えぴそーど58
一行は、その日の夜にまた神殿へやってきた。
目論み通り、聖地は静まりかえっている。観光客はお月様だけだ。
広い庭には誰もいない。一行はそろりそろりと歩を進める。
神殿まで来ると、入口にはさすがに2人の番人がいる。
建物の角から様子をうかがう。
カ「どうする?番人にバレたら確実に追い返されちゃうわね」
ヒ「倒す?(・∀・)」
ミ「倒さないわよ(^▽^;)」
すると、不意にセナが入り口に向かって駆けだした!
ミ「こら!どこに行くの!」ミサトが小声で制するがセナは振り向かない。
そのまま入り口まで行くと、勇敢にも番兵に声を掛けるのだった。
セ「えーん、えーん。
迷子になっちゃたよぅ。
ホテルまで連れてってほしいよぅ」
番「おや?迷子だ」
番「しょうがないなぁ。ホテルまで連れていってやろう」
ミ「なにやってるの!?あの子は・・・」
カ「私たちのために道を拓いたんだわ!!」
ヒ「すごぉーー(∩´∀`)∩」
番兵とセナが姿を消すと、3人は神殿に侵入した。
ミ「セナ、大丈夫かしら・・・」ミサトは振り返る。まだセナが心配だ。
カ「ホテルまで、しかも番兵に付き添ってもらうようだから、大丈夫でしょう。およそ完璧な作戦だわ!」
薄暗い神殿の中を、ひたひたと祭壇に歩み寄る。
人で溢れかえる昼間とはずいぶん雰囲気が違う。厳(おごそ)かだ。
カ「もう1回、手を合わせてみましょうか」
3人は祭壇に祈りをささげた!
ヒ「(おっぱいが大きくなりますように!おっぱいが大きくなりますように!ちょっとだけでもいいから大きくなりますように!)」
すると!
?「ちょっとだけで、よいのだな?」
ヒ「えっ!?(*'▽')」
一行は顔を上げる。
ブー―――・・・・ン
なんと、祭壇の上に、細長い体をした大きな黄色い龍があらわれた!
ヒ「出たぁーーーーーーヾ(≧▽≦)ノ」
カ「ウンコみたいに言わないの!」
ミ「カンナのほうが失礼よ(^▽^;)」
龍「私は龍の神。
龍の神は、人の願いを何でも叶える。
私を呼んだのはそなたらで間違いないな?」
ヒ「龍だぁ!
そういえばヨロハマの武器屋さんが、龍の神が願いを叶えてくれるとか言ってたぁ(∩´∀`)∩」
龍「願いを叶えてしんぜよう。
武器は床に置きなさい。神の御前で失礼である」
カンナとミサトは武器を床に置いた。
龍「では頭(こうべ)を垂れなさい。
神の息吹を吹きかける。しばらくじっとしているように」
3人は黙とうをするように静かに頭を垂れた。
龍「すぅぅぅぅ・・・」龍が息を吸い込む音が聞こえる。
ヒ「わくわく(๑º﹃º๑)」
しかし・・・
ゴォォォォォォーーーー!!!
なんと、龍は燃えさかる火炎を吐いた!!!
ヒ「どわぁーーーーーーΣ( ̄□ ̄|||)」
カ・ミ「きゃぁーーーーー!!」
3人は不意打ちに驚いたが、カンナとミサトは颯爽と身をかわした!
ヒナタの髪の毛は13本焦げた!
カンナとミサトは武器を拾う!
龍「ちっ!身をかわしよったか」
カ「やっぱり悪者だったのね!」
ミ「警戒心を保っておいた良かったわ!」
ヒ「き、気づいていらしてたの?(;・∀・)」
カ「ヨロハマの武器屋が言ったのは、『7人の偽善の神を倒した者は』だったわ」
ミ「それに緑色と言っていた!」
カ「何も努力せず、ただ拝むだけの人の願いを叶えるなんて、そんな都合のいい話はない!悪者が好む誘惑よ!」
ヒ「でもアタシたち、偽善の神様いっぱい倒してきたよ?」
ミ「まだ6人だわ!」
ヒ「ちゃんと数えてたんだ(;・∀・)」
ミ「・・・は!思い出したわ!
スカイドラゴン!!
東南マジマで、悟りを切望する者を欺き裏切る、邪悪な龍の魔物!」
ヒ「シェンロンの親戚に見えるのに~(´;ω;`)」
カ「見た目にコロッとだまされるクセを卒業しなさいよ!」
ミ「ところで、奴は『ちょっとだけでいいんだな?』とか言ってたけど、どういう意味なのかしら!?」
ヒ「いや、それは!
えっとぉー、きっと何でもないんだと思うよ(;・∀・)(;・∀・)(;・∀・)」
カ「なんでアンタが慌ててんのよ!?」
龍「あのう・・・
私を無視しないでくれませんか(^▽^;)」
カ「悪とわかればどーでもいいのよ。
《ヒャダルコ》!!」
ピキーーーン!氷の波がスカイドラゴンに襲いかかる!
スカイドラゴンをやっつけた!
ヒ「つよぉーーΣ(゚□゚︎`)」
カ「魔物退治はお手の物なの。
あとは行数の節約よ」
ヒ「そうは言ったって、そろそろ《ヒャダルコ》一発じゃ倒せなくない?」
カ「そんなことはどーでもいいのよこのラノベでは。
ドラクエ知らない子がいっぱい読んでるでしょ?
私が《バギマ》だの《ベギラマ》だの《ライデイン》だの《フバーハ》だの専門用語をいっぱい並べたら、読者はみんな混乱しちゃうわ。
だからプリキュアみたいに『テキトーにバーン!』でいいのよ」
ヒ「そういう理由だったのかぁΣ(゚□゚︎`)」
ミ「色々と、優等生すぎるわ(^▽^;)」
カ「ヒナもきっと《メラミ》以外覚えらんないでしょうけど、悲しまないことね」
ヒ「えぇー、寂しいよぉ(´;ω;`)ウゥゥ」
ミ「どうせ魔法を使わずに戦ってるようだけど(笑)」
邪悪な龍はカンナたちによって倒されたが、翌日にはまた大勢の人が、この祭壇に拝みに来るのだった。
人々の醜い他力本願は、簡単に壊滅させられそうにはない・・・。