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episode29 『王と悟り』
episode29 ターニア ターニアはテーブルに食事の用意をすると、座ってソロの話に耳を傾けてやるのだった。 娘のヒメアはママのひざに頭を乗せて、眠そうに、ちらちらとソロのことを見やる。 タ「それで?」 ソ「はい。魔法の本場で、大きな魔法学校があると聞いたんです。この町から出てきたという女の子です」 タ「まさか・・・」 ノ「ノーラという子です」 タ「あぁやっぱり。その名前はこの町ではあまり出さないほうがいいわ。あなたを嫌がる人がいるかも」 ソ「えぇ!悪い子には見えませんでしたが?」 タ「ノーラは悪い子じゃないけど・・・。 えぇと、魔法学校に何の用事なの?」 ソ「宿舎があるような大きな魔法学校だって聞いたんですけど、この里にそんな大きなものがありますか?」 タ「大きな学校は里の外よ。向こうに森を抜けて下りたところに建ってたの。そしたら街から人が来れるでしょ?」 ソ「あぁ!そうか。 えぇ?でも学校だけじゃなくてノーラの両親の家も焼けてしまったって・・・」 タ「あぁ、それはご両親の家が学校の中にあったからよ。 あの子の両親は、魔法学校の理事だっ


episode28 『王と悟り』
episode28 カルベローナの入口 by 生成AI ザっ、ザっ、ザっ、バキ!小枝を踏みつけてしまうと、大きな音が響く。 ソロの訪れに気付いた者がいた。里の老婆だ。 婆「どなたかな? ここは殿方の訪問をあまり歓迎しない町。場合によってはお帰り願うが」 上品に、排他的だ。 ソ「カルベローナの、町ですか?」 婆「町の名を知っていて、殿方の拒絶を知らぬか。 どんな御用だろうか」 ソ「マーディラスで、この町出身という人に出会いました。 魔法学校と、彼女の家が無残に焼け落ちてしまったと聞きました。何かその姿を見ておきたい気がしたのです」 婆「・・・ふむ。まぁいいじゃろ」 保守的な老婆は、ソロをカルベローナに迎え入れた。 ソ「ど、どうも」 老婆は振り返って、言葉を添えた。 婆「どうにもならないようなら・・・そこのかがり火を囲って夜を明かしなさい。凍え死ぬことは避けられるじゃろう。皆が冷たいなら、明日にはすぐに帰りなさい」 排他的なのか、優しいのか。 しかしとりあえず、森の中の排他的な里の中で、死なずに夜を明かせそうな保障は得て少々安堵した。...


えぴそーど111 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』
えぴそーど111 バーミヤンを思わせるような赤い大地の中に、リベリラの石の教会はあった。 それは岩の中に縦に掘られた、極めて原始的でありながら見事な彫刻教会だ。岩しかなくとも、人は芸術をするものだ。そして芸術を極めてしまうものだ。 地上から、階段を下りて神殿の入り口へとたどり着く。 教会にも門番はいたが、宮殿のような厳格なものではないようだった。 「すごい武闘家に力を貸してもらいたくて来た」と真面目な顔で率直に言ってみた。 「ううむ。あなた方の望みは叶えられないかも・・・」と兵士は言葉を濁した。 兵「とにかく入りなさい」 ヒ「どうして叶えられないの? すごい英雄だったんでしょ?(・∀・)」 兵「それはあくまで昔のことだ。 今はもう・・・ヨボヨボのご老体になってしまった」 4人「えぇーーーー!!」そうか。時間というのは流れるものだ。 兵「それでも、この神殿にたまに訪れる山賊とかはひょひょいとやっつけてくれるけどね」 むむ?それなら少しは望みもあるのでは? なにしろカンナ以外はまともな戦力ではないパーティーだ。 カ「いい?ヒナタ!...


