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えぴそーど109 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年12月24日
  • 読了時間: 7分

えぴそーど109


セナはキッチンに駆け下りたあと、すぐに屋根裏部屋に駆け上がっていった。

そう。ハート型のチョコレートを胸に抱えて。

バタン!屋根裏の戸を開ける。

ソ「おや?」ソロは窓辺に腰を下ろしながらギターを抱えていた。

セ「弾いてていい」セナは下でカンナが弾いていることを知っている。2人のセッションを止めさせたくなかったのだ。

ソ「どうしたの?」ソロは弾き続けながら、セナを見やる。

セ「こ、こ、こ、こ、これ、あげる!」

セナは震える手をいっぱいに伸ばして、ソロにチョコレートを差し出す。

ソ「え・・・?

 あははは、どうもありがとう」

ソロは笑顔でチョコレートを受け取った。

その声から好意的に受け入れられたことを察知し、セナは安堵する。そしてようやく顔を上げる。

セ「つくったの。ハートのチョコレート」

ソ「ありがとう。チョコレート、大好きなんだ♪」

ドキっ!

セ「せ、せ、セナも、だいすき!」

ソ「え?じゃぁ一緒に食べよう♪」

セ「ちがう。

 セナも、ソロがだいすき!」

ソ「えーーーー!!

 びっくりしちゃうよ!なんて言ったらいいのか・・・」

セ「ソロは、セナがすき??」

ソ「えーーー!

 知ってるかな?この世界ではさ。

 大人の男が小さな女の子に、好きとか愛してるとか言ったら、捕まっちゃうんだ」

セ「でも、けいさつ見てない」

ソ「うーん。

 僕は、君のことをぜんぜん知らないんだよ。

 でも、少し眺めてて察することはある。

 君はとても可愛らしくて、優しそうで、穏やかで、素直そうに見えるよ。

 もし、僕が見えているとおりの女の子であるなら・・・

 僕はそういう女の子は、とっても好きだよ♪」



リビングにはまだ3人がいた。

ヒ「なんか歌が聞こえなくなっちゃったね」

ミ「ピアノの音色に耳を澄ませてるのかもしれないわね」

カンナは静かにピアノを弾いている。


ヒ「ねぇカンナ?」

カ「うん?」

ヒ「それ弾いたままでいいんだけどさ?

 アロマ精油使ったさわやかな香水の作り方、やっぱアタシに教えてよ」

カ「いいわよ。明日ね」


思い思いに心の琴線がふるえながら、雨の夜はふけていった。




翌朝。雨は上がったがマーミン・ムマはまだ帰ってこない。

1階のリビングで、朝食を終えても一行はくつろいでいた。

ヒ「お留守番しといてあげよう(*'▽')」

カ「別にかまう必要のある来客もないんじゃないの」

ヒ「でもアタシたちみたいにホームステイしたい旅人だっているかもしんないよ?」

そんな話をしていると・・・


ピンポーン


インターンが鳴った!

ヒ「あ、ほらぁ」

カ「何者だっていうのよ」

ヒ「はぁーい」

ヒナタはドアに耳あてて返事をしてみた。

客「あのう、MHKの者ですがぁー」

ヒ「MHK!?テレビの受信料の集金のこと!?」

客「えぇそうですぅ。

 おうちの方ですかぁ?」

カ「ちょっと!勝手に出ないほうがいいわよ!」

ヒ「はい♡やがてはこの家の財産を引き継ぐ一人娘ですけどぉ」

ミ「こんなこと前にもあったような(^▽^;)」

M「あのう、そろそろ受信料のお支払い、いただけませんかねぇ?」

ヒ「でもうちテレビないって言ってるじゃないですかぁ?」

見たところ、リビングにも客室もテレビなど置いていなかった。

M「そ、そうですよね。でも車にカーナビ付けてるでしょう?最近はカーナビのテレビも徴収対象なんですよぉ」

ミサトはリビングの窓からそっと玄関前を覗いて、敵を確認した。

ミ「なんか図体のデカいおじさんよ!大丈夫なの?(・・;)」

しかしヒナタはひるむ様子もない。

ヒ「車もないんですけどぉ。ママは歩いてお掃除の手伝い行きましたぁ」

M「ちょっとおうちの中見せていただけませんか?」

ヒ「きゃーそんなこと言って家の中覗く気なんですかぁ?セクハラ?」

M「い、いえ、そういうことじゃないんですよ」

ヒ「おいおっさん、新入社員なの?」

M「え?いえ、ベテランですよもう、アハハハ」

ヒ「ベテランなのにうら若き乙女が一人でお留守番している中に入っていこうとしてるの!? 

 まさか社内で一番仕事できない人!?」

M「へ?」MHKはイラっときた!心に100のダメージ!

M「こちらのお宅、お年のいった夫婦がご在宅だったはずですが」

ヒ「前に追いかえしたのにまた来たってことだぁー!Σ(゚□゚︎`)

 やっぱ仕事できないクズ人間じゃないかぁー!」

M「え?」MHKはイラっときた!心に100のダメージ!

