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エピソード45 『天空の城』
エピソード45 まさか「吸血鬼を退治しに来た!」とは言えない。するとどう自己紹介すればよいのだ? れ「み、道に迷ってしまいまして・・・」とれいはとっさに言い訳をした。言い訳として苦しいと思ったが・・・ 男「ははは、そうなんだよな。ブルガ城に向かうつもりが、登る山を間違えてしまう人が多いんだよ。 そうかそうか。大変だったね。 食事でもしていったらいい。粗末なもんだがいいかい?」 ガストン キャラデザ by 絵夢さん れ「え、えぇ」と答えてから、れいはデイジーの顔を窺った。 デイジーは「いいだろう」と頷いている。 結局、何の証拠もない状態で「お前は吸血鬼か!」と問いただすわけにはいかない。それでは逮捕も成敗もできない。相手が尻尾を出すのを待つ必要があるのだ。 つまり「おとり作戦」が必要であることを、ここまで来てかられいは気づいた。そんな危険な巧みなことが、自分に出来るのだろうか?ちょっと青ざめてくる。 ガ「オレはガストンというんだ。ここで一人で暮らしているんだよ。変わり者だろう?ちょっと病を患っていてねぇ」 れ「お体心配ですね」 ガストンは2階の


episode44 『王と悟り』
episode44 トウキョの街にて夕暮れ時。早めに夕食を済ませて宿へと戻る。 するとあのカウンターの若い女性は、思いがけないことを言った。 女「あぁ冒険者のお方! 大変申し訳ございません。本日は巡礼者の団体様がお越しで、ベッドの空きがなくなってしまったのです。あなたは巡礼者ではないとのこと。・・・そのう、他の宿に移ってはいただけないでしょうか?」 ソ「えぇ!? まぁいいですよ。巡礼の方が優先なのでしょうね」 「ベッドが1つだけ足りない」という問題ならどうとでも出来るような気もしたが、店員も団体客も、そういう知恵が働かないようだった。他でもなく敬虔な宗教徒の団体さんは、自分たちが集団で1つの建物に収まるために、他の旅人を突き飛ばす。まぁいい。 そもそも巡礼というのは団体ツアーで行うものではない気がするのだが・・・。 ソロは宿を出て歩きはじめた。 ソ「でももう暗くなるから、急がないとな」 郊外に出たほうが安い宿は見つけやすいと考え、ソロは建物の少ないほうへと歩いた。 すると林のそばに、この国特有の朱色の鳥居を見つける。 その鳥居は、薄暗い夕闇の


episode43 『王と悟り』
第4章 巡礼の地 episode43 トウキョの街 挿絵 by 生成AI ソロはそのまままたトウキョの街を徘徊した。 武器屋を見つけたので入ってみる。 上等な武器がたくさんあり、新品なのか、状態の良いものが多い。あの戦士が持っていた《炎の剣》もあるぞ。 この街の周辺の魔物は特別強くなかったが、それにしては武器がオーバースペックに思える。 ソ「こんなに立派な武器、この街で売れますかね?」 武「売れるさ!珍しい武器を多めに仕入れてるからね」 ソ「オーバースペックじゃないですか?」 武「そんなことは関係ないんだよ。みんなカッコいい最新の武器が欲しいのさ」 ソ「ふうん。 それにしたって、《青銅の剣》が350ゴールドですって?ちょっと高いんじゃないですか?」 武「田舎から来たのかい君は。そりゃ経費かかってんだから割高にもなるよ。当たり前だろ?」 そうか。そうかもしれない。 でもこれまでは、武器の値段はどこの街でも大体同じだったような気がするが。スラム街以外は。 ソ「お金持ちなんですよね、この国の人は」 武「オーナーが自分で売りゃいいんだろうけど、オレみた