episode27 『王と悟り』
episode27 マーディラスから東へは、大きな森を越えることになる。森というより山か。 さすらう地形が一気に変わってきた。川を横目に荒野をさすらうフェーズはもう終わった。 森に入ると魔物の生態系はまた変わりだす。 ひとくい草は食虫植物である。いや食人植物だ! ひとくいそう 図鑑では見たことがあったが、植物がこのように人を襲うというのは衝撃的だった。まぁ魔力によって狂暴に変種させられているのだろうが。 森の中に子供の迷子が!と思ったら今度はおおきづちであった。 おおきづち 大きな木槌を持ち器用に振り回す、小さな獣である。森の小人が悪に寝返りでもしたのだろうか。 ハンマーのようなもので思いきり叩かれることは、場合によっては骨が砕けそうな強烈な衝撃を被る。剣を辞め特殊な武器を買ってきたことに少々のためらいを感じたりもしたが、剣こそが最も強いわけでもないような気がしてきた。 そして!やはり人と見間違える衝撃的な魔物が巣食っている。緑色のとんがり帽をかぶった、浮遊する悪魔だ。 みならいあくま 杖を持っているのでもしやと思ったが、《メラ》という炎の攻撃魔


episode26 『王と悟り』
第3章 男と女 episode26 ソロは城を出る。 前庭から一度振り返り、今居たであろう2階の部屋を見上げる。 ノーラがこちらを見ていたりはしない。 ソ「大丈夫だな」ソロはまたニコっと微笑んだ。 ソ「ノーラがいつでも、幸せでありますように・・・!」ソロはノーラの父親のような気持ちで、彼女がいつも平穏であることを強く強く願った。 ノ「びくっ!」寄宿舎に辿り着いたノーラは、つむじに妙な気配を感じて身震いした。思わず振り返るが、もちろん誰も居はしない。 それから、ノーラはなぜか、体力の回復がとても早かった。何をしたいとしても、その努力や行動が以前よりも1.2倍速くはかどった。本人に自覚はなかったが。 親がいないとしても・・・代わりの何かを手に入れる者もいる。 それは、市役所の窓口で簡単に支給されるものではない。懸命に頑張り、行動した末のものだ。誰と関わるのか、それを的確に選んだ末のものだ。 親がいないとしても。 ・・・もっと言ってしまえば、そういうみなしごは最も感動的な人生を生きる。 1人になったソロは、武器屋へ向かった。 お金が貯まったので《はがね


episode25 『王と悟り』
episode25 翌日。 ソロはノーラを引き連れて城へと出向いた。今日は彼女はおとなしい普段着を身に付けている。 ソロにとって、城に謁見するなど生まれて初めてのこと。身分不相応も甚だしい。ソロは緊張と動揺に身震いをしていたが、ノーラのために威厳を演じた。なぁに、彼とて社会人の端くれだ。 ソ「旅の者です。 この国を困らせている馬車の脱輪問題を解決してまいりました。 正体は、夜行性のキラースコップです。 私は引率者に過ぎません。彼女が、弱冠9歳の天才少女ノーラが、類稀なる知恵と力強い魔法によって、手強い魔物を殲滅いたしました! 彼女は月並みな魔法使いではない。私は彼女を、王宮魔術師に推薦いたします!」 ノーラは見事、王宮魔術師の見習いに合格した!! メイドはノーラに笑顔を向けた。 メ「・・・では本日からもう、4階の寄宿舎を使うといいわ。 愛着のある荷物は最低限だけ持って来なさいね。城の門は19時に閉まります。それまでに戻ってきてね」 ノ「は、はい」 ソ「じゃぁ、僕はもう行くね」 メ「あら?あなたは彼女の引率者ではなかったのですか?」...


episode24 『王と悟り』
episode24 ノーラ 夜半。秘密裡に作戦は決行された! 2人は星空の中、城門を抜け出していく。 ノ「ソロさん。馬車道から外れて歩いてくださいね」 ソ「あぁそうだった」 ノ「《レミーラ》!」ノーラは明かりを灯す魔法を唱えた。 ソ「わぁすごい!でももうちょっと明るさを抑えられる?遠くからも見えたら犯人に逃げられちゃう」 ノ「やってみます」ノーラは明かりの明度を抑えた。 歩くこと10分。 ザっ! ザっ! ザっ! 暗闇の中に奇妙な音が聞こえる。犯人を見つけたぞ!2人は確信する。 ソ「さらに明るさを抑えて!月明りで姿くらいは見えそうだ」 ノ「はい」 そろーり、そろーり、2人は音のする方へ近づいていく。 子供くらいの大きさの生き物がいる!つちわらしではないぞ。時おり金属がキラリと光る。シャベルか! よし!逃がさない間合いに入った! ソ「おいお前ら!やっつけてやる! やっぱりいたずらもぐらだな!」 小鬼たちはビックリ仰天、こちらを見た! ノーラは《レミーラ》の明度を上げる! ソ「はぁー!」ソロは自信を持って斬りかかっていく。いたずらもぐらは複数とて倒せ


