えぴそーど72 『魔王が女の子ってマジなの!?(仮) -もの言わぬ革命者-』
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- 2024年12月24日
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えぴそーど72
ダイチという少年は一行を引き連れて、数ある洞穴の1つを目指した。
寄ってみればなるほど、洞穴の中には人の姿がある。多くはこちらを見て驚いている。
ダ「ここだ!」
ヒ「ホントに穴だー!Σ(゚□゚︎`)」
家は、本当に岩に横穴をくりぬいただけの粗末な家だった。
母「なんだお客さんかい?」
ダ「オレはまだ100%客とは認めてねぇ!」
母「複雑なことを言うもんだね(汗)
お茶を出せばいいのか、毒を出せばいいのか、どっちだい?」
ダ「お茶が3つに毒が1つだ!」
ヒ「誰が毒ぅぅぅ?Σ( ̄□ ̄|||)」
カ「まぁおそらく(´_ゝ`)」
ダイチの母親は一行にお茶を出し、ささやかにもてなしてくれるのだった。
母「誰だか知らないけど、休んでいきなさいな。
大したもんはないけどねぇ」
母親は、おおらかで懐の深い人であるようだ。
ヒ「ハンバーグかお寿司・・・(;・∀・)」
カ「ムリよ」
ダ「もう見ただろう!さぁ帰れ!」
ヒ「はやっΣ(゚□゚︎`)」
カ「この子もコメディアンなんじゃないの(汗)」
4人はお茶を飲みながら屋内を見渡す。
家電は何もない。家具という家具もない。袋は壁に提がっているが。
テーブルもイスもなく、床にはゴザが敷かれている。
奥に積み上げられている藁がベッドなのだろう。
カ「やっぱりとても原始的な暮らしだわ」
すると、セナが何かを見つけて拾いあげた。
セ「むずかしいこと書いてある」
なんと、それは勉強用の石板だった。白いチョークで字が書かれている。
セ「さんすう?」
ヒ「ふっふっふ。セナちゃんにはまだ難しいのよね。
アタシが解読したげるわ♪」ヒナタは自慢げに石板を取り上げた。

ヒ「なんかメッチャ難しいのやってるーーー!!Σ( ̄□ ̄|||)」
カ「高度な数学じゃないの!私も意味わからないわ」
ミ「とても、頭が良いの・・・?」
ダ「オレなんかバカなほうだ。
バーミヤンの大人たちは皆もっと頭がいい」
カ「高度な学問が出来るのに、原始的な生活をしているの!?」
ダ「頭がいいから、余計なものを造らないんだ!」
ミ「さっきもそんなようなこと言ってたわね・・・」
ヒ「ちょっとママぁ、通訳プリーズぅぅぅ(;'∀')」
母「ほっほっほ。つまりこういうことよ」
母親は、部外者の戸惑いに察しの深い人間だった。
母「この里の民は、誰よりも地球の平和を望んでいます。
だけども魔法の研究も武器の輸入もしません。ちょっとは槍で狩りもしますけどね」
ヒ「平和のために、強い魔法要らないの?」
母「ほっほっほ。バーミヤンの大地は地球の真ん中。
地球の真ん中のこの大地が爆発やらで壊れてしまったら・・・?地球は崩壊ね。
私たちは昔から、それを防ぎたくてたまらないの。
だから、立派なものは何も造らない。観光地になりそうなものは何も造らない。
建築をするだけの数学力はありますけどね。でも何も造らない」
ヒ「造るのはメンドクサイの?」
母「ほっほっほ。いいえ、違いますよぉ。
もしここに大きな街があったら?魔王は爆破するかもしれません。
立派な街があったら、ハタゴルやヨッパラの誰かが領土を奪いにくるかも。
そういう争いを、起こしたくないのよ。
大地を守るために必要なことは、要塞を築くことじゃない。
何も築かないこと。
私たちはそういう考えで、何千年もこの土地で暮らしてきたのね。
この暮らしが正しいのか、それはよくわからない。
でも実際のところ、この辺りは地球で最も戦争や破壊が少ないところなの。
民の努力は、上手くいっているのではないかしらねぇ♪」
ヒ「何も造らない努力??」
母「そう。何も造らない努力(^_-)-☆
目立とうとしない努力。欲を出さない努力ね」
カ「なるほど・・・!おそれいったわ!!
でも岩に穴掘るなんて大変よね?」
母「それも意図的なことなのですよ。
岩に掘られた横穴ならば、上空から見ても気づかないでしょう?
大地にお家がいっぱい並んでいたら、飛んでくる者に気づかれてしまう。
だからバーミヤンの民は、横穴を掘ったのです」
ヒ「空から、何が来るの??」
母「ほっほっほ。ほとんど何も来やしませんよ。
でもね、色々お勉強していれば察しがつきます。
地球のどこかで数学や科学が発達すれば、必ずや空飛ぶ乗り物を造って飛んでくる者たちが現れます。そして、空飛ぶ乗り物が現れる頃には、爆弾も発明されるでしょ。
そういう科学の時代が来たら、あっという間に地球は壊されてしまう。
それを見越してね、私たちは上空から目立たない暮らしをするんです。
ほっほっほ」
ミ「だからダイチは、よそ者がうろつくことをとても嫌がったのね!」
カ「よそ者は何を連れてくるか、何を引き起こすか、わかったもんじゃない・・・!」
ヒ「ご、ごめんよぅ(;・∀・)」
ダ「わかればいいんだ!」
ダ「オレは、世界を守るんだ!
誰にも気づかれないままに!」
自分たちの暮らしが理解され、ダイチは少し安心した。
ダ「おまえたち、魔法を使ったりするのか?」
ヒ「えっへん(・∀・)」
ヒナタはダイチの膝こぞうに小さなすり傷を見つけると、《ホイミ》をかけてやった。
ダ「すげぇな!」
ヒ「ねぇスガさんはどこ?スガさんスガさん(*'▽')」
ダ「スガサン?そんな奴はいない」
母「ほっほっほ。アサヒなら、いつも東から上ってきますけどねぇ~」
悪者を倒す話を見せることで、世界は平和になるのだろうか?
悪者のいない話を見せることで、世界は平和になるのかもしれない。