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第24節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第24節 翌日は、近郊の森へと魔物退治に繰り出した。 村の近くの平原には魔物はいないが、なるほど森の中まで踏み入ると、獰猛な生き物に遭遇する。奴らは人間を見ると襲いかかってくる性質があるようだ。 大ねずみが2匹あらわれた! 大ねずみ ユ「これくらい!」ユキはコーミズに出没する大ねずみを退治したことはないが、旅立ち直後の巨大魚や海上でのとつげきうおを見た後では、タヌキに似たねずみごときに震えたりはしなかった。 ザシュっ!ユキのヤリが相手に突き刺さる! ギャーと唸るが致命傷ではないようで、勇ましく反撃してくる!ユキは素早く身をかわす! そしてもう一度、もっと渾身の力を込めて大ねずみに突進する! 大ねずみをやっつけた! 挿絵 by ヴィオレッタさん ユ「ノア、君の番だ!」ユキは、目の前の怪物を殲滅することよりも「2人が戦えるようになること」が重要だとわかっていた。 ノ「ひぃぃぃ!」ノアは震えながら短剣を構える。 しかし、こちらに臨戦態勢を見せる大きなねずみになかなか襲いかかってはいけない。 ユ「がんばれ!」ユキはもどかしい思いを抱えながらも、手は出さず


次作ラノベのキャラデザ担当さん決まりました!
こういう感じの主人公を想定しています 26年夏公開予定としている私の次作ラノベ。早々にキャラデザインの担当者さんの募集を掛けていましたが、決まりました!(*'▽') 本当は26年の2月くらいまで待つつもりでいたのですが、能力があり信頼関係がある人が急に名乗り出ることはまずないだろう、と判断しました。 一応、この担当者さんに不測の事態があったときのことを想定して、代役さんの募集は継続しておきます!代わりに担ってもらうか、途中から引き継いでもらうか、ということですね。 「ピンチヒッター」という役回りをご承知の上で、ご興味ある方いらっしゃいましたら、ご連絡をください(*'▽') 下記ページに問い合わせフォームがあります。 他の絵を2~3描いてみてもらうことから始めたいですね。 >>次作の募集要項 >>問い合わせフォーム


第7節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』 +4コマ「モーセの体操」
第7節 ある日・・・ 二人が村長のところにいると、さらに来客があった。ホンダラという、村の中年男である。大ババの息子だ。ノアやユキが関わることはほとんどない。 ホ「村長、カネを貸してくれたまえよ。1000ゴールド(約10万円)ほどさ」 モ「何?1000ゴールドだって!? そんな大金を一体何に使うというんじゃ!?」 ホ「ほら、ほむら祭りがもう近いだろ? ご神託の儀式に使うマリハナを、北の村まで買いにいかなくちゃ」 ノ「カネって何のこと?」ノアとユキはその様子を遠巻きに見ている。 ユ「引き換え券のことさ」 モ「あぁ、ご神託の支度か。 それにしても1000ゴールドも要らんじゃろ?たしかマリハナは100ゴールドじゃったぞ」 モ「それが最近値上がりしたっていうんだよ。 いや噂だから確かなことはわからんけどさ?でも行ってみてから『足りませんよ』じゃ困るじゃないか。北の村まで半日も歩くんだもの」 モ「まぁそれはそうじゃなぁ。あまりが出たら返すのじゃぞ?」 ホ「はっはっは!わかってるって!」 モーセはホンダラに、1000ゴールドを手渡した。 ホ「はっは


エピソード67『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
エピソード67 赤「なんてこった!」赤ヒゲの男はカバリアーが倒されるのを見るや、逃げ出そうとした。 キ「待ちなさい!」 キキは毅然とした口調で赤ヒゲの男を呼び止めた。 キ「わたしはエルフのキキ。 あなたは?妖精でしょう?」 赤「・・・・・・。レプラコーンだ。 レプラコーンのドーガ」 キ「あの町で靴を磨いているのは?みんなレプラコーン?」 ド「そうだ」 な「どうして、人間に悪さをするの?」 ド「・・・・・・。わかるだろう?」 ゆ「人間が、鉱石を乱獲するから・・・?」 ド「そうだ。レプラコーンが悪いのか?」 な「でもどうして、アミンをやっつけるの?」 ド「おまえが人間の肩を持つからだ。 そうでなければドワーフに襲い掛かったりはしない。 元々ドワーフは、妖精の中でもレプラコーンに近い種族だ」 ア「僕のせいか!?」 ド「・・・・・・。 そうでもないのだろう」 な「え!?意味がわかんないよぉ(汗)」 ド「言っただろう。 本来、妖精同士で無用な争いなどしたくはない」 キ「そういえば、わたしの靴を磨いたレプラコーンも、『おまえはエルフか』と尋ねてき