episode42 『王と悟り』
episode42 ソロ 今の装備 ソロはさっきの広場へと出てきた。喧噪の中にあるこの街において、広場はちょっとした憩いである。同じように考えるのであろう人々が、ベンチに座ったりアイスクリームを買ったりしてくつろいでいる。 ソロは1つのベンチに座り、この街の人々をしばらく眺めていた。 やはり広場に居ようとも黒いスーツを着て、立派な威厳を持ったような人が多い。 すると、ある光景が目に入った。 1人の少女が、そうした金持ちそうな男に寄っていく。そして男の胸のポケットに、小さな花のブーケを差しこんでいる。広場の花を摘んで自作したのだろう。 そして、「お恵みを」と上品な声で言い、スカートの裾をつまみ上げておじぎをした。 男はポケットのブーケを払いのけ、煙たそうな顔をして「あっちに行きなさい!」と少女を追い払った。 横に居た淑女は「教会の花を摘み取るんじゃないわよ!」と怒った。 少女は慌てて走り去ると、肩から大きく息をして、悲しそうにうつむいた。 ●ジプシー少女 ジプシー少女 キャラデザ by 絵夢さん 年齢:12歳 誕生日:1月3日 身長:144cm..


エピソード114 『天空の城』
エピソード114 れいの泊まった質素な湯治宿は、昼間になると向かい側に屋台が出た。 昼間、昼食の時間を目安にして、小さな屋台がご飯を出しているのだった。 2日目に体がビキビキと痛んで動けなかったれいは、思いがけず目の前に昼食屋さんがあって小躍りした。 挿絵 by えみこ さん Instagram旅アカウント Instagram沖縄とお菓子アカウント Instagram家庭菜園アカウント 屋台を眺めてみる。屋台だけを見ても要領を得なかったが、客が食べている器を見ると、汁ものの麺料理であるようだった。 れ「同じのをください」とれいは注文した。 女「はいよ。お嬢さん旅の人だね?」おかみさんは元気な声で言った。 れ「そうなんです。サントハイムという国から来ました」 とれいが受け答えをしていると、なんとテーブルに座っていた女の子が、屋台の狭いキッチンに立ち始めた。まだ8歳か、せいぜい10歳にしかなっていないように見えるが・・・ れ「え、この子が作るんですか!」 女「そうだよ。ラーメンなんて8歳にでも作れるさ」おかみさんはけろりと笑っている。 娘は真面目な顔


episode41 『王と悟り』
episode41 ソロ 今の装備 無事川を越えた。 マーディラスはここから南西に下っていった先にある。 それ以外の町はどの方角にあるのだ?残念ながらそれは北西だという。それぞれの目的地を貫くには、これ以上先は同行できない。 「じゃぁね」だ。 マーニャは驚くほどあっさりと、南西へと馬車を走らせた。 寂しさを増長しないためにはどうすればいいか、彼女はよくわかっている。そうでないと何年も旅などできないのだ。 とにかくソロにとって、5日歩かなければならない距離を馬車で稼げたことはありがたかった。大きな休息やリフレッシュを兼ねられた。なるべく歩いて地球を踏みしめたいと思っているが、同時に馬車など活用しながら上手に先に進んでいきたいものだ。 1人になって2日を歩くと、やがて大きな街に到着した。 トウキョの街 by 生成AI トウキョの街だ。 城壁を持つ街だった。城壁街は、門をくぐったときに誕生日プレゼントを開けたような驚きを味わえるから楽しい。 ソ「わぁお、カッコイイ!」 トウキョの街は、オートモービルの行き交う文明的な街であった。車のことだ。私たちの世界


episode40 『王と悟り』
episode40 マーニャ マーニャと走る馬車の上だ。テムール川への行脚は順調に進んでいる。 ソ「まだまだ聞いてもいいですか?」 マ「え?いいよ」マーニャにとってもこの会話は面白かった。とても。相手がどういう相槌を打ち、どういう見解を挟み、どういう表情でいてくれるか。何を笑ってくれるのか。何を許してくれるのか。同じような話題をしていても、相手の反応によって面白さの度合いは変わってくるのだ。マーニャにとってソロは、良い聞き手だった。 ソ「マーニャのママは、なんでさすらってたんでしょう?どこかペトラ遺跡とか、行きたい場所があったんですかね?」 マ「うーん、ママのママもジプシーだった、ていうのが一番大きい理由かなとは思うよ。旅行とはちょっと違うんだ。どこに何があるか知らないし。昔はなおさらそういう情報なかったし。 1つの所に留まらずに生きていたい、そうする以外にない、て人たちがジプシーやってる。 ママがそう育って、自分も辞めたくなかったからあたいを産んでもジプシーやってた。でもだんだん感じ方が変わったんだろうね。魔法学校に入れたりしたのはね。..


