ネイリストやってます。」

「あら、素敵じゃなーい♪

 それじゃ、一人暮らしなの?」

「いや、実家で甘えてます…。

 一人暮らしも憧れてるんですけど、そこまでお給料高くないから…」

「それで?一人暮らしするほどのお給料じゃないにしても、

 実家暮らしなら、貯金は出来るでしょうよぉ?貯めてるの?お金。」

「いや…。服とお菓子で消えちゃいます。あと、カフェ巡りがスキなもんで…」

「ふうん。それじゃあなた、自分の稼ぎはぜーんぶ趣味に回して、

 生活費はスナフキンに一任しようってワケぇ!?

 そりゃアナタ、ムシが良すぎるんじゃなぁい?」

「え、で、でも…

 生活費ってオトコの人が稼ぐもんじゃ…?」

「そりゃ、一般論はそうかもしれないわぁ。

 でも、それが『正解』かどうかは別よぉ。

 …なにが正解かなんて、私にもウカツには言えないけど、

 そういうのって、少なくとも、『人それぞれ』なんじゃなぁい?」

「人それぞれ!?」

「そうよぉ。

 っていうか、いまどき、

 旦那だけが生活費負担してる夫婦なんて、むしろ少数派よ!?

 時代はバブルじゃないんだし、女子の社会進出も進んでるしさぁ。

 んで、どっちがどれくらい生活費を負担するかなんて、

 実際、夫婦それぞれ、イロイロあんのよぉ。

 あなた、『主夫』って言葉、聞いたことなぁい?『あるじ』の『おっと』で、『主夫』よ。

 ダンナさんは家事に回って、奥さんがキャリアウーマン貫いたり、すんのよぉ。

 つまり、旦那さんは一銭も稼いでなかったりすんの。

 そういうカップルも、最近、多いのよ?

 まさしく芸術家の男性に、多いんじゃない?

 で、そういう奥さんのほうがむしろ、幸せそうだったりするわよぉ♪

 ユミもそうだし。ヨーコもそうだし。私の周りに大勢いるわぁ。」

「主夫…」

「そうよぉ。

 私が思うに、あなたさえその気になれば、

 そのステキなスナフキン、あなたGETできるわよぉ?

 あなたが彼に、正社員や高給料をせがまなきゃイイだけよぉ。

 それであなたが、せっせと働いて20万稼ぐ!ショッピングは控える!」


「で、でも…」

たいていみんな、反論してくんのよねぇー。

「でも、なに?」

「私が家計を背負ったら、彼、堕落しませんか?」

「あははは!あなた、ホンキでそんなこと言ってるのぉ?

 今だって彼、働いてはいるんでしょう?正社員じゃないってだけでしょう?

 夢追ってんのにちゃんとそこそこ稼いてて、しかも美学や哲学があるんでしょ?

 そんなスナフキンが堕落するとは、思えないわぁ。

 それに、もし万が一に、彼が堕落するようなことがあるなら、

 そのときにアナタが、彼を捨てればイイんじゃなぁい?

 そのときまでに、アナタが20万稼げるようになってて、ショッピング癖も治してたら… 

 彼が死のうがムーミン谷に帰っちゃおうが、

 アナタは一人で生きられるわよぉ。親御さんも助けてくれるでしょうし。

 …つまり、

 彼には何の問題もナイってこと!

 あなたの不満は、あなた自身のぜいたくや依存心が生んでんのよぉ。

 あと、一般常識に囚われすぎてんのねぇ。

 別にどんな恋愛でもイイんだけどさ?

 安定生活をしたいのか、スナフキンの隣で暮らしたいのか、

 どっちを強く望んでるのか、自分でよぉーく考えてみることねぇ。

 人生左右するくらい重要な問題だから、よぉーく考えんのよ?

 私だったら、平凡生活よりもスナフキンと心中するけどぉ♪


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