第23節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第23節 話の嚙み合わない一行に、助け舟を出す者がいた。 男「おいおい!そう責めたてんなよ。 他所から来たんだろう?どっか田舎から来たんだ。可哀そうに。 もっと優しく説明してやる必要がありそうだよ」 2人は声のするほうに振り向いた。 宿「だがタダ飯食わすわけには・・・」 男「私が立て替えてやるよ。今日の分くらいは。 ほれ、4ゴールドだ。いやあと4ゴールド払うからたっぷり昼飯も食わしてやってくれ」 宿の居間で茶をしていた見知らぬ男が、仲介に入ってくれたようだった。 ノ・ユ「ありがとうございます!」2人はソーダ水でも飲んだかのような爽やかな笑顔で、その男に礼を言った。 男「おごったわけじゃないからな?明日か明後日には返してくれよ。私は別に金持ちじゃないんだ」 男は2人を寝室にまで案内し、宿とはどのように過ごすものなのか、一通りレクチャーしてくれた。 そして3人はまた受付前の居間に戻ってくる。 男「さぁ、腹ごしらえしながらこの国の話でもしようじゃないか。 君たちの村にはカネってもんがなかったんだな?」 ユ「そうです。なんでもタダで手に入る暮らし


第16節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』 +4コマ「バーディーの話」
第16節 3人は村の井戸場まで出てきた。 ?「やはりお金を導入し、よその国と貿易をすべきだ!そうじゃないか?みんな! 神の掟だかなんだか知らないが、古臭い文化をいつまでも続けるのは間違っているぜ! やはり村長は投票で決めようじゃないか!」 衆「わーー!」 衆「そうだそうだー!」 誰かが演説をし、それを十数人の村人が取り囲んでいる。 ア「また言ってんのかおめえは?」アギロは通りすがりに口を挟んだ。 ?「うん?誰だその輩は!さっきの騒動の犯人か?」 ユ「僕らは、海で遭難したところをアギロさんに助けてもらいました」 ノ「盗賊じゃありません」 ?「はっはっは!その細い腕じゃ盗賊なんて無理に決まってる! そうか遭難者か。せわしいな最近は。それで、クダカに住むのか?」 ユキはアギロを見上げてから言った。 ユ「わかりませんが・・・しばらくは」 ?「そうかい。じゃぁ君らもお見知りおきを」男はキザなお辞儀をした。 バ「私の名はバーディー。次の村長になるべき男だ」 衆「わーー!」 ユ「あぁ、どうも」ユキは無難に相槌を打った。 ノ「お金が、神様の掟?」ノアはバー


第18節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』 +4コマ「ププルのプレゼント」
第18節 一行はまず、アギロの家に戻った。ヤリや短剣は家に置いたままだ。 それを拾いあげ、妻に挨拶をすると、妻は台所からたくさんの果物と干物、そして替えのシャツを2人に手渡すのだった。 ア「おい!オレの夕飯は残ってるのか!?」 妻「アンタは今すぐイノシシ捕ってきなさいよ!」 ア「えぇ、勘弁してくれよぉ!」 ノ・ユ「あはははははは!」 ア「笑顔が出たな」 アギロは2人を見つめながら微笑んだ。 ア「笑顔になれれば、どうにかなる」 ノ・ユ「は、はい!」 妻「着替えも入れといたよ。あんたら服も持ってないんだろうから」 そして浜へと戻る。 海のきらめきが見えた頃、ユキは大きな声を上げた! ユ「あぁ、そういえばイカダ!!まずい!」 ユキは慌てて駆けだした。イカダは流されてしまったのではないか!? 3人が駆けていくと、やはり浜辺にその姿はない・・・。 ユ「どうしよう・・・」 ノ「造れるんでしょう?イカダ」 ユ「まぁそうだけど・・・」 ア「えっへっへ!」アギロは満面の笑みを見せた。 ノ・ユ「え!?」 ア「えぇっとなぁ・・・」アギロは浜を見渡す。 ア「おぉ、あれだ


