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えぴそーど108 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年12月24日
  • 読了時間: 3分

えぴそーど108


翌日、一行は街に食材の買い出しに出ることにした。

マーミン・ムマは際限なくご飯を差し出そうとするが、それは申し訳なさすぎる。自分たちで食材を調達し、自分たちで料理することにした。

そのまま街で食事を済ませてきたってよいのだが、一行はママの家が居心地よいと感じたのだ。何をするでもなく、のんびりする。


食材調達の帰り道、橋のところにはまたソロがいるかなと期待したが、その姿はなかった。

ミ「うふふ。また会えるわよきっと。しょっちゅう橋で歌っているようなこと、言ってたじゃない」ミサトは皆の心を見透かしたようにささやいた。


夕暮れ前、マーミン・ムマは「ちょっとご近所さんの掃除を手伝ってくる」と言って出かけていった。

一行はお留守番だ。

そして、シトシトと雨が降ってきた。よいのだ。今日も明日も何も急いではいない。

ヒナタはオルゴールのネジを回しながらハンモックに揺れ、カンナは手書きの冒険の本を読み、ミサトはキッチンで玉ねぎの皮をむき、セナはチョコレートのラッピングを工作した。

夜になって、雨が強くなった。マーミン・ムマは帰ってこない。ご近所さんの家で掃除を手伝って、そのまま泊まってくるのかもしれない。



一行は自分たちで夕飯を済ませた。夜20時。眠るにはまだ早いな、と、ラズベリージュースを飲みながら寝室でごろごろしていた。

すると・・・

ガタン!!

どこかで大きな物音がする!

4人「きゃぁ!!」

カ「ママは帰ってきていないなら、家には私たち以外誰もいないはずよ」

ガタガタ!

まだ音がする。

一行は音の出どころに耳を澄ます。どうやら上だ。寝室の上には、屋根裏部屋があるとかなんとか、ママが言っていた気がする。

ミ「まさか、泥棒・・・!?」

一行はフライパンやナイフを片手に、そろりそろりと屋根裏部屋に向かった・・・

ガタガタ!

カ「誰だ!」カンナは勇ましくランプをかざした!


?「まぶしい!」

ヒ「おやぁ!?」

4人「ソロ・フナスキン!?」



どうやらあの歌唄いの彼であった。

カ「こんなところで何やってるのよ!」

ソ「雨が降ってきたからね。

 普段は近所の森でテント暮らししてるんだけど、雨の日はママの家で寝泊まりさせてもらってるんだ」

ヒ「びっくりしたぁ」

ソ「屋根裏部屋のベッドを、動かしていたんだよ」


一行は自分たちの寝室へと戻った。

すると、寝床支度が落ち着いた屋根裏では、アコースティックギターをつま弾くささやき声が聞こえはじめた。

ヒ「おうちの中でも歌ってる」

セナは何か思い出したように、キッチンに下りていった。

カ「新しい本、取ってくるわ」と言って、カンナも寝室から消えた。

ヒナタとミサトは客室でのんびりしている。

すると・・・

ヒ「あれぇ?

 音楽が増えてない?」

なんと、音は上階の屋根裏からだけでなく、下からも聞こえているような・・・?

また誰か侵入者があったのだろうか?

ヒナタとミサトは音のするほうへ降りていく。


リビングのピアノの前に、カンナが座っているのだった。

そして静かに、ささやくように鍵盤を奏でている。

ミ「カンナ、ピアノが弾けたのね」

ヒ「ていうか、ソロと同じ曲ハモってない!?」

二人はカンナの元に静かに寄る。

ヒ「カンナ、ピアノまで弾けたの?」

カンナは弾き続けながら返答する。

カ「まぁね。私立の子なんて大抵、ピアノくらいたしなんでるものよ」

ヒ「それにしたって、いつの間にソロの曲習ったんだよぅ(*´з`)」

カ「習ってないわ。耳コピよ。

 テキトーに弾いてるだけなの」

ヒ「そんなことまで出来るんかいΣ(゚□゚︎`)」

カンナは優しく優しく、ハーモニーを奏でる。

ミ「うふふ。もう少し大きな音で弾いたほうがいいんじゃない?

 屋根裏に聞こえるくらいに♡」

カ「・・・・・・。

 いいのよ。雨の日には、これくらいの音量が似合うものよ」

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