エピソード36 『天空の城』
エピソード36 ヨーダ 挿絵 by りんどうさん ヨ「はっはっは。おかえりなさい」 なんと草むらでは、塔のことを教えてくれた学者のヨーダが、野草の採集をしていた。れいを待っていたようだ。 ぽかーん! ヨ「はっはっは。よく戻ってこれたのう。 しかも空から。 お嬢ちゃんはメラしか使えないと言っていた。 きっと、1階か2階を詮索したらもう息切れして、歩いて帰ってくるだろうと思っとったよ。 魔物の大群をかいくぐり、《そらとぶ靴》を引き当てて空から帰ってくるとはのう。 立派なもんじゃ!」 れ「体が、空を飛びました!」 ヨ「だから言ったじゃろう。 瞬間移動の魔法が、昔はあった。 その靴は、その魔法の試作品みたいなもんじゃ。塔からこの町まで人を飛ばすくらいのことは、この町の前の学者にも成功したらしい。ほっほっほ」 改めて草原に座り込んで、れいは続けた。 れ「塔の試験を、突破出来たというのとも違うんだと思います。 自分のチカラじゃなくて、助けてもらってどうにかなりました。 弱点を、今のうちに直しておきなさいと言われました」 ヨ「ふうん。 自分


episode23 『王と悟り』
episode23 ノーラ 捜査は切り上げて、夕飯を食べに行くことにした。たまには違う店に入る。 ソ「この街の名物って何なのかな?」 ノ「女性たちにはホワイトグラタンが人気です」 ソ「じゃぁそれをおごってあげるよ」 ノ「いえ、いいのです」 ソ「だって、父親に愛情注いでもらったこともあんまりないんだろう?」 ノ「!・・・ありがとうございます。 でも、私のほうがソロさんより裕福かもしれません」 ソ「ギクっ!痛恨の一撃っ!!!」 ノ「あはははは」 お金があるかないかの問題ではな いのだ。心に空いた穴を、優しくひそやかに埋めてもらえるかどうかだ。 ソ「おぉ、ホワイトグラタンって美味しいね!」 ノ「はい、とても美味しいです」 夕飯を終えると、ノーラはソロの顔を見上げた。 ノ「ソロさん、もう一軒はしごしませんか?」 ソ「いいけど、早く宿に戻ったほうがいいんじゃない?」 ノ「私、50セントでカフェオレが飲める店を知っています。 ソロさんに教えてあげたくって」 ソ「それはありがたいね!」 ノーラは裏通りの古いカフェにソロを連れ立った。 もう少し話がしたい、と


episode22 『王と悟り』
episode22 戦い疲れて、日暮れと同時にマーディラスの街に戻ってきた。 汗を洗い流し、宿屋の食堂でご飯を食べている。 すると、ノーラが上階から降りてきた。ソロのテーブルの前に立つ。 ノーラ ソ「お?」 ノ「落ちてしまいました。王宮魔術師の面接・・・」 ソ「そっか。残念だったね。やっぱり9歳にはむ」 ノ「ソロさん、もう1度買い物に付きあってくれませんか?やはり丈の短いスカートを」 ソ「ストーップ!ノーラちゃん、ドレスの買い物は要らないよ。 服装の問題ではないと思うんだ。仮にミニスカートを履くことで受かるなら・・・そんな城には就職すべきじゃないよ。暮らすべきじゃない」 ノ「・・・・・・」ノーラは目にうっすらと涙を浮かべている。 ノ「良いのです。私もドレスを着てお城で暮らしたいです」 ソ「可愛い服も好きなのかもしれないけどさ。 それに、立派な魔法が使えるなら雇われ口はたくさんあるかも?」 ノ「住所はどこだ?親の職業は何だ?と聞かれます」 ソ「・・・!居場所がないのか・・・」 ノ「ひっく・・・信頼される宮仕えにならないと!・・・うぐっ・・・」.