第14節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』 +4コマ「ノアちゃんとお花」
第14節 3人はやがて集落にたどりつく。コーミズとよく似た素朴な村だ。木の家がまばらに立ち並んでいる。クダカの村というらしい。 アギロはそのうちの1つの軒下をくぐった。 女「あらおかえり」女房らしき女が出迎えた。 ア「客人だ。えっへっへ」 妻「おやまぁ!」 ユ「ど、どうも」 家の前で子供たちのはしゃぎ声が聞こえる。 男は何かを思い立つと、再び表に出てその子らに声を掛けた。 ア「おいププル、ちょっと浜に遊びに行ってこい!」 プ「はぁーい」 子供らは一瞬ぽかんとし、しかし男の言うことを聞くのだった。 ア「えっへっへ。息子だよ」彼の息子が混じっているらしかった。 ア「なんか温ったかいもの作ってやってくれよ」 妻「はいはい」 言葉はぶっきらぼうだが、情のある人たちであるらしい。 料理の完成を待つ間に、2人は眠ってしまった。夫婦は2人を起こさなかった。 居間の囲炉裏でスープが静かにクツクツと音を立てている。 ?「邪魔するぞ」 夜は20時を回った。2人を起こしたのは、玄関から聞こえる新たな声だった。 ?「見慣れぬ者がいると聞いたぞ?」 ア「あぁ村長さんか。明


ラノベ『天空の城』キャラデザインが揃ったぞ!(*'▽')
表紙やタイトルロゴも絵夢さん! 自著ラノベ『天空の城』のキャラデザインが少しずつ追加されていっていることは、このサイトをよく訪れてくださる方は気付いていたでしょうか? この度ついに、著者の予定しているキャラすべてにデザインが付きました(*'▽') キャラクターデザインを担当してくださったのは絵夢さん。30名以上のキャラを描いてくださいました! れいちゃん サフランローブのれいちゃん れいちゃん 顔をアップにすると益々かわいいの知ってた!? 主人公のれいちゃんは、「シータみたいな女の子」という像が私の中に明確にあったので、「シータの顔でダイアナの髪型。シータに超似てていい」という感じで明確に要望を出しました。「宮崎さんのような人物画が描けるかわからない」と絵夢さんはおっしゃっていたのですが、直後に上がってきたれいちゃんのラフ画がもう私のイメージにドンピシャ!!(♡▽♡) 作者の私にとって、れいちゃんに命が宿った瞬間です!!! 最初に描いてもらった薄紫服のれいちゃんは、ドラクエに出てくる《サフランローブ》という装備品をモチーフにアレンジしていただきま


エピソード127 『天空の城』
エピソード127 鍛「いいけどよ、カネは取るぜ?これだって立派な仕事だよ姉ちゃん」 れ「は、そうか!」れいは名案に興奮していたが、お金のことまで頭が回っていなかった。今高価な鎧を買ったばかりである。 鍛「そうだな。3,000ゴールドだ」 れ「3,000!そ、そんなにするのですか・・・」 鍛「そりゃおめぇ、特注品作るんだからなぁ。教科書のない作業だしよ。失敗は許されねぇしよ」 れ「いえ、文句を付けるつもりはないのですが、あの、お金が足りないのです。 今この鎧を買って使い果たしてしまって・・・。残り1,000ゴールドくらいしか」 鍛「じゃぁ諦めるしかしょうがあんめぇ」 れ「でも、その、でも・・・ 私、上等な鎧が着れないと、元いた街に帰ることすら出来なくなってしまいます・・・。このあたりの魔物は強いので」 鍛「うーん、命乞いされちまうと何も言えなくなっちまうよ。 そんなことばっかだから、商売あがったりでさぁ」 あぁ、鍛冶屋さんも困っているのか! れ「では、あの、前借りというのは出来ませんか? 後で必ず、お金を払いに来ます!この鎧を着れたら魔物を