episode39 『王と悟り』
episode39 マーニャ カッカッカッカッカッカ・・・馬車は小気味よく走っていく。 ソ「メトン川のあたりの素朴な人たちは、セックスに中毒している気配もありませんでしたよ。一部を除いては」 マ「快楽としてのセックスをまだ知らないんだろうよ。子供を生むためのセックスしか知らない文化なんじゃないか?」 ソ「そうかもしれないです」 マ「この街とか、先進国はどこでもそうだけどさ。快楽としてのセックスを知ってしまったらもう禁止は無理だと思うよ。禁止!って言っても隠れて悪さするだけさ。それより『上手にやんなさい』って言わないと」 ソ「そうですね」その通りのような気がする。 マ「ママはそれを教えてくれたってワケさ」 ソ「へぇ」ママはもう死んでしまったのだろうか。 色々と話を聞きたいが、優先順位がある。 ソ「テムール川?でしたっけ。川までどれくらいかかるんでしょうかね?」 マ「2日くらいかかるよ」 ソ「そんなに遠いんだ!」 マ「馬車で2日だろう。歩いたら5日かな。アンタ馬車をヒッチハイクして正解だったと思うぜ?はっはは」 ソ「良かったぁ!ツイてました」...


episode38 『王と悟り』
episode38 翌朝はなぜか、4時頃にはもう目が覚めた。 こんな時間ではサービスの朝食はまだ貰えないが、身支度をしてもう出ることにした。 例の川の様子が見たい。 大聖堂のある広場の前を通る。 おや?街はまだ眠り、とても閑散としているのに、広場の隅にポツンと変なものがある。 馬車か。荷台に屋根のついた幌馬車だ。やたら装飾が施されていて、まるで教会の中のように芸術的だ。 挿絵 by 生成AI ソロは興味を惹かれて、馬車に近寄ってみる。あわよくばテムール川の方面に向かったりしないだろうか。たまには同乗させてもらうのも良いはずだ。 ソ「女性だ」 近寄ってみると、髪の長い、スカートの裾の長い18才くらいの女性が、馬車の走り支度などしている。 ●マーニャ マーニャ キャラデザ by 絵夢さん 年齢:17歳 誕生日:3月13日 身長:162cm ソ「これ、馬車ですよね」 女「うん?あぁ、そうだよ」 ソ「幌馬車というやつでしょうか。こんなのあったら長旅もはかどりますね!」 女「幌馬車というか、家馬車だな」長い髪に反して、少々ぶっきらぼうな話し方をするらしい。


episode37 『王と悟り』
episode37 遠まわしなナンパばかりだ。この街はあまり長居せずに出よう。 しかし今日はもう夜になる。宿に戻って夕食を摂った。 夜も食堂は賑わっている。その様子をぼーっと眺めていた。 よく見ればここもまた、宿泊している冒険者が近所の僧侶を口説いたりしている。 男「それがさぁ、べっぴんだと思って声かけた女がよ?なんと2日前にナンパした巨乳ちゃんだったんだよ!がっはっは傑作だろ?」 口説く男も男だが、口説かれる女も女だ。 カルベローナの里のターニアは「魔法使いの女は意外と男好きだ」と言っていた。カルベローナの血を継いでいない女もそうなのか。そして僧侶の女たちもそうなのか。こんな男に口説かれて嬉しいのかなと首をかしげたくなるが、色々な思惑があるのだろうか。それともまだ若くて、男の良し悪しがわかっていないのだろうか。 誰も世界を善くする気などなく、恋愛か金ヅルのために動いているように見える。 僧「あらお兄さん、見ない顔じゃなーい?」 女のほうから声を掛けてきた。僧侶のように見える。冒険者を漁っている、地元の僧侶? ミユ キャラデザ by 生成AI..