 おっさん、ちゃんと『マーマン・ママの家はテレビ置いてなし』ってアイパットンに入力しとかないとダメじゃん!」

M「え、えぇまぁ。アハハ(汗)」MHKはイラっときた!心に100のダメージ!

ミ「また名前まちがってるわよ(^▽^;)」

ヒ「ITは情報を共有するためにあるんだよ?そんなことも知らない化石上司なの?」

M「あははは、そ、そうですよね(汗)」MHKは腹わたが煮えくりかえってきた!心に100のダメージ!

カ「だんだん面白くなってきたわ(´_ゝ`)」

セ「わくわくっ(*◕◇◕*)」

ヒ「ウチは関係ないですよって追いかえされたのにまた来るってさぁ、浄水器の悪徳営業マンとおんなじじゃぁーんΣ(゚□゚︎`)それって世界で一番クズな仕事の1つ・・・って誰かが言ってたよ?」

M「うっ!」MHKはグサっときた!心に100のダメージ!

ミ「ていうかただのモンスターカスタマーじゃなくて正論のマシンガンだわ!!」

ヒ「だってさぁ、おっさんが日曜日に寝ころんでネトフリ見てるときにさぁ、ピンポーンて来て『浄水器買ってくださーい』って何度も言われたらどう思う?」

M「!!それはたしかにウザいΣ( ̄□ ̄|||)」MHKはグサっときた!心に100のダメージ!

ヒ「今自分がそれやってんだよ?愚かじゃね??」

ミ「口撃が《メラミ》よりも強いわ(^▽^;)」

ヒ「『コイツ無神経で仕事できないやつだなー。社内で情報共有しろよ』って思うでしょ?」

M「た、たしかに・・・Σ( ̄□ ̄|||)」MHKはグサっときた!心に100のダメージ!

ヒ「ちょっとおじさん、なんて名前なの?フルネーム名乗って!」

M「え?わたしの名前ですか?いえ、そのぅ・・・」

ヒ「大丈夫だよ。ツミッターで拡散するだけだから( ˊᵕˋ* )」

カ「えげつない攻撃ね・・・( ̄▽ ̄;)」

M「そ、それが困るんですけど・・・(;´Д`)」MHKに100のダメージ!

ヒ「あはははぁー。顔と名札を写メりたいからドア開けていい?」

M「いえ、開けないでくださいぃぃl!!(;´Д`)」MHKに100のダメージ!

ヒ「きゃははは!」ガチャガチャガチャ!ヒナタはドアを開けようとする!

M「うぎぎぎぎぃ!!」MHKは必死でドアを押さえている!

ミ「じゃぁもう帰ればいいのに(^▽^;)」

カ「立場が逆転しちゃったわ(´_ゝ`)」

ヒ「じゃぁちゃんと仕事しなよー!」

M「仕事?」

ヒ「ちょっと今そこで上司に電話して?スマホ持ってんでしょおっさん。

 そんで上司に言いなよ?『テレビ持ってないって言われた家庭はちゃんとデータ入力して、2度も3度も訪問しないようにしなきゃダメですよ!今どき研進ゼミもケイサン新聞もそれくらいやってますぜ?』ってさぁ」

M「ま、いやぁそうですよねぇ」

カ「研進ゼミも何度も来るわよ?」

ミ「そこはイイんじゃない?スルーで(^▽^;)」

ヒ「おっさん中年なのに今までそんなこともしてこなかったの!?頭悪くない!?」

M「うっ!偏差値68、営業成績トップのこの私が・・・!!」MHKに100のダメージ!

ヒ「上司のいいなりで悪いことし続けてるなんて、人としてクズだなぁー!!!」

M「うがぁーーーー!!Σ( ̄□ ̄|||)

 もう営業マンやめて引きこもりたい!!!」

ちゅどーーん!

営業マンをやっつけた!


カ「あなた中ボスあたりをやっつける能力がそこはかとなく高いの?(´_ゝ`)」

ヒ「中途半端に頭いい奴と楽しく口論する方法は、サンドイッチクンに習った(・∀・)」

ミ「いや意味わかんないっス(^▽^;)」

カ「ミーさん乗らないで(´_ゝ`)」



そしてさらに3日をこの家で過ごし、一行はフィラドンの国を後にした。


なぜフィラドンでの日々は4日で途切れたのか?

あわよくばだらだらと滞在が続いた可能性もあった。が、5日目の昼、再び街へ買い出しに出ると、セントラル駅の街頭モニターには魔王侵略のニュースが映し出されるのだった。

次に魔王に攻撃されたのは、オレンダの国だった。大麻で世界を牛耳ろうとしていた国だ。

自分たちが見てきた国が壊滅されると、なおさら衝撃は大きいものだった。

そしてそのニュースを見て一行は、自分たちが魔王討伐のためにさすらっていることを改めて思い出すのだった。



オレンダが破壊され、その次の攻撃もヨッパラ連合の主要国だろう、と一行は思った。世界の誰もが思った。

そのため一行は、西ヨッパラへと引き返していった。

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