8 命がけの木登り
いつの間にか、30メートルくらいも登っていた!!
僕は、周りの木立よりも、アタマ一つ抜け出していた!!
霧雨は止んで、5月の空は、透き通るように美しかった!
空気は澄んでいて、美味しかった!
空腹なんて、すっかり忘れていた!
…半日以上も飲まず食わずで過ごしたのは、生まれて初めてのことだったよ!!限界を超えてもガマンし続けると、空腹って、感じなくなっちゃうモンなんだ(笑)
これくらいの高さは、怖いとは思わないよ?
けれども、「枝を登っていく木登り」に比べて、「コブを登っていく木登り」は、あんまりにも難易度が高すぎる!!!
なにしろ、1度でも足をすべらせてしまったら、堅い地面まで真っ逆さまだからねぇ!!!
僕は、とにかく、「光のみちしるべ」に逆らわなかった。
…こんなに素直に、誰か(?)に従うのは、人生で初めてのことかもしれないよ(笑)
フシギと、あんまり疲れを感じなかった。筋力には、まだ余裕がありそうだった。
時々、涼しい風がぴゅーーーっと吹き抜けて、僕の汗を乾かしていった。
なんだか、回復魔法を掛けてもらえたキブンになった♪
…母さん、心配してるだろうなぁ…
それだけが、少し気がかりだった…。
けれど、「母親に心配を掛けないために、冒険を取り止めにする」なんて、そんなのナンセンスだと思ったよ!!!
『イーストエンドは西の果て』