episode36 『王と悟り』
episode36 教会の前に広場があるのは良いことだ。 教会に赴いても気分が良くならないことがあるとき、広場の路上ミュージシャンが神父の代わりに心を癒してくれることがある。・・・とソロは感じる。 音を、音楽をどう感じるかは個人差が大きい。雑音や雑踏としか捉えていない人もいて、メロディーやハーモニーや音色の美しさにヨダレが垂れる人もいる。 広場には、クラリネットを吹く若い女性がいた。まだ14~5歳と思われる。学校はどうしたのだ?と心配になる年の頃だ。 小さな台の上に立って感情的にメロウな曲を吹き、そして台の前に楽器ケースを開いたまま置いている。このケースは、「チップを頂戴」という意味だ。 マリカ キャラデザ by 生成AI 学校に行くのをやめて、音楽でもう勝負して生きたい!という少女なのだろう。ソロはこういう子を応援したくなる。 しかし本人の奮闘虚しく、ケースにはあまりチップが入っていない。 選曲のセンスは良い、と感じる。しかし高音の抜けが悪い。 雑踏に負けないように響かせたいゆえに高音域の多い曲を選んでいるが、それを吹き切れていない。指使いは器


episode4 『王と悟り』
episode4 主人公のソロ 早朝。乗客の多くがまだすやすやと寝静まる頃、船は西の大陸の端くれに着岸した。とても小さな港町だ。 ソロの故郷カレンから南に下ってきた。豪華客船はここで幾らかの客を降ろしたあと、進路を直角に、東に変える。そして東の大陸を目指すのだった。同じ船が、西の大陸にも東の大陸にも行くのだ。 挿絵 by 生成AI 空はまだ明けやらぬ、ナイーヴな色をしていた。風はまだ起きておらず、港は静かで、カラスか何かだけがカーカーとまばらに鳴いている。 人の足音はそのすべてが聞こえるが、数十人がソロと一緒にここで降りたようだった。 木の古びた桟橋を歩いていくと、検問所のようなものがある。そこで乗客は立ち止まり、列が生じている。検問を受けるようだ。 外国に来たぞ!大丈夫だろうか?検問なんていうのはドキドキする。 ソロの番になる。 兵「どこから乗ったね?」 ソ「カレンからです」 兵「西の大陸は?初めてかい?」 ソ「えぇ、外国すら初めてのことで」 兵「剣や槍か、君は武器を持っていないね?」 ソ「もちろんです!大丈夫ですよ」 兵「いや大丈夫じゃないよ


episode35 『王と悟り』
episode35 規模の大きな宿だった。 1階はとても広いロビーで、食堂やバーを兼ねている。宿泊客だけでなく部外者も飲食可能なようで、つまり宿泊者と住民が交流できる仕組みになっている。それゆえに賑わっており、それゆえに騒がしい。 何か喋ってみようと、ソロは前向きに考えた。 隣のテーブルの戦士っぽい男に声を掛ける。 ソ「それ、カッコイイ武器ですね!」 戦「はっはっは、いいだろう! 《炎の剣》だぜ!昨日手に入れたばっかなんだ。 この街は物価も高いが金策がはかどるからなぁ」 ソ「すごいなぁ、ホントにカッコいい。それ、幾らくらいするんですか?」 戦「8,800ゴールドだ。スゴイだろ!」 ソ「すごい!」 戦「兄ちゃんは?どっから来たんだ?」 ソ「こないだは山のとこの洞窟に潜ってましたよ。宝箱開けたら《青銅の剣》を見つけました!」 戦「はぁ?おまえ《青銅の剣》ごときで喜んでんのかよ!貧乏だなぁおい!」 明らかに口が悪い。が、気にしないように努める。 ソ「あはは貧乏なんですよ~」 戦「じゃぁウマいハナシがあるぜ!おまえも橋の工事のバイトやったらいい!日給5