第17節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第17節 アギロは改めて胸騒ぎがしたが、クダカ村はもうすでに、毒に冒されはじめているのだった。 3人が次に見たのは、村のはずれの道端に御座を広げる見慣れぬ行商の姿だった。3人は行商というものを見たことがなく、それが行商だと最初はわからなかったが。 御座の上にはメロンやスイカなど、この村では採れないフルーツが並んでいる。 ア「なんだこれは?」アギロはその行商に声をかける。 商「おぉ!異国の美味しいフルーツが、1つ5ゴールドだよ!ここにあるぶんでおしまいさ!」 ア「おい、クダカは商売が禁じられているはずだが?」 商「えぇ?そうなのかい?みんな立ち話で取引してるじゃないか」 店を構えずに行われる商売があるのだ! ア「おまえ、北の村の者だな? この村にやってきて、メシや寝床は村のやつがタダで施してやったはずだ。 それなのにおまえは、それをカネで売るのか?」 商「そりゃぁアレだよ、イノシシのスープや藁の寝床は腐るほどあるだろ? でもフルーツってのは希少なんだからさ。高い価値が付くってもんさ」 ユ「そうか。こうして珍しいものを欲しがる気持ちから、お金


エピソード71 『天空の城』
エピソード71 れいはさらに町を歩いた。迷子になりながら歩いた。先を急ぐわけではないのだから、防具屋を探しながらこのユニークな町の迷子を楽しむのだ。猫に出会い、子供に出会い、行き止まりに出会い、不良に出会う。 少し大きな通りに出ると、道端で絵を描きながら売る、路上絵描きを見つけた。そんなに買う人が多いとは思えない。しかし彼は恐らく、誰が買わずとも外に出て絵を描くのだろう。売る行為は「ついで」だ。 人々が何を考えているのか、何を思っているのか、想像しながら歩く。それはれいの想像が及ばないこともある。つまり頭の中にも世界はあり、れいは頭の中でも、自分の小さな村から外に出ているのだ。そうしてれいは、自分の世界を広げていく。そうして旅人は、自分の世界を広げていく。 想像したところで人の気持ちはわからないことも多々。話しかけてみる。失礼かもしれないが、「そんなにお客さんがいるのですか?」とも聞いてみる。すると「売ることは『ついで』であり、どっちでもいいんだ」という返事が返ってくる。なるほど、やはりそうなのか。 やがて防具屋を見つけた。民家であるが、ちゃんと


エピソード1 『天空の城』
第1章 幸福な村から エピソード1 れい キャラデザ by 絵夢さん 「世の中には、どんな本にも書かれていない物事もある。 ではそれを知るにはどうしたらいい? 広い世界に旅立って、自分の目で見るしかない。 もしくは・・・ 天啓を賜(たまわ)る尊い器になるしかない。 女神がそなたにそっとささやく。誰も知らぬこの世のヒミツがある」 れ「お婆ちゃん、またその話ぃ~?」 れいは最近、ちょっと心配でちょっとヘキエキだ。祖母のローズがどうも、同じ話ばかりするからだ。 「呆けはじめてしまったのだろうか?」と心配になるし、同じ話ばかりされて鬱陶しくもある。 そして、れいが新しい本を借りてきて読み始めるようなときにばかりこれを言うので、なんだか趣味を邪魔されているような気持ちにもなるのだ。 ローズおばあちゃん キャラデザby絵夢さん ロ「本を読むのは良いことじゃよ。でもそれで終わりじゃない。 本を読むことは冒険の始まりじゃ。本を読むことは、『旅に出たい!』と好奇心を抱く、その引き金にすぎない。 勇者は皆、旅人じゃった。賢者も皆、旅人じゃった。...


