第11節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
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- 8月27日
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第11節
ノアとユキを乗せたイカダは、西の浅瀬に繰り出した。
ユ「しばらく手伝ってくれ」
ユキはノアにオールを渡す。
ノ「これは?」
ユ「イカダを漕ぐんだ。沖に出るまで少しの間」
ノアは勝手がよくわからなかったが、とにかくそれを受け取り、ユキの見様見真似をした。
そうして沖のほうを、高い空を見据えると、どんよりとした灰色の雲がかかっている。
そして大きな波がざぶんと、イカダに覆いかぶさった。
ノ「荒れそうよ?」
ユ「いつかは、荒れるんだよ。
好機を待ってもいられない。
好機を待っても、いられない。
そうだろ?」
ユキはノアの目を見て言った。
「ノアのために、好機を待っている余裕もない」という意味に思えた。
ノアはただぽかんと口を開いたまま、状況に身をゆだねるしかなかった。
オールが少しイカダを滑らせると、今度はユキは岸を見つめ返した。
村長の洞窟をじっと見ている。ノアも同じ方向を見やる。
ユ「いつか・・・恩返ししますからね」ユキは強い瞳で小さな声で、そうささやいた。
ノ「村長さんに、言ってないの?」
ノアがそう尋ねた瞬間だった!
ザバーーーーーーン!!!
急に大きな波が覆いかぶさってきた!灰色の雲はもう嵐を連れてきたのか!?と思って前方を向き直すと・・・!
「おぉぉぉぉぉぉぉぉーーーん!!!」
奇妙な鳴き声をあげて、見たこともない巨大な魚が眼前を飛び跳ねた!

そしてイカダのマストを尾びれでへし折ってしまった!!イカダも大きく流される!!
ユ「うわぁーーーー!!!」
ノ「きゃぁーーーーー!!!」
敵意を持っている!!??
そのまさかだ!魚は今度は、イカダの上の2人に突進してきた!
ノ「きゃぁ!!!」
ユキはヤリを構えて迎え撃つ!
ユ「このぉ!!」ヤリは魚に刺さるが、ダメージは小さい!
「おぉぉぉぉぉぉぉぉーーーん!!!」
魚は再び大きな叫び声をあげると、勢いよく跳ね上がり、イカダを真上から潰そうとしてきた!!
ユ「うわぁ!!!」
ノ「きゃぁ!!!」
もうだめだ!
そう思った瞬間!!!
「《メラミ》!!」
ドゥーーーン!!!
大きな炎の塊が巨大魚を襲った!!
「ギャウーーー!!」魚は悶えている!
ユ「なんだ!?」
すると、炎の出どころには・・・