episode34 『王と悟り』
episode34 魔法学校を発ち、新しい地に足を踏み入れる。 ひょっとしてまた魔物が強くなるのかな?と洞窟での苦戦を思い出して緊張したが、そんなことはなかった。つちわらしが出て、いっかくうさぎが出る。それが集団で出現しても、チェーンクロスの広範囲な攻撃によってサクサクと討伐は進む。 食べ物の手持ちがなく、野宿の準備をしていないがゆえの困難はあった。道は過酷ではないが距離は長い。 こちらへ向かって馬車が走っていくのを見かける。たとえばカルベローナ魔法学校に入学する子供は、この先にある街から馬車を雇ってそこにゆくのだろう。 3日間の汗を流して、ソロはサマンオサという大きな街に到着した。海が近く、また新しい匂いがする。 サマンオサ城下町 挿絵 by 生成AI 大きな街だ。街の中心は丘のように盛り上がっていて、てっぺんに城が見える。城下町であるが、城壁街ではない。あまりに街が大きすぎて、壁で囲うことが困難なのだろう。色々な形の街があるものだ。 「余所者か」と誰かが声を掛けてきたりもしない。もはや人が多すぎて、すれ違う人が多すぎて、およそすべての他者が余


episode3 『王と悟り』
episode3 クレア ク「えぇと、地下3階、地下3階・・・」クレアはソロとまた話がしたいと考え、地下3階へと降りていった。 ク「1つしか部屋がないってどういうことなのかしら?スイートルームよりもっと高級なスイートルームが隠されているのかしら!」冒険者だとか考古学者なら、すごいお金持ちということだってあり得る。 しかし豪華客船は、階段を降りるほどに薄暗くなり、みすぼらしくなっていった。 ク「スイートがあるとは思えないわねぇ。じゃぁ彼は船の乗組員?」 そして地下3階に降りてみると・・・ ク「まぁ!」クレアは言葉を失う。 そこには、たしかに「1つの部屋」しかないのだった。いいや、1つの部屋もない。広大なフロアにはたくさんのマットレスが並んでいるだけだ。そのプライバシーの欠片もない粗雑な空間の中で、貧しそうな人々が各々に就寝の準備をしたり、世間話をしているのだった。 ク「うぷ」少々の妙な臭いが鼻をつく。 何十人、ひょっとすれば100人以上が所狭しと並んでいる。目つきの悪い人もいる。清潔でなさそうな人もいる。真っ白いガウン一枚のクレアのことを、あからさ
episode33 『王と悟り』
episode33 3時間ほど眠ったらしかった。ソロには時間の長さはわからない。 目が覚めても真っ暗だが、洞窟の中にいることを思い出す。 ソ「うう」体はあちこち痛いが、動ける。 《たいまつ》はもう消えている。 ソ「《レミーラ》!」ソロは明かりを灯す魔法を唱えてみた。 ぼぅっ! なんとソロの周囲は確かな明かりに包まれた。 ソ「出来ちゃった!」自分で自分に驚く。 ターニアの娘の温もりを、ソロはもう忘れてしまっていた。しかしそれが彼を救った。 ソロはよろよろと立ち上がった。 もう少し先に進もう。何かのゴールがあるはずだ。宝物ではないのか?少しワクワクしながら。 次第に、洞窟は突き当りに達するのだった。 しかし、《レミーラ》の灯りはそこに石碑があることを示した。 ソ「なんだこりゃ!」ソロは駆け寄って、石碑の文字を眺める。 最高の恋に憧れますか?メラミを覚えて浮き足立った魔女の少女よ。 それなら勇者を探しなさい。 勇者様のお役に立ちなさい。 商人ではありません。勇者様です。 あなたの類稀なる魔力は何のためにあると思いますか? お金儲けのためでは


episode32 『王と悟り』
episode32 挿絵 by 生成AI 徘徊は2時間を過ぎた。 《たいまつ》を掲げながら大きな緩いカーブを曲がる。 すると! キキキキキキー!! バサバサバサバサ!!! ソ「あのコウモリか!」応戦できる。と平静を取り戻す。 シュルルルルルル!勇ましく《チェーンクロス》を振るう! ひらり!ひらり!敵は素早く身をかわした! ソ「なに!?」これまではそう空振りすることもなかったのに?この辺りは心なしか天井が高いか。滑空範囲が広いので逃げやすいのか?とソロは思った。 しかし! 「《マヌーサ》!!」なんと敵は魔法を唱えてきた! 灰色のモヤが辺りを覆う!敵の姿が見えにくい!かと思ったら異様に多くの敵が見えたりする! ソ「幻影か!」まやかしを見せる魔法などあると、どこかの冒険者が言っていたぞ。 シュルルルルルル! シュルルルルルル! えぇい数撃ちゃ当たる!ソロは怯むことなくチェーンクロスを振り回した。 ピシ!ピシピシ!少しは当たっているようだが致命傷に至っていない!? キキキキキキー!! バサバサバサバサ!!! 敵の攻撃はこちらの体力を確実に削っていく!..