エピソード136『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
※2025/11/18 戦いシーン加筆! エピソード136 4人「やったぁ!!」 母「通常、世界樹へは高い山を越えて渡ります。 しかし実は、ルートはそれだけではありません」 ア「やっぱりあるんだ!」 母「この海から、山を潜って抜ける洞窟があります」 ゆ「そんな隠し通路があったなんて! あ、でもすぐ近くを漁船とかが走ってますよ?どうして見つからないの?」 母「洞窟への入口は、干潮のときにしか姿を現しません」 キ「なるほど!!」 母「満潮のときには、入口は海に沈んでしまいます。 ごくわずかなタイミングでしか口を開けないため、人に見つかることはほとんどありません」 ゆ「月の満ち欠けが云々って、そういうことだったのね!」 母「次の干潮の際、あなた方を入口へご案内いたしましょう」 な「なんだぁ~、人魚さんの背中に乗って泳いで連れてってくれるのかと思った!」 母「場合によってはそういうやり方もあります。 しかしあなた方は馬車をお持ちのご様子。 馬車を同行させるには、水位が低い干潮時に入るほうがよろしいかと」 普通の人間では有り得ないルートでの世界樹


エピソード184 『天空の城』
エピソード184 竜の月の11日。 朝早くから、いつぞやのように城壁の外に大勢の人々が集まった。 輪の中心にあるのはあの気球で、その準備を学者のマゴットが指揮している。れいも気球の袋が膨らむのを見ている。 マ「改めて簡潔に説明しよう。 天空城は可能な限り低いところまで降りてくる。我らの気球は可能なかぎり高いところまで上昇する。 その2つが落ち合えば、人間が天空城に上陸することが叶う。難解な話ではないだろう」 気球には、れいとマゴットと・・・サーヤはやはり着いてこない。女王も乗せてはもらえない。 兵士を2人付けることになったが、その一人はユーリが抜擢された。れいが安心するだろう、という配慮だ。この国の人々は実利と人情をバランスよく配慮する。 ユーリ マゴットや助手や兵士たちは、もう気球を飛ばすことに慣れを感じているようだった。野次馬たちも、気球を拝みたいというよりはれいを見送りたいのだった。皆、れいが好きである。 れ「ユーリが城を離れて大丈夫なの?」とれいも城を気遣った。 するとユーリは、 ユ「私の代わりはサーヤに担ってもらいましょう」とサーヤ


エピソード169 『天空の城』
エピソード169 やがてれいは、湖の手前の小さな丘に、荒廃した城跡を見つける。もう城壁の石積みがところどころ残っているだけの、完全な遺跡である。 普通はそんなものは素通りしていくのだろうが、れいはこうした遺跡めいたものが好きだ。敢えて丘の中の城跡を、ゆっくりと突っ切って歩いた。向こうに小さな塔が見える。塔と呼ぶには小さい。見晴らし小屋のようなものだったのだろうか。 遺跡を無意味にうろうろしていると、どうも人の気配を感じる。食べ物の匂いや、それを捨てた形跡・・・。少々の警戒心を持ちながら徘徊していると、城跡の中ほどに小さな横穴を見つけた。そしてそこに、人がいたのだ。 れ「あ!」とれいは驚きの声を上げる。 女「誰だお前は!」ボロ布をまとった住民とおぼしき女は、急な来客に荒い言葉で返す。 メボンの母娘 キャラデザby絵夢さん れ「すみません。旅人なのです。 東に行くと町があると聞いて、歩いていました。でもその町はもう滅びたかもという話も聞いていました。この城跡が、そうなのでしょうか?」 仲良くしてくれなくてもいい。情報だけでも貰えれば御の字だ。...


第9節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第9節 そして後ろにいたのは・・・ しゃがみこんでうつろに揺れる、ノアなのだった。 ぐらぐら ぐらぐら 「豆を・・・豆を植えなさい」 モ「ノア!」モーセは驚き、聴衆をかき分けてノアの元に駆け寄る。 ノアはうつろに揺れている。 モ「ノア!そなた、マリハナの煙を吸ったのか!?」 ぐらぐら ぐらぐら ノ「いいえ、吸っていません。煙は嫌いですもの」 モ「それでは酒を飲んだのか? 紫色のジュースを飲んだのか!?」 ノ「いいえ、お酒なんて臭いもの」 ぐらぐら ぐらぐら モ「神が!神が降りたのか!? マリハナも使わぬ生身の少女に、神が降りたのか!?」 モーセがノアの肩を揺すると、むしろノアは脱力してしまった。うつろな目をすっかり閉じきって、眠ってしまった。 ユ「真実のシャーマンが、ついにこの村にも現れたってのか・・・?」 二人の様子を見守っていたユキが、驚きの表情を浮かべてそうつぶやいた。 民「真実のシャーマンが!?」 民「マリハナに頼らずに神と繋がれる少女が現れたぞー!」 ざわざわ ざわざわ ユ「そういえば、昔は降霊の儀も踊り子が務めていたって、村長さん