ソロ序盤の服の公式設定!
挿絵を描いてくださる方へ! ラノベ『王と悟り』主人公ソロの序盤は、このような服装でお願いします^^ ソロ序盤の服装 by 生成AI 大きなポイントとして、 肩と胸の鉄の防具はまだ付けていない マントをしていない ブーツがまだちょい短い です^^ また、わざとちょっとお着替えさせて描いたりしてもOKな場面もありそうです(^_-)-☆ このイラストは序盤の数ページにも貼っておきますね♪


episode21 『王と悟り』
episode21 ソロ+《皮のブーツ》 夜半。 この宿は相部屋ばかりだ。とはいえ、男性の部屋と女性の部屋は明確に分かれている。 修道女たちは寝室や浴室で男性の目線を浴びる危険はない。ソロの部屋には男たちしかいない。 宿によっては、男性と女性が同じ部屋で寝る相部屋もある。それを酷く嫌う女性もいれば、あまり気にしないたくましい女性もいる。 翌朝、宿の食堂で朝ご飯を食べていると、声を掛けられる。 「あのう、買い物に付きあってもらえませんか?」 見上げると、そこにいるのはノーラだ。 ノーラ ソ「え?」 ノ「あのう、今日じゃなくてもいいんです。 明日ぐらい、空いてる時があれば」 ソ「いいけど、な、何を買いに行くのかな?」 ソロが買い物に付き合って有意義と思えるアイテムが、まったく思い浮かばない。これほど難しいクイズはないというほどに。ソロの知的好奇心は、出来ればノーラが返答するまでの数秒の間に正解を思い浮かびたいと願ったが、そうはいかなかった。 ノ「ドレスです」 ソ「えー!?」正解を聞いてもなお、納得がいかず驚いてしまうのだった。 ソ「ノーラちゃんのド


episode20 『王と悟り』
episode20 ノーラ ソロとノーラの会話は続く。 ソ「それで、マーディラスに来たばかりってこと?ここで次にどうするの?お節介かもしれないけど、未成年の子は放ってはおけないような」 ノ「えぇ、お城の王宮魔術師に採用してもらいたいと思っています。そしたら住む場所も手に入るし、暮らしていけるので」 ソ「すごっ!でもそれってハードル高いんじゃないの?」 ノ「《ベギラマ》が使えれば最低限の条件は満たしていると聞きました。中級魔法が使えれば。でも他にも条件が色々あるみたいで、今対策を練っているところです。王様に気に入られたりとか、色々必要なんです」 ソ「それで城下町に滞在しながら様子を伺っているってことか! 外に出て魔物も倒せるし、3ゴールドの安宿で暮らせるし、あまり心配も要らないんだね」 ノ「安宿にももう慣れました。なんでも慣れるものです。 お城のお触れをこなせばまとまった報酬が貰えたりもしますし」 ソ「ふうん。ちょっと安心したよ」 修「ねぇ!ついに王子様まで脱輪事故にあったらしいわよ!」 修「へぇー、物騒ね!」 近くのテーブルに座る修道女たちが


えぴそーど110 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』
えぴそーど110 一向はヨッパラの西のはずれまで戻ってきた。イキリスだ。 この国はヒボン並みに色々なものが揃っている。一行はまた快適な宿をとり、しばしの骨休めを挟んだ。 ヒ「おじさん、ダージリン1つ!」 カ「あなたアールグレイ派じゃなかったの?」 ヒ「え?なんかダーリンみたいでトキメくじゃぁん(♡▽♡)」 宿のロビーで、お紅茶を飲みながらくつろいでいる。 ミ「あぁ知ってる?ダージリンってイキリスじゃなくてヒンドの地名なのよ(^▽^)」 ヒ「えぇ!!うるわしイキリスの産地名じゃないの!?Σ( ̄□ ̄|||)」 ミ「あははは違うのよ(^▽^) 私も若い頃、ヒンドに行くまで知らなかったわー!」 カ「アッサムもそうね。セイロンは隣の貧国スリリンカだしね。イキリス人は紅茶をうるわしなものと思ってないわ。ヒボンでいう緑茶よ」 ヒ「なんとぉぉぉ(@ ̄□ ̄@;)!! 紅茶が高いのってもしや、包装がかわいいから!?」 カ「ちなみにハーブティーって、野草って意味だからね(´_ゝ`) そこらへんに生えてる雑草カモミールをお茶にしてるだけよ」 ヒ「マスター!お紅茶返


