top of page

第14節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』 +4コマ「ノアちゃんとお花」

7月7日
読了時間: 4分

第14節


3人はやがて集落にたどりつく。コーミズとよく似た素朴な村だ。木の家がまばらに立ち並んでいる。クダカの村というらしい。

アギロはそのうちの1つの軒下をくぐった。

『世界のはじまり』挿絵 第14節麦さん
壁がないクダカの家 挿絵 by 麦さん

女「あらおかえり」女房らしき女が出迎えた。

ア「客人だ。えっへっへ」

妻「おやまぁ!」

ユ「ど、どうも」

家の前で子供たちのはしゃぎ声が聞こえる。

男は何かを思い立つと、再び表に出てその子らに声を掛けた。

ア「おいププル、ちょっと浜に遊びに行ってこい!」

プ「はぁーい」

子供らは一瞬ぽかんとし、しかし男の言うことを聞くのだった。

ア「えっへっへ。息子だよ」彼の息子が混じっているらしかった。

ア「なんか温ったかいもの作ってやってくれよ」

妻「はいはい」

言葉はぶっきらぼうだが、情のある人たちであるらしい。


料理の完成を待つ間に、2人は眠ってしまった。夫婦は2人を起こさなかった。

居間の囲炉裏でスープが静かにクツクツと音を立てている。



?「邪魔するぞ」

夜は20時を回った。2人を起こしたのは、玄関から聞こえる新たな声だった。

?「見慣れぬ者がいると聞いたぞ?」

ア「あぁ村長さんか。明日にでも行こうと思っていたんだよ」

長「害はないという意味だな?」

ア「そう思ったよ。とても疲れている」

一行は温かいスープを囲んで夕食を摂った。

長「して、おまえさんたちはどっから来たんだって?」

ユ「コーミズという村です。日の昇るほうから舟で流れついてきました。

 僕はユキといいます。こっちは・・・」

ノ「ノアです。あのう、ご飯をくれてありがとうございます」

長「日の出の島からか。何十年ぶりじゃろな」

ユ「僕らの島から人が来たことがあるのですか!?」

長「いやぁ同じ島かはわからんがのう」

ノ「えぇ!?」

長「日の出の方角の島といったって、幾つもあるんじゃから」

ノ「そうなんですか!?

 島ってそんなにたくさんあるのですか!?」

長「はっはっは。幾つあるかはわしも知らんがね。4つや5つではないじゃろな」

ノ「世界って、そんなに広いの・・・!?」


ア「ほら、スープはおかわりあるぞ。朝から何も食べていないんじゃないか?」

ユ「ありがとうございます!いただきます」

ノ「このスープ、とても美味しいです。何の魚のダシですか?」

ア「魚じゃないよ。肉だ。イノシシの肉だ」

ユ「イノシシでダシを取るのですか!?」

ア「日の出の国は違うのか?この辺じゃ魚よりも肉でダシを取るな」

ユ「イノシシと、戦うということですか!?」

ア「そうだよ」

ユ「村によって、やはり暮らしが色々違うんだな・・・!」

ノ「い、イノシシと、戦うのですか?こわいですね・・・」

ア「おまえのとこじゃ戦わないのか?だからそんな細い腕してるのか。

 肉を得るためにはイノシシとも戦わなきゃならんだろうよ」

ユ「魚を獲るだけでも、生きていけるかも?」

長「それがまぁ、文化の違いというやつじゃな」

イノシシと戦うと聞いて、ノアはこの村の人たちが少し怖くなった。胸がドキドキする。


ユキはノアの心の乱れを察した。そして話題を変えた。

ユ「村長さん。僕らに目的も何も尋ねないですが、よいのですか?」

ア「おまえ最初にオレが尋ねたって、何も言わなかったじぇねぇかよ!」

ユ「あれは動揺していて・・・」

長「はっはっは。悪者に尋問して、『悪党です』と正直に言うか?

 最近この島も流れつく者が少々増えてな。そろそろわしも学習したよ。

 『何者か』と聞かなくても、世間話をすれば相手の心は読める」

ア「顔を見りゃな。まぁ察しはつくさ。ヤリ持ってたって、真っ青な顔してたよ。

 早とちりはイカンと頭のいい奴は言うがな。まぁ察しはつくさ」

妻「あんたは顔だけじゃ悪党に見えたもんだよ!」

ア「うるせえっ!」

長「そうだぞ!少しは慎重さも必要じゃろうが!」

ア「いざとなりゃ腕づくさ。おまえ、イノシシより弱いだろ?」

ユ「えぇ、まぁ。戦ったことはないですけど」

生まれて初めて訪れた、海の外の国。

コーミズとよく似ているが、どこか違う。ノアはその微妙な違いに、言葉にできない面白さを感じていた。


家の外に出ることは、おもしろい・・・?



ちょっと一息4コママンガ(*'▽')

4コママンガ ノアちゃんとお花 『世界のはじまり』』
4コマ By ヴィオレッタさん

bottom of page