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えぴそーど52 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』

えぴそーど52


次はどこを目指せばよいのだろうか?

街ではなく僻地の、「ポツンと一軒家」的なモノ探しは一行にとって意外と面白かったが、たぶんこれを繰り返していると冒険の目的は果たせないのだ。田舎にいることで、魔王が世界中を侵略しまくっても生き延びられるのでは?という妙案にも気づいたが、我々勇者の目的はそうではない。

そしてきっと、俗でいたい者は戦わなければいけないのだ。何らかとは。


ヒナタは今日もメゲずに陽気であった。

ヒ「むっかしーむっかしー影山はぁ~ 助けた象に連れられてぇ~

 りゅうぐ・・・あ!

 象を助けた場合どこに連れてかれるんだろ?(・∀・)」

カ「魔王の城じゃない?(´_ゝ`)」

ヒ「えー助け損じゃんΣ( ̄□ ̄|||)」

でもそうだ。このトロデとやらは結局、ヒナタの魔王退治の冒険を助けるために背中を貸している気がする。

カ「竜宮城に行ったってお婆さんにされちゃうだけよ。

 ていうかアナタ、象が居ようが居なかろうが、魔王のもとに行く途中なんですけど?」

ヒ「そうだったぁ!」

すべての冒険者が、今どこに向かっているか明確に意識しているわけでもないのだ。冒険が好きな者は、冒険のその過程が好きなのであって、目的地へ急いでいるわけでもなかったりする。

魔王はどこにいるのだろうか?



とりあえず山から街に向かった一行は、ダーリンという山間の国に到着した。

田舎には珍しく色がある。城壁に囲まれた、整地された町で、昔インテリな人間に設計されたのだろう。町歩きが楽しい、と言えた。

町の娘たちもオシャレだ。鮮やかな柄の着物など着て、頭にはキラキラのかんざしを挿している。きゃははと高い声でハシャぎながら、茶屋でダンゴを食べている。

ヒ「エト時代のヒボンに似てるのかな?」

ミ「そうかもしれないわね」

ヒナタたちもダンゴなどほおばりながら、華やぎの中を歩いた。


?「さぁ~寄ってらっしゃい見てらっしゃい!

 世界一うるわしいダーリン国のおなごたち!

 今夜も旦那さんとイチャイチャしたいだろう?

 男をメロメロにする最新のファッションはコレだよ!

 真っ白なモコモコのショールだぁ!」

男が、通りの真ん中に屋台を出して商売している。

衆「キャーかわいいー!」

そして大勢の女たちが群がってくる。

女「えぇ?これは去年の流行と同じじゃない?持ってるわよ」

?「よく見ておくんな!

 素材がちょっとモコモコしてるんだよ!去年のはキツネの毛だろう?今年のはウサギの毛だからモコモコ感が1.2倍なのさ!

 ほらぁ~みんな買ってるんだから、アンタも身に着けないと、旦那によそ見されちゃうよぉ~?」

女「えぇーそれは困るわぁー!」

?「へい毎度あり~!」

衆「はぁあ、また買っちゃったわ!

 今月お金ピンチだから、がんばってバイト増やさないと~」

衆「ばぁばにお金おねだりしてこなきゃ~」


カ「はぁ、どこの国でも同じなのね」

ヒ「ちょっとかわい・・・

 うん?まったくだぜ(・∀・)」

カ「ヒナもあんなふうにパレコのワゴンに殺到してる側でしょ?」

ヒ「せ、セールのときだけだぜ!(;・∀・)」

カ「あらそう」

ヒ「でもちょっと欲しいなぁ~

 この辺ちょっと寒いし・・・」

カ「久ぶりにコロっとだまされそうじゃない。

 ヒナのそのパーカーに、まったく似合わないわよ?」

ミ「可愛くて流行でも、コーディネイトがキマってないとねぇ」

ヒ「た、たしかに!」

カ「マフラーやショールが欲しいなら、他を選んだほうがいいわよ。そのパーカーならね」

ヒ「カンナってお金遣わないけど、結構オシャレだよね」

カ「美意識はあるわ。でもムダ金は遣わないわよ。

 流行モノのすべてが可愛いとも思わないしね。自分に合うものとそうじゃないのもあるし」

ミ「冷静なのよね( ˊᵕˋ* )」

カ「そう。冷静なんだと思うわ。

 服を買うことだって、街に出ることだって、あるにはあるのよ。

 本当にセンスが磨かれてくると、ムダな買い物は減ってくるわ」

ミ「さすが!すべてを12歳で飽きた女っ!」

カ「ミーさんだってエスニック風のワンピースに落ち着いたんでしょ♪」

ミ「うふふ。これが楽なのもあるけど、デザイン的に好きで愛用してるっていうのもあるわね」

ミ「うぬぬ!

 アタシ、自分がオシャレだと思ってたぁー(゚Д゚;)」

カ「ヒナは『オシャレが大好き』なのよ。今はまだね。

 4~5年模索したら落ち着くんじゃない♪」

ミ「うふふ。カンナって意外と優しいわよね♪」

カ「意外とじゃなくて、私は優しいの。そこそこね(´_ゝ`)」

ダーリンの町は、どこでも似たような光景が繰り広げられていた。流行に右往左往する女たちが陽気に飛び回るその様も含めて、町はキラキラとにぎやかなのかもしれない。何かが動いていると、キラキラするのだ。

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