episode19 『王と悟り』
episode19 ソロ+《皮のブーツ》 高く広いレンガの壁が見えてきた。あれが城壁だろう。 目的地が見えると足取りは軽くなる。ワクワクとニヤニヤとしながら城へ一歩一歩近づいていると・・・背後からガタンガタンと妙な馬車音が聞こえてくる。 ソ「うん?」振り返ると、なんとも立派な馬車が近付いてくる。 馬「道を開けろー!王子様のお通りだぞー!!」 ソ「わわっ!」ソロは慌てて大げさに道を譲った。 ガラガラガラガラ・・・ガシャーン! なんと、城壁直前の石畳に乗っかった途端、馬車は派手に横転してしまった! 「うわぁー!」乗員たちは叫び声をあげる。しかし皆体は強いようで、ゴロゴロと転がってもすぐに起き上がってくる。そして、 「王子様!」と君主の心配に夢中である。 ソロは呆気に取られてその様子を見ていた。 兵「貴様!道を開けろと言ったのに・・・」となぜかちゃんと道を譲ったソロに怖い目を向けた兵士は、しかしすぐに言葉を変えた。 兵「そなた!《薬草》は持っておらぬか!王子様の傷の手当だ!」 ソ「あ、はい!」ソロはかろうじて《薬草》が残っていた。 王「うぅ・・・助かっ


episode18 『王と悟り』
episode18 結局クレアは、一人でもなお赤土の遺跡に向かったりはしなかった。あの男を追わなかったし、アンチローブにも行かなかったが、とぼとぼと国に帰っていくのだった。イムルの村の風情にすら興味を持たず、船着き場へ引き返していった。 ソロを捕まえたかっただけなのだ。旅行はついでである。 ソロは、誰がおらずとも旅をしたかった。2人の目的は微妙に違うのだ。 いいや、クレアは「旅」への憧れも内包してはいた。しかしそれを実践する強さが、まだ足りなかった。素朴な村にあるたくさんの魅力が、クレアにはまだ映っていなかった。 ソロは、必ずしもクレアのことを振ったわけではなかった。クレアに興味がないわけではない。なにしろキラキラと輝く美しい女性だ。「今はあなたのような豪華旅行はしたくない」と言っただけだ。クレアの興味が変わるなら、2人の人生は交わる可能性が残されている。そのことにクレアが気付けば、だが。 人生とはそういうものだ、チャンスは一度しかないわけでもない。しかし多くの人は、1度の挑戦でもう諦めてしまう。 夢とは、簡単に叶うものではない。しかし、一度で諦


episode17 『王と悟り』
episode17 武器屋に行ってみると、そこにいたのは、なんとクレアだった! 行きの豪華客船の中で話し込んだ、スパンコールのドレスを着たセレブ女性だ。 クレア ソ「クレアさん・・・!!」 ク「まぁ!やっと出会えたわ!ソロ!!」 クレアはソロに抱き着いてくる。 ソ「ちょ、ちょっと!どうしたんですか!」 ク「あぁごめんなさい。あんまりにも嬉しくって! まさかあなたを本当に見つけられるなんて!!私ってば天才なのよ!」 ソ「どうなってるんですか!あのスーツの恋人は?」 ソロはクレアの後ろを見渡した。 ク「いないわ、彼は。船で別れてきたんだもの!」 ソ「えー!!」クレアの後ろにはごつい男性がいる。用心棒であるようだ。 ク「座れるところに行きましょう。表のホテルに部屋を取っているの。応接間でカクテルでも飲みながら」 カクテルは飲まないが、クレアのホテルに着いていくことにした。 ソ「こ、この人は?」 ク「お金で雇った用心棒よ。彼氏とかじゃ全然ないの」 クレアが泊っているのは、例の50ゴールドのお高いホテルだった。 ソ「あぁ、ここか」 ク「知ってるの?」..


