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えぴそーど24 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』

えぴそーど24


すると、隣の窓口でも乗船券を買う者たちがいた。

男「ホイヤンまで。ファーストクラスで頼む」

窓「エコノミーの10倍の値段になりますが、よろしいでしょうか?」

男「かまわん。私は国会議員だ!コザワだよ。知っとるだろう?

 君、美しいね。釣りはとっておいてくれ」

コザワという男は去っていった。

ヒ「おぉ~ファーストクラスなんて太っ腹ぁ!

 しかもお釣りあげちゃってるよΣ(゚□゚︎`)」

カ「もぉ、コロッとだまされないでくれる?

 あの政治家、『国民の税金』でファーストクラス乗ってんのよ?」

ヒ「えぇ!」

カ「エコノミーでも充分な席なのに、国民の税金ムダ遣いしてムダに豪華な席乗ってんのよ!

 良心があるなら、国会議員だろうがエコノミー乗るんじゃないかしらね。

 しかも『可愛いから』って理由でお釣りあげちゃうって、太っ腹じゃなくて卑しいだけだわ。

 ああいう人に税金を託したくないものよ」



一行は待合所で船の出発を待つことにした。

フェリーポートは無駄に広い。時間を潰すための飲食店が多数あるだけでなく、なぜかブティックのようなものがたくさん並んでいる。

ヒ「おぉー!免税店だってぇ!

 消費税がかからないなら20%も安く買えるじゃぁんΣ(゚□゚︎`)」

カ「はぁあ。立て続けにコロッとだまされないでくれる?

 消費税が掛からなかろうが、定価で売るから結局高いのよ。

 よく見て?アナタの好きなイブさんローレシアの香水、ツブヤじゃ30ゴールドだったでしょ?ここじゃ定価で50ゴールドだわ。免税でも安くはないのよ」


2時間後、定刻通りに船は出航する。

ホイヤンまでは丸一日かかるという。

一行は甲板に出て、強い風を浴びながら風景を眺めていた。

ヒ「丸一日かぁ結構かかるなぁ」

カ「まぁちゃんとしたご飯も付くし、寝床もあるからそう苦じゃないわよ」

ミ「昔は飛行機っていう、空飛ぶ乗り物で大陸移動してたらしいわ。

 それならたった数時間で東南マジマまで行けたんですって」

ヒ「数時間!はやっΣ(゚□゚︎`)

 どうして飛行機ってなくなっちゃったの?」

ミ「飛行機や空飛ぶ車が普及しまくった2050年くらいの頃、空の事故が多発したのよ。それで世界中で規制に流れたのね。

 それでもさっきの政治家みたいな一部の要人は、自家用ジェットで飛ぶらしいけどね」


ヒ「なんで事故るの?ITに操作を任せれば、工場のロボットだって正確に動き続けるじゃん?」

カ「え、ヒナも知ってるでしょ?

 ITには結局、どれだけ進化したってデジタルエラーが付きものなのよ。突然プツンと電波とぎれたりするし、パソコンも誤作動したりするじゃない?

 だから、ベルトコンベアーみたいな単純なロボットならいいけど、車みたいな人命に関わる自動運転は、無理があったみたいよ。

 普段の生活でアイポーンとかパソコンのデジタルエラーを見てれば、そんな危険は中学生でも予測できそうなもんだけどね」

ヒ「カンナだけだよぉ頭いいのは!」

カ「そんなことないわよ」

ヒ「へぇ~飛行機があったら半日で東南マジマ行けたのに~」

カ「まぁ移動が不便になったおかげで、冒険者の需要が増えたらしいけどね。

 買い付けだのお届けだの、自分の体で体験する必要のない作業は冒険者に託すようになったのよね。

 それが第六次冒険者時代のキッカケだったらしいわ」


ヒ「え、勇者も冒険者もいない時代もあったの?」

カ「そりゃそうよ。科学が栄えるほど冒険者は廃るらしくて、100年前の今頃なんて戦士も魔法使いもいなかったらしいわ」

ヒ「なんで科学が栄えると冒険者いなくなっちゃうの?」

カ「アナタのゲーマーのお兄さんが、わかりやすい答えなんじゃないの(笑)」

ミ「ヴァーチャルの世界の、人肌のない冒険や交流で、満足しちゃう人も大勢いるのよね・・・」

カ「体も心も軟弱になるしね」

ヒ「ふうん。アタシはどっちの気持ちもわかる、かなぁ」

カ「うふふ。王様から指令が出てなかったら、アンタもずーっと家にいたんでしょうね」

ヒ「そうかも( ̄▽ ̄)」


船から見える景色はてんで変わりはしない。世界は本当に広いのだ。

大陸と大陸をまたぐ海というのは、本当に広いのだ。

ヒ「そういえばさぁ、なんで西側にあるのに『東南マジマ』なの??」

カ「あなた中学で勉強してこなかったの!?」

ヒ「したよぉ!・・・少しは(;・∀・)」

カ「ヒボンから見たら西側にあるけど、ユーランシア大陸の中では東南側にあるからよ。単純なハナシ」

ミ「世界の地図は、ヒボンを中心に決められてるわけじゃないからね」

セ「暑いよぉ」

ミ「そうね。景色もいいけど、ずっと甲板にいると熱中症も怖いから、中に入りましょう」

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