エピソード167 『天空の城』
エピソード167 プカシェル村に戻って一晩ゆっくり休息を挟んだ後、れいはアズランの街へと向かった。 「アドルという貴族はいますか?」と人探しをすると、貴族というのかはわからないがそういう名前の金持ちがいる、と大きな屋敷を案内された。 屋敷に赴くと、「ご主人様はいますか?」と尋ねる。それで出てきたのは眼鏡の老人だった。 アドル キャラデザby絵夢さん ア「なんだね?どこの誰だね?私は研究に忙しいのだ!」 れ「あ、すみません。 でも、盗まれた財宝をお返しにあがりました」 ア「何?君はうちの屋敷から何か盗っていったのか!」 れ「いえ、私ではありません。 海賊に財宝を盗まれたのではありませんか?」 ア「何を言っているのだ? 君はそんなわけのわからないことを言って、うちの屋敷に侵入するのか?」 れ「いえ、違うんです。 財宝をお返しにあがったんです」 メイドの中年女性が慌てて口を挟んだ! メ「ご主人様!悪い人には見えませんよ! もう少し落ち着いてお話を伺ったらよろしいんじゃないですか!」 メイドのおかげで主人は興奮を鎮めた。 れいは客間に通され、ア


第13節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第13節 ザザーン ザザーン 沖に出ると、ユキはオールで漕ぐのをやめた。 そして、今来た西の浜を遠く見やった。もう島も見えないが。 ノ「そういえば、『魚が凶暴になる』ってほむら祭りのときに神様が言ってたわ」 ユ「いや、あれは魔物だったんだろう。ただの魚じゃないよ。 魚だったら、敵意丸出しでイカダを襲ったりはしないだろう」 ノ「あれが・・・」 まさか自分が、魔物なるものと相対する日が来るとは。 ユ「それにしても。村長さん、魔法が使えたんだな。そんなこと一言も言わなかったよ、これまで」 誇らしい技術を持っていても、それを隠そうとする人もいる。なぜそんなことをするのだろうか?今のノアになら、なんとなくわかるような気がするのだった。 ノ「村長さん・・・」 ユ「大丈夫。生きてるさ」 挿絵 by ヴィオレッタさん 波はゆっくりと、2人のイカダを運んだ。 そしてやがて、イカダはどこかの浜辺へと流れついた。まだ日は明るい。午後3時といったところか。 2人は上陸を試みる。そんな大層なものではない。短剣とヤリを持って、イカダから降り、知らない砂浜を踏むだけだ。..


エピソード87 『天空の城』
エピソード87 翌日の昼どき。 城の様子がよくわからないので、れいは早めに稽古場に赴いた。まぁ城の者に尋ねれば快く教えてもらえた。 稽古場に着いた志願者は、れいが1番初めだったようだ。 1人、また1人と冒険者が現れる。れいが一番そわそわしているように見える。皆強そうだ。 現れる冒険者の数は7人よりもずっと多い。どうも、3人4人組の冒険者のうち1人が参戦する、という形が多いようだった。れいだけ一人、孤独である。 そして戦士の男も姿を現す。屈強な体は200センチに迫りそうで、見たこともない立派な鎧を身にまとい、手には大きな剣を持つ。いかにも強そうだ。 れ「まぐれは、無いかも・・・」れいは益々気弱になってしまった。 正午。 王様や近衛兵、張本人である王子、その他取り巻きが集まっている。 手合わせも大臣が取り仕切るようだった。 大「皆の者。集まっていただき感謝する」 すると参加者の一人の魔法使いが、一歩前に出る。 魔「試合のルールを教えてくださいな。まともな説明を受けておりませんが」 大「わかっておる。 といっても特殊なルールは別にない。...
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