episode16 『王と悟り』
episode16 カレンと比べて圧倒的に素朴な村だが、絶えず新鮮なことがある。それでいて安らぎも感じる。旅とは不思議だ。この村が最高に素晴らしいというわけでもない。旅が、それを感じさせている。 300ゴールドの剣は買えないが、装備を強化したいと感じた。 鎧めいたものに憧れるし、盾など持ってみたいものだが、それ以前に現実的な問題として、サンダルで大地を歩き続けることに限界を感じる。もう少し足に優しく、踏ん張りの利くものを履きたい。 ソロは防具屋を探して覗いた。 防「はいいらっしゃい。どんな用だね?」 ソ「何か、皮のブーツみたいなものが欲しいんですが」 防「君は旅行者かね?冒険者かね?」 ソ「えぇと、どっちもです。1年でも旅行したいんですよ。でも剣を持って戦います」 防「じゃぁ冒険者だ。 君、ブーツの前に鎧を買ったほうがいいぞ!ほら、《青銅の鎧》は700ゴールドだ。青く光ってカッコいいだろ!」 ソ「あ、はぁ」どうしてもこういう押し売りが始まってしまうのか。慣れなくてはいけない。 ソ「鎧もいいんですけどね。靴が欲しいんですよ。ブーツみたいのが」 防


エピソード4『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
エピソード4 「旅立ちなさい」 ゆなの耳元で声が聞こえた。 ゆ「うん???」 「旅立ちなさい」 ゆ「・・・??? もう、マスター!変なお説教はやめて」 店「うん?私は何も言っていませんが・・・」 な「どうしたの?」 「旅立ちなさい」 ゆ「頭の中で・・・ 誰かが私にしゃべってる・・・!!??」 挿絵 by ヴィオレッタさん な「お告げだぁ!!ゆなさんすごぉい!!」 ハ「何て言ってるんだ?おまえの神は?」 ゆ「『旅立ちなさい』って・・・」 店主「はっはっは! 昔、とてもとても昔・・・ ゴータマ仏陀が、王族という地位を捨ててお城を家出した理由、ご存じですか? 『旅立ちなさい』 と、天啓を受けたのだそうです」 ゆ「・・・!!!」 数日後・・・ ハ「だっはっは!このまま世界の果てまで行って、闇の勢力をぶっ潰してこようぜ!」 ハヤトは得意気に、ゆなの肩に手を回して言った。 ゆ「触らないで!」 な「やったぁ、ゆなさんと旅行だぁ♪シタールあるかな?シタール」 ゆ「キャンプよ!あくまで山に観光旅行に行くだけ。 私が勉強に熱中しすぎるから、『気分転換し


episode15 『王と悟り』
第2章 覚醒 episode15 シスター・マリアを乗せた船は行った。 ソロもまた、マリアが見えなくなるまでずっと見ていた。 彼女が心配だが、まぁどうにかなるだろう。そしてリソースがまったく不足している現状、盤石でなくたって何かを敢行しなくてはならないのだ。それぞれが、勝ちの確定してないギャンブルに挑まなければいけない。そしてこれはギャンブルではないのだ。運ではない。もがくことで結果の変わるものだから。 ソロ+《銅の剣》 ソ「さて・・・。僕はどうすんのかな」 急に周囲は静かになった。桟橋から遺跡に戻る。遺跡には涼しい風が吹いている。北側に行くべきかな、と思った。真東にロンガデセオに戻るのは間違っている。南に引き返すのも面白くない。残るは北だ。何も情報を得られなかったが、北に行けば村の1つもあるのではないだろうか。船の終着駅はまだ先であるようだし。 それはそうと、思いがけず遺跡を観光する機会を得た。ソロの行動をとやかく言う者はもう誰もいない。 ソロはまたしばらく、うろうろと遺跡の迷路を歩き回った。シスター・マリアの言っていたとおり、昔の悟り人を讃え
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