episode31 『王と悟り』
episode31 行かずにはいられない。とソロは思った。 ワクワクする。ハラハラする。試練の洞窟なんてものに遭遇するとは!各地の民族は、「大人の仲間入りを果たすために高い木に登って鷲の卵をとってくる」などといった通過儀礼を持っていたりするが、それに似たようなものだろうか。 そうだ。きっと洞窟の奥に魔法の小瓶でもあったりするのだろう。 ノーラは「普通は15歳で一人前になる」というようなことを言っていた。つまり15歳程度まで通うのだろう。つまり15歳の女の子たちが行う試練だ。 道中の魔物はまた種類が変わった。山の中より幾分弱い気がする。このまま進めそうだ。 そう思った矢先、小さな立札を見つける。 「この先試練の洞窟 レベル15推奨! 引き返しなさい!!」 ソ「レベル15・・・!?」 急転直下で青ざめる。たしか、みならいあくまを倒せてもレベル10なのではなかったか!? 大丈夫なのだろうか?しかし、ここまで来て引き返したくはない。 そして寂しい畦道を歩いていくと、洞窟が姿を現すのだった。 ソ「こんにちは・・・」まさか誰かが「いらっしゃい」と出迎えて


episode6 『王と悟り』
episode6 トルネコ 荷馬車はいなくなった。まだ町は見えていないのだった。 ソ「ふう。結構歩きそうですね」 ト「そうだ。10回は魔物と戦っておきたいからなぁ」 ソ「そんなに!?魔物ってそんなに出るのですか?」 ト「出るよ。地域によってはね。 大丈夫さ。君が戦いに慣れるまではそばに居てやろうってことなんだから」 ソ「よーうし!」ソロは気合を入れると、《銅の剣》を両手でぎゅっと握って構えた。 ト「わっはっは!まだ臨戦態勢には早いな! でもすぐに剣を構える覚悟はしておくんだ。 そうだなぁ。ちょっとエサでも撒いてみるか」 トルネコはそう言うと、干し肉か何かを千切ってぽいと放り投げるのだった。 すると、案の定だ! 「キキー!!」 3匹のいっかくうさぎが現れた!立派な角を持った、うさぎにしてはやたらと大きな獣だ。 いっかくうさぎ ト「おぉ、初めての戦にちょうどいいんじゃないか? ほれ、戦ってみたまえよ」 ソ「やぁー!」ソロは勇ましくいっかくうさぎに斬りかかった! ザシュっ! ピキーン!いっかくうさぎは消えてしまった! ソ「おぉ!?」 ト「倒した


episode30 『王と悟り』
episode30 カルベローナの里 目立たぬ道を歩いたほうがいい、とターニアにも老婆にも言われたが、この不思議な里をもう少し眺めていたい気持ちは否めない。 どうも、朝でもやはりカラフルな蛍の光が飛び交っている。深い森、曲線的なおとぎの家にカラフルな蛍の光。これだけでもう気分がいい。10年飽きない自信がある。 なるべく音を立てないように歩くと、里の中心らしき場所に出る。井戸がある。きっと毎日ここで水を汲み汲み、世間話をするのだろう。良い社交場だな、と羨ましく思う。 そして井戸の前には立札が立っていた。 悪魔とは、人の心の煩悩だ 従うものがいなければ、勝手に滅びていく その悪が人類を滅ぼそうとしたら?八十億人で束になれば、勝てる 家訓ならぬ里訓のようなものか。 カロベローナの魔女たちは代々ずっと、幼い頃からずっと、この言葉を焼き付けて生きてきたのだろう。 不思議な町に少々後ろ髪を引かれながら、でも騒ぎを起こさないうちにソロは里を離れた。 道は緩やかに下っている。森の匂いが薄くなってきた。《たいまつ》など渡されて力んだが、もう少し歩けば山を抜け
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