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エピソード11 『イエスの子らよ』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月4日
  • 読了時間: 2分

午後は、工芸室に行ってみようってことになったの。

さっきエルサが座面を張り替えたイスだけど、

あれ、修道女が手作りしてるんですって!

ゴシック調の彫刻がほどこされた、立派なイスなのよ?それも手作りされてる。

で、工芸室に向かって歩いてたんだけど、

私たち、途中でシスターに呼び止められちゃった。

「穀物倉庫の掃除、人手が足りないんだけど、

 あなたたち、手伝ってくださらない?」

よりによって、昨夜私が怒られた、あのノッポのシスターだったわ!

私はエルサよりも借りてきたネコになって、

シスターが言い終える前にはもう、大きく返事していたわ。

「もう!ヘンな仕事引き受けないでよ!」エルサがふてくされた。

「ごめんなさい。つい反射的に、ね。

 でも、穀物倉庫の掃除って、そんなにヘンな仕事なの?」

「あったりまえじゃない。掃除よ?

 それが穀物倉庫ともなると、全身真っ白けになっちゃうんだから。」

「…だから、人手が足りてないのね…」


エルサに連れられて、穀物倉庫に行ったわ。

倉庫なんていうのは、裏っかわにあるのよ。日の当たらない、静かなとこに。

行くだけで物悲しい気持ちになっちゃう。

トントン。

「失礼します。お掃除を手伝いにまいりました。」

エルサが礼儀正しくあいさつしたけど、

「………………。」

何の応答も無かったわ。誰もいないのかしら?

カギは開いてたので、勝手に入らせてもらったわ。


「うわー!ホントに真っ白ね!」

倉庫は一面、床だけじゃなく壁も天井も、粉で真っ白け。

倉庫の白さにあっけにとられていると、

不意に風が吹いてきて、

開いたままだった木戸を、バタン!と乱暴に閉めた。

その衝撃で、積み上げられてた粉袋が1つ、床にドスンと落ちちゃった!

その衝撃で、床の粉という粉は舞い上がって、一面が雪景色!

「きゃはははははは!」

うっとおしさも通り越して、大笑いしちゃったわ。

それだけじゃないの。間髪入れずにビックリ!

「これこれ!仕事を増やすんじゃないよ!」

誰もいないと思ってた倉庫の奥から、声がするじゃない!



『イエスの子らよ』

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